放射性廃棄物の缶は腐食?プールに雑然 東海再処理施設:朝日新聞デジタル(2016年12月5日05時00分)
福島原発の事故処理が「アンダーコントロール」なのだそうだから、他の平常な原発関連施設は当然「アンダーコントロール」なのだろう。
東海再処理施設の廃止には70年かかる見通しなのだそうだ。
東海再処理施設「廃止に70年」 原子力機構が見通し:朝日新聞デジタル(2016年9月8日23時51分)
70年。人の一生分の時間をかけて約30年稼働した施設の後始末をする。費用の見積もりはまだ立っていない。
もっとも、費用を見積もっても、70年間の総額をその金額以内に収める約束になるという保証はない。
福島原発事故:廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍 - 毎日新聞(2016年11月27日 21時38分(最終更新 11月28日 06時47分))
これによれば、福島第一原発の事故処理費用が2013年当初11兆円の見積もりが20兆円に変更になるという。70年にも満たないわずか3年ほどでこれである。東京五輪の例を想起すれば、この種の見積もりはもっと膨れると見てもいいだろう。
そして、これらの廃棄物処理は経済の生産力増加には寄与しない。公害の後始末のようなものだ。それに70年かかるという。
そして、廃棄物の最終処分は相変わらず棚上げ状態。
「核のごみ」19道府県が受け入れ拒否 朝日新聞調査:朝日新聞デジタル(2016年1月27日07時51分)
朝日新聞が2015年12月から2016年1月に47都道府県に対して行った調査。
・15府県は明確に拒否、4道県は事実上拒否。
・残りは未検討や情報収集中などで、「検討する余地はある」を選んだ都道府県は一つもなかった。
とのこと。
「トイレなきマンション」という表現は故武谷三男氏が80年代には唱えていたようだが、30年経っても状況は変わっていない。
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この状況下でも原発再稼働と核燃料サイクル維持に執着し続ける日本政府。
東京新聞:新高速炉 負担増大も もんじゅ代替 18年に工程表:経済(TOKYO Web)(2016年12月1日 朝刊)
アンダーコントロールの実情である。
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そう言えば、「廃炉ロボコン」という催しがあったのだそうだ。
廃炉作業のロボットコンテスト 福島 楢葉町 | NHKニュース(12月3日 20時29分)
独立行政法人国立高等専門学校機構 福島工業高等専門学校専攻科 専攻科特命教授 北海道大学名誉教授 佐藤正知「廃炉に関する基盤研究を通じた 創造的人材育成プログラム」平成28年3月2日(火)15:30-16:00 いわき産業創造館
「廃止措置人材育成高専等連携協議会」なる団体があるそうだ。
この催しの主旨自体は結構なことだと思うが、原発予算に群がる「生態系」が着実に広がっている一つの現れであるだろう。
まず、この「廃炉ロボコン」は文科省の補助金事業である。「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」の平成27年度採択課題になっている。
採択機関ページ 人材育成 -英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業(魚拓)
この補助金は元々「原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ」と呼ばれていたものが、東日本大震災の後に復興対策と廃炉の研究に方向が変わったものだ。
次に、今回、「廃炉創造ロボコン実施概要」をウェブに掲載している団体は「イノベーション・コースト構想推進企業協議会」という。この団体のウェブサイトを見ると、経産省と密接な関係があることが分かる。
イノベーション・コースト構想推進企業協議会
東京電力株式会社福島第一原子力発電所について-原子力被災者支援-(METI/経済産業省)
この協議会、「福島県浜通りの復興と再生に資するプロジェクトの具体化を推進」しているのだが、なぜか事務局の所在地は東京都中央区にある。
会員と幹事会社はそのほとんどが大手上場企業で、電力、原発保守、重工、プラント、建設など。
・会員企業 | イノベーション・コースト構想推進企業協議会
・協議会の紹介 | イノベーション・コースト構想推進企業協議会
これらを見ると分かるように、原発関連に復興財源を引っ張ってくるための団体である。
幹事会社の株式会社アトックスは原発保守管理会社で、廃炉ロボコンを協賛している。
アトックス - Google 検索
(注意)原発作業員から一番酷い会社と名指しされている、悪徳企業アトックス(ATOX)について。portirland 山田花子
■呼びかけ【福島第一原発収束作業員の、人間の尊厳をかけた闘いに広範な支援を!】 - 旗旗
この「イノベーション・コースト構想推進企業協議会」の賛助会員である「株式会社AREVA ATOX D&D SOLUTIONS」はアレバとアトックスの関連企業である。
また、賛助会員の一つに「技術研究組合国際廃炉研究開発機構(IRID)」という団体があるのだが、この団体は、上述した文科省の「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」のウェブサイト(JST)の上にもリンクがある。
そして、「国際」という名がついている割に、組合員はすべて日本企業である。
組織概要 | 技術研究組合 国際廃炉研究開発機構 - IRID(魚拓)
4.組合員(18法人)
国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構、産業技術総合研究所
プラント・メーカー等
(株)東芝、日立GEニュークリア・エナジー(株)、三菱重工業(株)、(株)アトックス
電力会社等
北海道電力(株)、東北電力(株)、東京電力(株)、中部電力(株)、
北陸電力(株)、 関西電力(株)、中国電力(株)、四国電力(株)、
九州電力(株)、 日本原子力発電(株)、電源開発(株)、日本原燃(株)
上記の「イノベーション・コースト構想推進企業協議会」とメンバーの重複があることが分かる。また、このページの「国際廃炉研究開発機構の役割のイメージ」によれば、IRIDの会員ではないが、この廃炉生態系には三菱総研が事務局(金庫番)的な位置にいることも分かる。
ところで、廃炉を飯の種にする研究開発活動といえば、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)」という団体がある。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構
もともと震災後の2011年9月に「原子力損害賠償支援機構」が設立されて、東電の賠償業務の支援をしていたのだが、2014年8月に「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」に改正?され、廃炉の研究開発も含むようになった団体である。資本金は政府70億円、原子力事業者等70億円の合わせて140億円。
どうでもいいが、財務明細によれば、この機構、NDFの常任役員は年に2千万円ぐらい報酬をもらっているようだ。NDFの主な仕事は東電に賠償関係資金(主に国債から)を交付することなのだが、その仕事の経費が年に40億円ぐらいかかっている。そのうち1億円ぐらいが役員報酬らしい。こういう経費も原発事故の費用の一部と言っていいのではないか。
それはともかく、このNDFの活動の一環として、大学、高専などでの「廃炉人材」の育成が掲げられている。
取組の全体像 | 廃炉研究開発情報ポータルサイト
人材育成 | 廃炉研究開発情報ポータルサイト
関わっている人たちの善意を疑っているわけではないが、良くも悪くも「廃炉ロボコン」とはこういう立ち位置の催しである。
以前述べたように、事故処理と廃炉には後出し的に予算を膨張させることが可能な条件がいくつもそろっている。
従って、この種の事業は今後もいろいろと考案・実施されていくであろう。
そして、そのたびに原発生態系のおこぼれに預かる人々は薄く広く社会全体に広がっていくだろう。
そのことは、原発や「核」に対する意識にどのような影響を与えるだろうか。
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●放射性廃棄物の缶は腐食?プールに雑然 東海再処理施設:朝日新聞デジタル(2016年12月5日05時00分)
貯蔵プールに乱雑に投入された放射性廃棄物入りのドラム缶、敷地内に残された中身のよくわからない廃棄物容器……。廃止が決まった原発の使用済み燃料再処理工場「東海再処理施設」(茨城県)を11月上旬に訪ねると、ずさんな廃棄物の管理や老朽化した施設の様子から、解体作業が極めて難航しそうな状況がわかってきた。
・魚拓:図1(東海再処理施設=茨城県東海村)
・魚拓:図2(高放射性固体廃棄物貯蔵庫のイメージ)
・魚拓:図3(東海再処理施設廃止の流れ)
使用済み燃料の再処理で出た廃棄物をプールで貯蔵する「高放射性固体廃棄物貯蔵庫」。11月7日、日本原子力研究開発機構の担当者が施設の前で、プール内の状況を写真で説明した。
水が濁ったプール内には廃棄物入りのドラム缶が約800個、乱雑に積み上がっている。ドラム缶の山の高さは約7メートル。水中カメラを近づけると茶色い物体が舞い上がったという。「水あかか、さびなのかはわからない」
ドラム缶の中身は、バラバラにした使用済み燃料の被覆管だ。1977~94年に投入された。つり下げたワイヤを切って投入したといい、プール内でワイヤが複雑に絡み合っているとみられる。ドラム缶が腐食し、廃棄物が漏れている可能性も指摘されている。
水面の放射線量は毎時3ミリシーベルト。一般人の1年間の追加被曝(ひばく)限度の3倍を1時間で浴びる数値だ。水の浄化装置はない。
また、敷地内には中身がよくわからない廃棄物の容器が多数あるといい、ふたを開けて分別し直す必要があるという。
原子力規制委員会の担当者は「とても適当とは言えない状況が続いている。原子力機構だけでなく、旧科学技術庁も旧原子力安全・保安院も、見て見ぬふりをしてきた」と話す。
このほか、極めて放射能の強いガラス固化体が約250本、低レベルの濃縮廃液が約3千立方メートル、低レベルのアスファルト固化体がドラム缶約3万本分ある。
最もやっかいなのが、再処理の際に出た約400立方メートルの高レベル放射性廃液だ。人間が近づくと20秒で死亡する毎時1500シーベルトの線量がある。放射性物質を多く含み、放っておくと自ら発熱して水素が発生し、水素爆発する危険があるため、原子力機構は廃液をステンレス製のタンク6基に保管して水を循環させて冷やし、水素の換気も続けている。2011年の東日本大震災では40時間以上にわたって外部電源が失われ、非常用発電機でしのいだ。
規制委は13年、廃液のままだと漏れ出す恐れがありリスクが高いとして、ガラスで固める作業の再開を再処理施設が新規制基準に適合する前に特例で認めた。今年、作業が再開されたが故障が相次ぎ、予定の4分の1で中断している。
■「ドラム缶取り出し、考慮していなかった」
原子力機構は11月30日、廃止が完了するまでに70年かかり、当面10年間に約2170億円かかるとの工程を規制委に報告した。
だが、作業は簡単には進みそうにない。高放射性固体廃棄物貯蔵庫のプール底のドラム缶について、原子力機構は「取り出しを考慮していなかった」。今後、装置を開発して、水中でワイヤを切りながら一つずつ持ち上げる方針だ。
施設そのものも汚染されている。使用済み燃料を粉々にした施設の内部の放射線量は毎時200ミリシーベルト。担当者は「遠隔操作で機器を解体するのか、人が入れるまで除染するのか検討中」と語った。
規制委は原子力機構が検討する廃止計画に再三、懸念を示してきた。9月の会合では規制委幹部が踏み込んだ。「実現性に疑問がある。廃止の検討が始まって3年たつのに、アバウトな計画しかない」
文部科学省出身で原子力機構の田口康副理事長は「できていないのはけしからんが、これからちゃんとしたものを、どう作っていくかという話をさせていただきたい」と答えた。
廃棄物の処分先も見通せない。高レベル廃棄物は地下300メートルより深い場所に10万年間埋める。国が年内にも処分に適した「科学的有望地」を示す方針だが、決まらなければ施設で保管し続けるしかない。(東山正宜、杉本崇)
◇
〈東海再処理施設〉 原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出す技術を得るために、約1900億円かけて建設された。1981年に本格運転を始め、原発約10基分にあたる1140トンの燃料を処理した。97年に廃棄物のアスファルト固化施設で爆発事故が起きた。2014年に廃止が決まった。運営する日本原子力研究開発機構は、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営主体でもある。
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●東海再処理施設「廃止に70年」 原子力機構が見通し:朝日新聞デジタル(2016年9月8日23時51分)
日本原子力研究開発機構は8日、原子力規制委員会の会合で、東海再処理施設(茨城県東海村)を廃止するまでに約70年かかるとの見通しを明らかにした。規制委は「老朽化する施設の補強も必要になる」などと指摘。廃止にかかる費用や人員などを検討し、11月末までに提出を求めた計画書に盛り込むよう指示した。
東海再処理施設は、原発の使用済み核燃料を再処理するのを目的に1981年、本格運転を始めた。再処理はすでに終了し、施設は廃止が決まっている。原子力機構によると施設には34の建物があり、すべてを廃止するには約70年かかると説明した。
一方、再処理で出た高レベルの放射性廃液が1月時点で約400立方メートル残っていた。ガラスと一緒に固める処理を進めていたが、設備のトラブルで止まっている。原子力機構は8日、ガラス固化は計画通り約20年で終えられるとした。
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●東海再処理施設「廃止に70年」 原子力機構が見通し:朝日新聞デジタル(2016年9月8日23時51分)
日本原子力研究開発機構は8日、原子力規制委員会の会合で、東海再処理施設(茨城県東海村)を廃止するまでに約70年かかるとの見通しを明らかにした。規制委は「老朽化する施設の補強も必要になる」などと指摘。廃止にかかる費用や人員などを検討し、11月末までに提出を求めた計画書に盛り込むよう指示した。
東海再処理施設は、原発の使用済み核燃料を再処理するのを目的に1981年、本格運転を始めた。再処理はすでに終了し、施設は廃止が決まっている。原子力機構によると施設には34の建物があり、すべてを廃止するには約70年かかると説明した。
一方、再処理で出た高レベルの放射性廃液が1月時点で約400立方メートル残っていた。ガラスと一緒に固める処理を進めていたが、設備のトラブルで止まっている。原子力機構は8日、ガラス固化は計画通り約20年で終えられるとした。
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●福島原発事故:廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍 - 毎日新聞(2016年11月27日 21時38分(最終更新 11月28日 06時47分))
東京電力福島第1原発事故の賠償や廃炉などにかかる費用が総額20兆円超に上り、従来の政府想定のほぼ2倍に膨らむと経済産業省が試算していることが27日、分かった。政府は拡大する費用の一部を東電を含めた大手電力と新電力(電力自由化で新規参入した業者)の電気料金に上乗せする方針で、国民負担の増大は必至だ。
・魚拓:図(福島第1原発事故の費用は大きく膨らむ見通し)
経産省は、東電の経営改革や資金確保策を協議する有識者会議を開催しており、年内にも結論を出す方針。試算は会議の議論のベースになるとみられる。
政府の従来の想定は、賠償=5.4兆円▽除染=2.5兆円▽汚染土を保管する中間貯蔵施設の整備=1.1兆円▽廃炉=2兆円の計11兆円となっていた。
新たな試算は、賠償が約8兆円、除染が4兆~5兆円程度に膨らむ見通し。廃炉も従来の2兆円が数兆円規模で拡大する公算が大きい。中間貯蔵施設の整備費は変わらないが、全体では20兆円を上回る見込みとなった。
政府の従来想定は2013年末時点に見積もったが、賠償や除染の対象が増加している。廃炉も原発内に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し費用などが拡大。経産省は既に現状で年800億円の費用が年数千億円程度に達するとの試算を明らかにしている。
費用の工面について、政府はこれまで、賠償は国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構がいったん立て替え、東電を中心に大手電力が最終的に負担金を支払い▽除染は国が保有する東電株の売却益を充当▽中間貯蔵施設は電源開発促進税を投入▽廃炉は東電が準備--との枠組みを示してきた。
政府は、賠償費の増加分について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の立て替え増額を検討。これとは別に、大手電力や新電力が送電会社の送電線を利用する料金への上乗せも検討している。この料金は政府の認可制となっており、最終的に電気料金に転嫁される。
除染費も東電株の売却益で賄えない可能性が高く、東電などに負担を求める案が検討されている。その場合、最終的に電気料金に転嫁される可能性がある。
廃炉費は、東電が他社との提携などによる経営効率化で捻出した資金を積み立てる制度の創設を検討する。ただ、東電が経営努力のみで賄いきれるかは不透明で、電気料金の引き上げにつながる可能性もある。【宮川裕章、岡大介】
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●「核のごみ」19道府県が受け入れ拒否 朝日新聞調査:朝日新聞デジタル(2016年1月27日07時51分)
原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物をめぐり、4割の19道府県がすでに最終処分場の立地を受け入れない方針を固めていることが、朝日新聞の調査でわかった。岩手、岐阜、高知、熊本など15府県は選択肢から「受け入れない」を選び、明確に拒否した。北海道、新潟、岡山、宮崎の4道県は「その他」を選んだが、記述欄で事実上拒否する考えを示した。
残りの6割は未検討や情報収集中などで、「検討する余地はある」を選んだ都道府県は一つもなかった。
・魚拓:図(都道府県の4割が最終処分場の受け入れを拒否している)
高レベル放射性廃棄物の最終処分は原子力発電環境整備機構(NUMO)が担い、地下300メートルより深い地層に埋める。政府は昨年5月、公募方式から国主導で処分地を選ぶ方式に転換する基本方針を閣議決定。年内に処分に適した「科学的有望地」を示す方針だが、関連法は知事と市町村長の意見を聴いて十分に尊重するよう定めており、知事が拒否すれば立地は極めて困難になる。
調査は47都道府県に対し昨年12月下旬~今月上旬に実施。「受け入れる」「受け入れを検討する余地はある」「受け入れない」などの選択肢を示し、理由とともに書面で回答を得た。明確な拒否は地方に多く、原発立地県は北海道、福島、新潟、石川、福井が拒否の姿勢。都市部では態度を明確にしない回答が目立つ。
自治体側の拒否感は強いが、経済産業省資源エネルギー庁の放射性廃棄物対策課は「まずは有望地を示し、国民に関心を持ってもらうことに意義がある。すぐに自治体に受け入れの判断を迫るわけではない」と説明する。
■都市部は明示せず
NUMOが公募を始めた2002年以降で唯一、07年に手を挙げた高知県東洋町では、その後、非難が集中して町長が落選。応募は撤回された。以来、正式に応募した自治体はない。
高知県は今回、「受け入れない」を選び、「南海トラフ地震対策を抱え、最終処分場を安全に運営する余力はない」と説明した。尾﨑正直知事が昨年6月の記者会見で「受け入れる余地はない」と宣言している。
ほかに明確に拒否した県は「原…
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●東京新聞:新高速炉 負担増大も もんじゅ代替 18年に工程表:経済(TOKYO Web)(2016年12月1日 朝刊)
政府は三十日、廃炉が濃厚な高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)に代わる新たな高速炉を国内で建設するため、今後十年程度で必要になる作業をまとめた工程表を二〇一八年中に示す方針を固めた。一兆円の国費を投じながら、ほとんど稼働していないもんじゅの反省もないまま、さらに天井の見えない負担が国民にのしかかる恐れが出てきた。 (吉田通夫)
官民合同の三十日の「高速炉開発会議」で、今後の開発方針の骨子をまとめた。十二月中に関係閣僚会議を開き、もんじゅの廃炉時期と併せて正式に決める。
高速炉の実用化には(1)実験炉(2)原型炉(3)実証炉-の段階を踏み、実験データを集めて研究を進めねばならない。日本では(2)の原型炉のもんじゅの段階でつまずいたが、政府は仏政府が計画する実証炉「ASTRID(アストリッド)」に資金を出して共同研究したり、(1)の実験炉「常陽」(茨城県、停止中)を活用すれば、(3)の実証炉での研究に進むために必要なデータを集められると判断。国内に新しい実証炉を建設する方向で調整している。
しかし必要な費用は検証できない状態だ。アストリッドは設計段階で、建設費は固まらず日本の負担額は分からない。常陽も東日本大震災後、耐震など新たな規制基準に合わせる工事をしている途中で、費用は不明。さらに新たな高速炉を建設する場合、構造が複雑なため、建設費が通常の原発より数倍は高いとされる。規模によっては一兆円を超えるとの見方もある。
会議後、経済産業省原子力政策課の浦上健一朗課長は記者団に「現段階で費用は示せない」と話すにとどめた。もんじゅを所管する文部科学省も、過去の会議では、もんじゅを再稼働する場合と廃炉にする場合の費用試算を示しただけ。それでも政府は、原発で使い終わった核燃料を再利用する「核燃料サイクル」には高速炉が必要だとする従来の考え方を強調し、開発続行の方針を打ち出した。
原子力政策に詳しい原子力資料情報室の伴英幸(ばんひでゆき)共同代表は「政策の流れを変えられないから費用や反省点を検証せず続けるというのでは、新しい高速炉を造ってもうまくいかないだろう」と話した。
◆プルトニウムを増やさず 高速増殖炉と高速炉の違い
「もんじゅ」は高速増殖炉の原型炉とされる。「増殖」は、消費した以上の燃料を作り出せるという意味。炉心の周囲に置いた燃えないウランを、燃えるプルトニウムに変えることができるからだ。
しかしプルトニウムが余る時代となり、増殖の意義が薄れ、かえって核兵器の材料になるやっかいものを増やしてしまう。政府は、これからは増殖させない高速炉を開発するとしている。
共同研究が想定されるフランスのASTRID(アストリッド)は、高速実証炉。周囲に燃えないウランを置かないので、プルトニウムの増殖はない。また長期間にわたって放射線を出し続ける核廃棄物を燃やし、処分期間の短縮につながる可能性もある。ただし、もんじゅ同様、核分裂で生じた熱を伝えるために、危険なナトリウムを用いる。
なお「高速」とは、核分裂連鎖反応を起こす中性子の種類のこと。普通の原発では、燃料にぶつける中性子を水で減速させている。もんじゅなどは、中性子の減速をしないため、高速の名がある。
・魚拓:図1(高速炉開発方針の骨子案)
・魚拓:図2(高速炉開発の費用)
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●廃炉作業のロボットコンテスト 福島 楢葉町 | NHKニュース(12月3日 20時29分)
東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業で使うことを想定したロボットのコンテスト「廃炉ロボコン」が福島県楢葉町で開かれ、全国各地から出場した高等専門学校の15チームが、その技術力を競いました。
「廃炉ロボコン」は、40年かかるとされる福島第一原発の廃炉作業について若い世代にも関心を高めてもらおうと、文部科学省などが初めて開きました。
地元・福島や東京など全国13の高等専門学校から合わせて15チームが出場し、原子炉が入っている建物の中を模した急な階段を上り下りしたり、高い場所の映像を撮影したりする課題に取り組みました。
電子機器が強い放射線にさらされる状況を想定して、作業の時間は5分から10分に限られ、コンクリートの厚い壁で電波が通らないため、ロボットは原則ケーブルを使って制御します。
各チームは走行用のベルトのほかヘリウムガスが入った風船や小型の無人機、ドローンを使ったロボットなどで課題に挑み、課題をうまくクリアすると会場から拍手が起きていました。
伸縮するアームを使って高い場所の撮影に成功した東京工業高専の男子学生は、「放射線の影響を考慮して電子部品を減らし、実際に使えるような仕組みを考えました。研究を進めて、いつか復興の役に立ちたいです」と話していました。
今回、課題に挑んだロボットについては、企業からの要請があれば、そのアイデアを生かした共同研究も行われるということです。