カテゴリー「原発や核など」の4件の記事

2017/11/30

もんじゅ:廃炉を想定しない設計だった問題で原研が反論

昨日のメモの続報。

はてなブックマーク - 記事解説 平成 29 年 11 月 29 日 日本原子力研究開発機構 件名:「ナトリウム回収 想定せず もんじゅ設計に「欠陥」 廃炉念頭なく」 平成 29 年 11 月 29 日(水)毎日新聞朝刊(東京・大阪)1
原研発表の本文:「記事解説(PDF)」本日付で保存したもの。毎日新聞記事を「誤報」と評している。
だが、ブコメでは反論になっていないという声が多い。

ブコメで紹介された福井新聞の記事を拾っておく。

規制委員長「取り出しは難しい」 もんじゅ1次系ナトリウム | 原発 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE
2017年11月30日 午前7時00分

 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉を巡り、原子力規制委員会の更田豊志委員長は29日の定例会見で、「1次系ナトリウムの取り出しは難しい」との認識を示した。もんじゅの設計段階では、炉心からの全量抜き取りを想定しておらず、約5年半かかる燃料取り出し後の検討項目の一つとなっている。

 もんじゅは燃料の冷却材に液体ナトリウムを使用しており、1次系には約760トンが存在する。水や空気と激しく反応するため、取り扱いが難しい。

 原子力機構によると、もんじゅは運転時、炉心に常に燃料を置いておく仕様であるため、配管破断時にも燃料が露出しないよう、炉心のナトリウム液位は常に燃料の上にくる設計となっている。このため、通常点検時の抜き取り方法では、数百トン程度が炉心に残ったままになるという。さらに1次系全体には液漏れ対策の保護容器がかぶせられており、改造も容易ではない。

 ただ原子力機構は「燃料を全て取り出した後のナトリウム抜き取りは、原子炉容器の底部まで差し込んであるメンテナンス冷却系の入り口配管を活用することなどで技術的に可能」としており、今後詳細に検討して決定していく方針。

 会見で更田委員長は「(廃炉が先行する)フランスでもかなり苦労している」とした上で、「まずは原子力機構が真剣に技術開発、検討を進めているか確認する」と語った。ただ一方で、「その前の燃料取り出しを進めないことにはどうしようもない」と述べ、まずは最初の5年半で燃料取り出しをしっかり終わらせるべきだとした。

 また、もんじゅの廃止措置計画の認可申請が遅れていることについて、監視チームでの議論が進んでいるとして、「申請の遅れそのものが重大な支障を招いているという風には認識していない」と語った。

更田委員長の言によれば、ナトリウム取り出しには技術開発が必要で、しかもかなり難しい。つまり、取り出しは設計時に考慮されていなかったことが分かる。報道が正しいことを暗に認めているということだ。

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2017/11/29

もんじゅの設計では廃炉が考えられていなかったという記事。他もんじゅ関連。

とても面白い記事なのでクリップしておく(ブラックな意味で)。

もんじゅ設計:廃炉想定せず ナトリウム搬出困難 - 毎日新聞
毎日新聞2017年11月29日 06時40分(最終更新 11月29日 06時40分)

 廃炉が決まっている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、原子炉容器内を満たしている液体ナトリウムの抜き取りを想定していない設計になっていると、日本原子力研究開発機構が明らかにした。放射能を帯びたナトリウムの抜き取りは廃炉初期段階の重要課題だが、同機構が近く原子力規制委員会に申請する廃炉計画には具体的な抜き取り方法を記載できない見通しだ。

 通常の原発は核燃料の冷却に水を使うが、もんじゅは核燃料中のプルトニウムを増殖させるため液体ナトリウムで冷やす。ナトリウムは空気に触れれば発火し、水に触れると爆発的に化学反応を起こす。もんじゅでは1995年にナトリウムが漏れる事故が起き、長期停止の一因になった。

 原子力機構によると、直接核燃料に触れる1次冷却系の設備は合金製の隔壁に覆われ、原子炉容器に近づけない。また、原子炉容器内は燃料の露出を防ぐため、ナトリウムが一定量以下にならないような構造になっている。このため1次冷却系のナトリウム約760トンのうち、原子炉容器内にある数百トンは抜き取れない構造だという。

 運転を開始した94年以来、原子炉容器内のナトリウムを抜き取ったことは一度もない。

 原子力機構幹部は取材に対し「設計当時は完成を急ぐのが最優先で、廃炉のことは念頭になかった」と、原子炉容器内の液体ナトリウム抜き取りを想定していないことを認めた。炉内のナトリウムは放射能を帯びているため、人が近づいて作業をすることは難しい。

 原子力機構は来年度にも設置する廃炉専門の部署で抜き取り方法を検討するとしているが、規制委側は「原子炉からナトリウムを抜き取る穴がなく、安全に抜き取る技術も確立していない」と懸念する。

 もんじゅに詳しい小林圭二・元京都大原子炉実験所講師は「設計レベルで欠陥があると言わざるを得ない。炉の構造を理解している職員も少なくなっていると思われ、取り扱いの難しいナトリウムの抜き取りでミスがあれば大事故に直結しかねない」と指摘する。【鈴木理之】

 【ことば】高速増殖原型炉「もんじゅ」

 プルトニウムとウランの混合酸化物を燃料に、発電しながら消費した以上のプルトニウムを生み出す原子炉。出力28万キロワット。原型炉は実用化までの4段階のうちの2段階目。1994年に運転開始したが、95年に2次冷却系のナトリウムが漏れる事故が発生し、長期運転停止。その後も点検漏れなど不祥事が相次ぎ、約250日しか稼働しないまま昨年12月に政府が廃炉を決めた。

掲載図:「もんじゅの原子炉の模式」(魚拓

もんじゅでは、その廃炉に向けて地元にお金をばらまいている。

【原発】もんじゅ 廃炉交付金60億円を上乗せへ 文部科学省(NHK)

11月18日 4時50分

高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉で地域経済に影響が出ないようにするため、文部科学省は、地元の福井県と敦賀市に支給される60億円の交付金を上乗せして拡充する方向で最終的な調整を進めていることがわかりました。

福井県敦賀市にある高速増殖炉「もんじゅ」について政府は、去年、廃炉を決定し今後、30年間かけて解体などの作業を進める方針です。

これを受けて文部科学省は、福井県と敦賀市に対してもんじゅの廃炉期間中に支給される交付金を、拡充する方向で最終的な調整を進めていることが関係者への取材でわかりました。

交付金は、研究用の原子力発電施設の廃止に伴うもので、もんじゅの廃炉が完了するまでの30年間、県と敦賀市にはそれぞれ、毎年1億円、合わせて60億円が支給されることになっていました。関係者によりますと、廃炉が始まってから数年間は、とくに地域経済に与える影響が大きく、新たな産業に対して支援を行う必要があるとして、特例で、支給額を上乗せすることを検討しているということです。

こうした財政的な支援については近く開かれる政府と福井県、それに敦賀市が参加する協議会の中で示される見通しです。

地元対策として、60億円+60億円=120億円。福井県と敦賀市に。これはまだまだ膨らませることができるだろう。核燃サイクルと最終処分場問題という手を付けられない荷物があり、それ故に原発をやめられない行政論理が働き、原発システムとその制度の維持に巨額のカネがかかるが故に、自治体も含めて有象無象が血税目当てにゆすりたかりに群がるという構図。このもんじゅ廃炉の補助金は、全国の廃炉自治体の要求根拠になり、補助金額はせり上げられていくだろう。

毎日新聞の関連記事をついでに記録しておく。

もんじゅ:廃炉、課題山積 どうする液体ナトリウム /福井 - 毎日新聞
2017年7月1日 地方版(福井県)

 昨年末に廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)について、日本原子力研究開発機構は6月13日、工程を定める廃止措置計画の前段となる基本計画を国に提出した。作業は今後本格化するが、水と激しく反応する液体ナトリウムを大量に使う高速炉の廃炉は国内に例がなく、技術的ハードルは高い。政府が基本方針で明記した使用済み燃料の県外搬出も見通しが立っておらず、政治的に不透明な部分も多い。【近藤諭】

 冷却材に使う液体ナトリウムは、もんじゅ内に1670トンもあるが、抜き取りや抜き取り後の処理の具体的な方法はまだ決まっていない。

 760トンある2次系冷却材は、放射性物質を含まないため、別施設での再利用や工業用として売却することが考えられる。

 一方、原子炉内を循環する1次系760トンと、原子炉から取り出した燃料を一時保存する炉外燃料貯蔵槽にある150トンは、放射性物質を含むため、化学処理した上で廃棄する必要がある。

 また、取り出したナトリウムを保管するタンクの容量も、1次系540トン、2次系725トンで、いずれも一度に抜き取ることはできない。原子力機構は、仮設タンクの設置なども検討している。

過去に装置落下事故も
 作業中のリスクを減らすには、使用済み燃料の速やかな取り出しが求められる。政府は5年半で完了するとしているが、クリアすべきハードルは多い。燃料は遠隔操作で炉内中継装置と燃料交換装置を使って抜き取り、燃料出入機で炉外に出す。しかし、2010年8月、運転再開作業中に、燃料を着脱する炉内中継装置が炉内に落下し、作業中止に追い込まれた。

 中の液体ナトリウムは危険な上、銀色で透明でないため目視確認ができない。落下した装置の抜き取りに1年近くを要した。期間内に作業を終えるのに、ミスは許されない。

搬出先、見通し立たず
 順調に燃料を取り出せても、搬出先については「県外へ」との方針が示されているだけだ。茨城県東海村の再処理施設は14年に廃止が決定しており、フランスなど海外での再処理が考えられる。

 ただし、同じウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を使った廃炉中の新型転換炉ふげん(敦賀市)では、03年の運転停止時にあった使用済み燃料738体のうち466体の搬出先が決まらずに残されたまま。もんじゅも約束通り県外に搬出される保証はない。

 炉内中継装置落下事故の復旧作業に関し、原子力機構が設置した検討委員会で委員長を務めた福井大国際原子力工学研究所の竹田敏一特任教授(71)は、さまざまな検討課題があることは認めつつ、「トラブルがなければ5年半での燃料取り出しは十分可能だ」と話す。その上で「燃料の県外搬出など政治による解決が必要となる部分も大きい。国がしっかりと支援する必要がある」と指摘した。

掲載図1「原子炉内から引き抜いた燃料を炉外燃料貯蔵槽などへ運ぶ燃料出入機(左端)=福井県敦賀市白木2の高速増殖原型炉もんじゅで(代表撮影)」(略)
掲載図2「もんじゅの燃料取り出しルート魚拓

もんじゅ:地域振興に増額要求 予算、廃炉・管理に179億円 文科省説明 /福井 - 毎日新聞
毎日新聞2017年9月1日 地方版(福井県)

 文部科学省の増子宏・大臣官房審議官らが31日、県庁と敦賀市を訪れ、廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)関連の来年度予算概算要求について説明した。廃炉経費や維持管理費などとして今年度当初予算と同額の179億円、地域振興のため地元が求めていたもんじゅ敷地内に新設する試験研究炉の調査・検討費には、900万円増の2000万円を盛り込んだ。

 179億円の内訳は、燃料輸送装置の点検などの廃炉経費に16億円増の25億円を計上。一方、安全対策・維持管理費は廃炉作業が進み点検対象が減るため、16億円減の154億円とした。試験研究炉については、今年度中に運営主体のあり方などの中間とりまとめを行い、来年度に予算を倍増させて詳細な仕様を検討する。

 説明を受けた藤田穣副知事は、地域振興関連が増額要求となっている点に「県の要請に対し一定の受け止めをいただいた」と評価した上で、「中長期的な地域振興策についても、もんじゅ関連協議会のような場でしっかりと説明してほしい」と注文。増子審議官は「速やかに協議の場を設けたい」と応じた。【近藤諭、岸川弘明】

もんじゅ:廃炉…遅れる計画 地元と政府「お荷物」綱引き - 毎日新聞
毎日新聞2017年11月21日 07時30分(最終更新 11月21日 07時30分)

 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉作業の詳細な工程を定めた廃炉計画の申請が遅れている。所管する林芳正文部科学相が「8月中に出す」と明言したが、安全体制の構築や見返りの地域振興策について、福井県や敦賀市が納得する回答を政府が用意できていないためだ。もんじゅ廃炉決定から来月で1年。ほとんど稼働実績を残せなかった「お荷物」を巡る綱引きは今も続く。【近藤諭、酒造唯、鈴木理之】

廃炉の決断を巡っては、長年国策に協力してきた地元では「政府は一方的だ」との不信感が根強い。福井県の西川一誠知事は、地域振興策を協議する場の設置や、もんじゅ内にある使用済み核燃料の県外搬出などを政府が約束したことを受け、今年6月になってようやく廃炉を容認した。

 廃炉計画申請の前提として、県と市は、原子力機構との間で廃炉に伴う安全面などの約束事を定めた協定の締結を求めている。地元側は「安全な廃炉を行うための原子力機構の体制に課題がある」ことを強調する一方、協定締結は「(地域振興策が)来年度予算でどれくらい反映されるかによる」(西川知事)とけん制も忘れない。

 8月に西川知事らが林文科相に要請した12項目の地域振興策の中には、試験研究炉2基の整備や交付金の拡充などに加え、北陸新幹線の敦賀-新大阪間の早期整備や舞鶴若狭自動車道の4車線化など、もんじゅと関わりの薄い要求も含まれる。

 これに対し、政府は近く地元側に回答する見通しだが、「要求水準はかなり高く、とてもすべてには応じられない」(文科省幹部)と対応に苦慮している。地元はもんじゅの代わりに教育用と科学研究用の試験研究炉の新設を要求しているが、「このご時世、2基も造れるわけがない」(同)と明かす。

 一方、廃炉計画を審査・認可する原子力規制委員会は「リスク低減の観点から、原子炉に核燃料が入ったままの状況は看過できず、一日も早く廃炉計画を申請してほしい」と気をもむ。原子力機構の見通しでは、核燃料の取り出し完了には最低5年半かかる。

 原子力資料情報室の伴英幸共同代表は「安全に廃炉を進めることは誰もが求めていることだ。地域振興が原因で先延ばしにされているのであれば、理屈が通らない」と批判する。

掲載図:「もんじゅ廃炉計画申請までの流れ」(魚拓
地元が原発を支持する理由はカネ以外にないのだから、あらゆる事をカネの要求に変えてくるのは当然のことだ。核兵器とミサイル開発をテコに交渉力を高めようとするのと同じで、国との長期的関係の維持や個人的な関係維持への配慮があるので適当なところで手打ちするだけのことである。

論点:もんじゅ「廃炉」どう考える - 毎日新聞
毎日新聞2016年9月23日 東京朝刊

 高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の廃炉が年内に決まる見通しとなった。ウランとプルトニウムを再利用する核燃料サイクル政策の要として1兆円が投じられながらも、ほとんど成果は上げられなかった。一方で政府は核燃料サイクル政策を堅持する方針を示す。もんじゅ「廃炉」という大きな転換期を迎えるなか、国の原子力政策をどう考えるべきなのか。

決断、欧米より20年遅れ 吉岡斉・九州大教授

 1995年のナトリウム漏れ事故を受け、原子力委員会に97年に設置された高速増殖炉懇談会の委員を務めた。当時、米国は核不拡散や経済性の観点から研究開発を中止していた。ドイツも冷戦終了後の東西統一による財政難と、プルトニウムを保有するという「潜在的核兵器」の必要性がなくなったことなどから原型炉の建設を中止し、高速増殖炉開発は世界的に行き詰まっていた。日本でもこれまで何度も見直す機会があったはずだが、振り返るとこの懇談会が最後の機会だった。それを生かせず、今まで延びてしまったことが残念だ。

 懇談会で私は「もんじゅを博物館にして技術保存し、技術者は学芸員として再雇用してはどうか」と提案した。これが現実的な策ではないかと考えた。しかし、こうした意見は取り入れられることはなかった。もんじゅの次の段階となる実証炉以降の開発は白紙に戻るという成果こそあったが、もんじゅは廃炉にはならなかった。その後、廃炉を含めた在り方が検討されることはなく、巨額の費用が投入されてきた。日本で他国のように研究開発が見直されなかったのは、もんじゅを管理・運営する動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現日本原子力研究開発機構)を所管する文部科学省が、最大の抵抗勢力になったためだ。

 使った以上の燃料を生み出すという高速増殖炉は取り扱いが難しく、もんじゅは運転実績がほとんどないまま当初言われた「夢」や「未来」とは無縁だということは多くの人が分かっていたはずだ。これまで数回もんじゅを訪れたが、現場の責任者から「士気を維持するのに苦労している」という話を聞いたことがある。2012年に明らかになった1万件もの機器点検漏れなどは、やる気のなさの表れだろう。現場は延々と敗戦処理を続けていたといえるかもしれない。昨年11月に原子力規制委員会が運営主体変更を文科省に勧告した後、電力会社やメーカーが新組織への協力に難色を示したのは、将来性に疑問を持っていたからだ。

 60年代半ば、プルトニウムを米国から入手できるという話があって、それまで無理だと思われていた高速増殖炉への道が開け、国策として研究開発が始まった。しかし、ナトリウム漏れ事故以降、もんじゅは国の原子力政策全体の足を引っ張ってきた。政府は、このままでは身動きが取れないと考えたのだろう。

 廃炉にするということは、もんじゅをもはや守っているような状況ではなく、切り離さないと原子力政策が前に進めないという判断が働いたと考えられる。

 高速増殖炉の推進派にとっては、もんじゅを維持することが、ほとんど唯一といえる希望だった。「形さえ残っていれば、いずれ復活する可能性はある」という心のよりどころだった。廃炉は事実上、その道を断ち、政策の大きな節目となる。

 欧米より20〜30年遅れだ。地元の理解を得るのは難しいだろうが、国民の利益を考え、正式廃炉を決断してほしい。【聞き手・飯田和樹】

核燃サイクルこそ見直しを 鈴木達治郎・長崎大核兵器廃絶研究センター長

 政府はもんじゅの廃炉を今後検討する一方、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を減らす「高速炉」の研究を進める方針を打ち出した。しかし現時点では、高速炉は「絵に描いた餅」に過ぎない。基礎研究を進めることを否定はしないが、遠い夢に人や金を投入するのではなく、今そこにある課題に向き合うべきだ。

 政府は、核のごみの放射線量が天然ウランのレベルに下がるまで、今の再処理技術なら8000年かかるのに対し、高速炉で処理すれば理論上「300年」に短くなるとの試算を発表し、官民による高速炉開発会議の設置を決めた。政府としては、高速炉を「核のごみの焼却炉」とうたえば国民が受け入れやすいとの思惑があるのだろうが、今の科学技術で実証されておらず「誇大広告」でしかない。

 政府の増殖炉政策を検証する必要もある。政府はこれまで「もんじゅがなければ高速炉開発は進まない」と断言してきたが、今はもんじゅ廃炉の流れでも、従来通りの高速炉路線を掲げており、過去の主張はうそだったことになる。

 一方、政府は使用済み核燃料を全て再処理してウランとプルトニウムを取り出し、資源として利用する核燃料サイクルは堅持する方針だ。しかし今後、ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使うプルサーマル発電が進めば、使用済みMOX燃料が発生する。再処理が難しい使用済みMOXは、高速炉の実用化が進まなければ直接地面に埋めるなどの処分方法しかなく、政府の「全量再処理路線」は破綻し、サイクルの行き詰まりは一層鮮明になる。

 サイクルは余剰プルトニウムの問題も抱える。プルサーマルなどによるプルトニウム利用は進まず、日本は47・9トン(昨年末時点)を保有する。核兵器保有国を除けば世界的にも突出した量で、プルトニウムの使い道である高速炉がなければ「核兵器に転用するのではないか」との安全保障上の疑念を招く。政府は青森県の使用済み核燃料再処理工場を今後稼働させる方針だが、そうなれば保有量はもっと増える。サイクルを見直さなければ、日本はプルトニウムを狙うテロの脅威も一層抱える。

 今回の政策決定過程にも疑問がある。「もんじゅの廃炉方針」や「サイクルの堅持」は、誰がいつ、どう決めたのかは不明で透明性に欠けている。発表のタイミングは臨時国会(26日召集)直前で、国会のチェック機能も働いていない。政府の高速炉開発会議も、議論の透明性が確保されるのか。高速炉や核燃料サイクルを推進するなら、独立した第三者機関による徹底した検証が必要だ。

 高速炉の開発は今後30年以上かかる息の長い取り組みになる。その一方、余剰プルトニウムや核のごみの処分といった問題のほか、東京電力福島第1原発の廃炉処理や除染廃棄物の処分といった課題は目の前にある。旧来の高速炉や核燃料サイクルに固執するようでは、福島事故で失われた原子力政策への国民の信頼は回復されないだろう。それよりも、原子力技術が生み出した負の遺産への後始末に全力を注ぎ込むべきではないか。【聞き手・中西拓司】

自主技術を無駄にするな 菊池三郎・公益財団法人原子力バックエンド推進センター理事長

 資源のない日本にとって、核燃料サイクルは率先して手に入れないといけない技術だ。通常の原発である軽水炉で燃料に使えるウランは1%以下しかない。99%以上を占める燃えないウランをプルトニウムに変えて増殖し、繰り返し使うことで、海外に依存しない「準国産エネルギー」が得られる。高速増殖原型炉「もんじゅ」はその中核となる日本の自主技術だ。無駄にすべきではない。

 高速増殖炉開発は戦後間もなく始まり、日本の産学官が連携して進めてきた。実験炉の常陽は1977年に稼働し、原型炉のもんじゅも少ないながら発電実績があり、日本は開発のトップグループにいる。実用化にはこの先、経済性を確かめる実証炉、150万キロワットクラスの大型の実用炉を目指す必要がある。ロシアはすでに実証炉を稼働して発電を始めた。中国やインドも追随し各国がしのぎを削っている。もんじゅを廃炉にすれば日本の技術開発はそれだけ出遅れ、ライバル国を喜ばせるだけだ。もんじゅの代わりにフランスで計画中の実証炉「ASTRID(アストリッド)」を利用する計画もあるが、モノを持たずに人や技術が育つのか。日本もASTRIDに対抗する原子炉を持ってこそ、お互いの技術を伸ばせる。

 安全保障上の観点も重要だ。核兵器に転用できるプルトニウムを平和利用に限ることを条件に、日本は日米原子力協定で米国に核燃料サイクルを認められている。もんじゅが廃炉になればプルトニウムが利用できず、2年後の協定改定に大きな影響を及ぼす懸念がある。

 規制のあり方にも問題がある。新しい保守管理制度が2008年に始まった際、あまり議論をしないままもんじゅに軽水炉と同じ制度を導入したことが、1万件もの点検漏れを招いた背景にある。もんじゅは一品物の研究開発炉で、ある程度のつまずきは避けられない。そこを理解しないまま原子力規制委員会は、運営組織交代という一方的な退場勧告をしたように思える。いかに電力やメーカーの協力を得ても、ナトリウムの扱いを知っている人でなければ運転はできない。規制委は、中枢にいる人のモチベーションを高める指導をすべきではないか。

 もんじゅはナトリウム漏れ事故などトラブルが続き、事故直後のビデオを隠す不祥事もあった。ただその多くは、組織や人の意識を高めれば未然に防げる。当時運営主体の旧動力炉・核燃料開発事業団に「運転できなくても経営に影響しない」という甘さがあった。これほどの停滞を自ら招いたことは残念だが、信頼は必ず回復できる。ナトリウム漏れ事故を受けて私が建設所長に就任した時は、地元の福井県ですらほとんどの市町村がもんじゅに反対だった。隠蔽(いんぺい)体質を徹底した情報公開で改め、長い時間をかけて理解を得る活動を続け、今では地元自治体のほとんどがもんじゅに賛成だ。

 もんじゅを廃炉にするのは、軽水炉の再稼働を進めるための「いけにえ」としか見えない。高速増殖炉は実用化に長い時間がかかるかもしれないが、百年の大計で臨むべきだ。【聞き手・酒造唯】

運転実績、22年で250日
 高速増殖原型炉「もんじゅ」は、原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを燃料とし、使った以上のプルトニウムを生み出す「夢の原子炉」と言われた。1994年4月に臨界を達成したが、95年12月にはナトリウム漏れ事故を起こすなどで22年間の運転実績は250日。2012年に約1万件の機器点検漏れが発覚し、原子力規制委員会が運営主体(日本原子力研究開発機構)の変更を求めていた。政府は年内に廃炉を正式決定する。

 ■人物略歴

よしおか・ひとし
 1953年生まれ。東京大大学院理学系研究科博士課程単位取得退学。専門は科学技術史。東京電力福島第1原発事故後、政府の原発事故調査・検証委員会の委員を務めた。

 ■人物略歴

すずき・たつじろう
 1951年生まれ。東京大原子力工学科卒、米マサチューセッツ工科大修士修了。専門は原子力政策。2010年1月〜14年3月、内閣府の原子力委員会委員長代理を務めた。

 ■人物略歴

きくち・さぶろう
 1941年生まれ。京都大工学部原子核工学科卒。旧動燃でもんじゅ建設所長や理事を歴任。フランスからのプルトニウム輸送を指揮しミスタープルトニウムと呼ばれる。2005年から現職。

鈴木氏が指摘する政策決定過程の不透明さや、政府が主張してきたもんじゅの存在根拠のすり替えなどは重要だ。他方、菊池氏の主張は根拠のない願望論と情勢論だけで、存続派ですら技術を信じられなくなっていることをうかがわせる。

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2017/03/22

古い記事:原発事故は「天罰」。元原子力安全院長が笑いながら。

2016年3月の記事。知らなかったのでメモ。

原発事故は「運命」…元原子力安全委トップが笑顔で大放言 | 日刊ゲンダイDIGITAL(2016年3月9日)

 震災発生時の原子力安全委員会トップが大放言だ。8日放送の「みんなのニュース」(フジテレビ系)で、班目春樹・元原子力安全委員長が原発事故を笑いながら「天罰」「運命」と表現するシーンが放送された。

 班目氏が出演したのは、シリーズ特集「震災から5年 あの日から今へ」。3回目となる8日は、VTRに登場した班目氏が番組司会の伊藤利尋アナウンサー(43)に対し、福島第1原発事故の対応と問題点を振り返る内容だった。

 インタビューで班目氏は、当時の菅直人首相(69)から「水素爆発はあるのか?」と尋ねられたことを明かし、格納容器の中に酸素はないため爆発はしない、と回答したと説明。しかし、その数時間後に1号機建屋で水素爆発が発生した。

 このことについて班目氏は、格納容器から水素が漏れ出して建屋内で爆発する可能性までは菅首相に説明していなかったことを「大失敗だったとは思う」と後悔しつつ、間違った説明ではなかったとの認識を示した。また、爆発後、菅首相から信頼されなくなったことを「ひしひしと感じました」とも語った。

 その後の事故対応について、「あんな人(菅首相)を総理にしたから天罰が当たったんじゃないかって、このごろ運命論を考えるようになっちゃってますよ」と笑いながら回答。伊藤アナから「唯一の専門家として、もうちょっと(何とか)できなかったか」と尋ねられても、「あの時、(専門家は)ずっと私1人だけだった」「原子力保安院が図面を持ってこなかった」などと、終始のらりくらりと答えていた。

 他人ごとのように5年前を振り返った班目氏。当時の責任者がこれでは、最悪の事故を招いたのも当然だ。

斑目氏が当時の菅首相を恨んでいるらしいことは割と広く知られていると思う。
しかしこの惨状を招いた事故とその事故につながる体制を主導的に支えた人として「天罰」や「運命論」を公言するのはかなりひどい。案の定、「斑目 運命」で検索すると、憤慨した人を沢山見つけることができる。

「フクシマ」への警戒を解かない人たちを「非科学的」と批判する声はいろいろあって、確かに「心配しすぎ」とか「不安を煽る」とかいう場合もあるだろうけれども、しかし私としては、そうした不安の根本には、この斑目氏が象徴するような体制への強い不信感があるのだと思う。「じゃあ自分で勉強しろよ」「その選択の結果は自己責任だから今後一切の補償は不要だろう」などなどという声が出てきそうだが、しかし生活に忙殺されている庶民ができることには限りがある以上、とりあえず安全側に振っておく、すなわち権力側の情報は懐疑的に受け取るという態度は合理的たりうる。そして斑目氏のような人々の存在は、この態度への信頼を補強することになる。これはスパムメールの広告や訪問販売などのうまい話への警戒心と同じ、いわば庶民の知恵である。だから、どんなに科学者の人たちが「原発は安全だ」とか「福島は安全だ」と言い続けても、いや、言い続けるからこそ、不安が払拭されることはないだろう。原発への信頼を回復するには、PAを熱心にすることよりも、原発を支える制度と関係者が十分信頼でき、万一の時には権力の頂点にある人たちがまさに身命をなげうって誠実にその被害に寄り添い続けるのだという確信を国民に与えるしかない。正すべきは反原発の人々の不信感ではなく、原発運用と被害救済のの体制である。

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2016/12/05

アンダーコントロールの実情と廃炉ロボコンなどの役割など。

放射性廃棄物の缶は腐食?プールに雑然 東海再処理施設:朝日新聞デジタル(2016年12月5日05時00分)

福島原発の事故処理が「アンダーコントロール」なのだそうだから、他の平常な原発関連施設は当然「アンダーコントロール」なのだろう。

東海再処理施設の廃止には70年かかる見通しなのだそうだ。

東海再処理施設「廃止に70年」 原子力機構が見通し:朝日新聞デジタル(2016年9月8日23時51分)

70年。人の一生分の時間をかけて約30年稼働した施設の後始末をする。費用の見積もりはまだ立っていない。
もっとも、費用を見積もっても、70年間の総額をその金額以内に収める約束になるという保証はない。

福島原発事故:廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍 - 毎日新聞(2016年11月27日 21時38分(最終更新 11月28日 06時47分))

これによれば、福島第一原発の事故処理費用が2013年当初11兆円の見積もりが20兆円に変更になるという。70年にも満たないわずか3年ほどでこれである。東京五輪の例を想起すれば、この種の見積もりはもっと膨れると見てもいいだろう。
そして、これらの廃棄物処理は経済の生産力増加には寄与しない。公害の後始末のようなものだ。それに70年かかるという。

そして、廃棄物の最終処分は相変わらず棚上げ状態。

「核のごみ」19道府県が受け入れ拒否 朝日新聞調査:朝日新聞デジタル(2016年1月27日07時51分)

朝日新聞が2015年12月から2016年1月に47都道府県に対して行った調査。
・15府県は明確に拒否、4道県は事実上拒否。
・残りは未検討や情報収集中などで、「検討する余地はある」を選んだ都道府県は一つもなかった。
とのこと。

「トイレなきマンション」という表現は故武谷三男氏が80年代には唱えていたようだが、30年経っても状況は変わっていない。
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この状況下でも原発再稼働と核燃料サイクル維持に執着し続ける日本政府。

東京新聞:新高速炉 負担増大も もんじゅ代替 18年に工程表:経済(TOKYO Web)(2016年12月1日 朝刊)

アンダーコントロールの実情である。

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そう言えば、「廃炉ロボコン」という催しがあったのだそうだ。

廃炉作業のロボットコンテスト 福島 楢葉町 | NHKニュース(12月3日 20時29分)

独立行政法人国立高等専門学校機構 福島工業高等専門学校専攻科 専攻科特命教授 北海道大学名誉教授 佐藤正知「廃炉に関する基盤研究を通じた 創造的人材育成プログラム」平成28年3月2日(火)15:30-16:00 いわき産業創造館

「廃止措置人材育成高専等連携協議会」なる団体があるそうだ。
この催しの主旨自体は結構なことだと思うが、原発予算に群がる「生態系」が着実に広がっている一つの現れであるだろう。

まず、この「廃炉ロボコン」は文科省の補助金事業である。「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」の平成27年度採択課題になっている。
採択機関ページ 人材育成 -英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業魚拓
この補助金は元々「原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ」と呼ばれていたものが、東日本大震災の後に復興対策と廃炉の研究に方向が変わったものだ。

次に、今回、「廃炉創造ロボコン実施概要」をウェブに掲載している団体は「イノベーション・コースト構想推進企業協議会」という。この団体のウェブサイトを見ると、経産省と密接な関係があることが分かる。

イノベーション・コースト構想推進企業協議会
東京電力株式会社福島第一原子力発電所について-原子力被災者支援-(METI/経済産業省)

この協議会、「福島県浜通りの復興と再生に資するプロジェクトの具体化を推進」しているのだが、なぜか事務局の所在地は東京都中央区にある。
会員と幹事会社はそのほとんどが大手上場企業で、電力、原発保守、重工、プラント、建設など。
会員企業 | イノベーション・コースト構想推進企業協議会
協議会の紹介 | イノベーション・コースト構想推進企業協議会
これらを見ると分かるように、原発関連に復興財源を引っ張ってくるための団体である。

幹事会社の株式会社アトックスは原発保守管理会社で、廃炉ロボコンを協賛している。
アトックス - Google 検索
(注意)原発作業員から一番酷い会社と名指しされている、悪徳企業アトックス(ATOX)について。portirland 山田花子
■呼びかけ【福島第一原発収束作業員の、人間の尊厳をかけた闘いに広範な支援を!】 - 旗旗

この「イノベーション・コースト構想推進企業協議会」の賛助会員である「株式会社AREVA ATOX D&D SOLUTIONS」はアレバとアトックスの関連企業である。

また、賛助会員の一つに「技術研究組合国際廃炉研究開発機構(IRID)」という団体があるのだが、この団体は、上述した文科省の「英知を結集した原子力科学技術・人材育成推進事業」のウェブサイト(JST)の上にもリンクがある。
そして、「国際」という名がついている割に、組合員はすべて日本企業である。
組織概要 | 技術研究組合 国際廃炉研究開発機構 - IRID魚拓

4.組合員(18法人)
国立研究開発法人
日本原子力研究開発機構、産業技術総合研究所
プラント・メーカー等
(株)東芝、日立GEニュークリア・エナジー(株)、三菱重工業(株)、(株)アトックス
電力会社等
北海道電力(株)、東北電力(株)、東京電力(株)、中部電力(株)、
北陸電力(株)、 関西電力(株)、中国電力(株)、四国電力(株)、
九州電力(株)、 日本原子力発電(株)、電源開発(株)、日本原燃(株)
上記の「イノベーション・コースト構想推進企業協議会」とメンバーの重複があることが分かる。また、このページの「国際廃炉研究開発機構の役割のイメージ」によれば、IRIDの会員ではないが、この廃炉生態系には三菱総研が事務局(金庫番)的な位置にいることも分かる。

ところで、廃炉を飯の種にする研究開発活動といえば、「原子力損害賠償・廃炉等支援機構(NDF)」という団体がある。
原子力損害賠償・廃炉等支援機構

もともと震災後の2011年9月に「原子力損害賠償支援機構」が設立されて、東電の賠償業務の支援をしていたのだが、2014年8月に「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が「原子力損害賠償・廃炉等支援機構法」に改正?され、廃炉の研究開発も含むようになった団体である。資本金は政府70億円、原子力事業者等70億円の合わせて140億円。
どうでもいいが、財務明細によれば、この機構、NDFの常任役員は年に2千万円ぐらい報酬をもらっているようだ。NDFの主な仕事は東電に賠償関係資金(主に国債から)を交付することなのだが、その仕事の経費が年に40億円ぐらいかかっている。そのうち1億円ぐらいが役員報酬らしい。こういう経費も原発事故の費用の一部と言っていいのではないか。

それはともかく、このNDFの活動の一環として、大学、高専などでの「廃炉人材」の育成が掲げられている。
取組の全体像 | 廃炉研究開発情報ポータルサイト
人材育成 | 廃炉研究開発情報ポータルサイト

関わっている人たちの善意を疑っているわけではないが、良くも悪くも「廃炉ロボコン」とはこういう立ち位置の催しである。

以前述べたように、事故処理と廃炉には後出し的に予算を膨張させることが可能な条件がいくつもそろっている。
従って、この種の事業は今後もいろいろと考案・実施されていくであろう。
そして、そのたびに原発生態系のおこぼれに預かる人々は薄く広く社会全体に広がっていくだろう。
そのことは、原発や「核」に対する意識にどのような影響を与えるだろうか。

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放射性廃棄物の缶は腐食?プールに雑然 東海再処理施設:朝日新聞デジタル(2016年12月5日05時00分)

 貯蔵プールに乱雑に投入された放射性廃棄物入りのドラム缶、敷地内に残された中身のよくわからない廃棄物容器……。廃止が決まった原発の使用済み燃料再処理工場「東海再処理施設」(茨城県)を11月上旬に訪ねると、ずさんな廃棄物の管理や老朽化した施設の様子から、解体作業が極めて難航しそうな状況がわかってきた。

魚拓:図1(東海再処理施設=茨城県東海村)
魚拓:図2(高放射性固体廃棄物貯蔵庫のイメージ)
魚拓:図3(東海再処理施設廃止の流れ)

 使用済み燃料の再処理で出た廃棄物をプールで貯蔵する「高放射性固体廃棄物貯蔵庫」。11月7日、日本原子力研究開発機構の担当者が施設の前で、プール内の状況を写真で説明した。

 水が濁ったプール内には廃棄物入りのドラム缶が約800個、乱雑に積み上がっている。ドラム缶の山の高さは約7メートル。水中カメラを近づけると茶色い物体が舞い上がったという。「水あかか、さびなのかはわからない」

 ドラム缶の中身は、バラバラにした使用済み燃料の被覆管だ。1977~94年に投入された。つり下げたワイヤを切って投入したといい、プール内でワイヤが複雑に絡み合っているとみられる。ドラム缶が腐食し、廃棄物が漏れている可能性も指摘されている。

 水面の放射線量は毎時3ミリシーベルト。一般人の1年間の追加被曝(ひばく)限度の3倍を1時間で浴びる数値だ。水の浄化装置はない。

 また、敷地内には中身がよくわからない廃棄物の容器が多数あるといい、ふたを開けて分別し直す必要があるという。

 原子力規制委員会の担当者は「とても適当とは言えない状況が続いている。原子力機構だけでなく、旧科学技術庁も旧原子力安全・保安院も、見て見ぬふりをしてきた」と話す。

 このほか、極めて放射能の強いガラス固化体が約250本、低レベルの濃縮廃液が約3千立方メートル、低レベルのアスファルト固化体がドラム缶約3万本分ある。

 最もやっかいなのが、再処理の際に出た約400立方メートルの高レベル放射性廃液だ。人間が近づくと20秒で死亡する毎時1500シーベルトの線量がある。放射性物質を多く含み、放っておくと自ら発熱して水素が発生し、水素爆発する危険があるため、原子力機構は廃液をステンレス製のタンク6基に保管して水を循環させて冷やし、水素の換気も続けている。2011年の東日本大震災では40時間以上にわたって外部電源が失われ、非常用発電機でしのいだ。

 規制委は13年、廃液のままだと漏れ出す恐れがありリスクが高いとして、ガラスで固める作業の再開を再処理施設が新規制基準に適合する前に特例で認めた。今年、作業が再開されたが故障が相次ぎ、予定の4分の1で中断している。

■「ドラム缶取り出し、考慮していなかった」

 原子力機構は11月30日、廃止が完了するまでに70年かかり、当面10年間に約2170億円かかるとの工程を規制委に報告した。

 だが、作業は簡単には進みそうにない。高放射性固体廃棄物貯蔵庫のプール底のドラム缶について、原子力機構は「取り出しを考慮していなかった」。今後、装置を開発して、水中でワイヤを切りながら一つずつ持ち上げる方針だ。

 施設そのものも汚染されている。使用済み燃料を粉々にした施設の内部の放射線量は毎時200ミリシーベルト。担当者は「遠隔操作で機器を解体するのか、人が入れるまで除染するのか検討中」と語った。

 規制委は原子力機構が検討する廃止計画に再三、懸念を示してきた。9月の会合では規制委幹部が踏み込んだ。「実現性に疑問がある。廃止の検討が始まって3年たつのに、アバウトな計画しかない」

 文部科学省出身で原子力機構の田口康副理事長は「できていないのはけしからんが、これからちゃんとしたものを、どう作っていくかという話をさせていただきたい」と答えた。

 廃棄物の処分先も見通せない。高レベル廃棄物は地下300メートルより深い場所に10万年間埋める。国が年内にも処分に適した「科学的有望地」を示す方針だが、決まらなければ施設で保管し続けるしかない。(東山正宜、杉本崇)

     ◇

 〈東海再処理施設〉 原発の使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出す技術を得るために、約1900億円かけて建設された。1981年に本格運転を始め、原発約10基分にあたる1140トンの燃料を処理した。97年に廃棄物のアスファルト固化施設で爆発事故が起きた。2014年に廃止が決まった。運営する日本原子力研究開発機構は、高速増殖原型炉「もんじゅ」の運営主体でもある。

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東海再処理施設「廃止に70年」 原子力機構が見通し:朝日新聞デジタル(2016年9月8日23時51分)

 日本原子力研究開発機構は8日、原子力規制委員会の会合で、東海再処理施設(茨城県東海村)を廃止するまでに約70年かかるとの見通しを明らかにした。規制委は「老朽化する施設の補強も必要になる」などと指摘。廃止にかかる費用や人員などを検討し、11月末までに提出を求めた計画書に盛り込むよう指示した。

 東海再処理施設は、原発の使用済み核燃料を再処理するのを目的に1981年、本格運転を始めた。再処理はすでに終了し、施設は廃止が決まっている。原子力機構によると施設には34の建物があり、すべてを廃止するには約70年かかると説明した。

 一方、再処理で出た高レベルの放射性廃液が1月時点で約400立方メートル残っていた。ガラスと一緒に固める処理を進めていたが、設備のトラブルで止まっている。原子力機構は8日、ガラス固化は計画通り約20年で終えられるとした。

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東海再処理施設「廃止に70年」 原子力機構が見通し:朝日新聞デジタル(2016年9月8日23時51分)

 日本原子力研究開発機構は8日、原子力規制委員会の会合で、東海再処理施設(茨城県東海村)を廃止するまでに約70年かかるとの見通しを明らかにした。規制委は「老朽化する施設の補強も必要になる」などと指摘。廃止にかかる費用や人員などを検討し、11月末までに提出を求めた計画書に盛り込むよう指示した。

 東海再処理施設は、原発の使用済み核燃料を再処理するのを目的に1981年、本格運転を始めた。再処理はすでに終了し、施設は廃止が決まっている。原子力機構によると施設には34の建物があり、すべてを廃止するには約70年かかると説明した。

 一方、再処理で出た高レベルの放射性廃液が1月時点で約400立方メートル残っていた。ガラスと一緒に固める処理を進めていたが、設備のトラブルで止まっている。原子力機構は8日、ガラス固化は計画通り約20年で終えられるとした。

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福島原発事故:廃炉・賠償20兆円へ 従来想定の2倍 - 毎日新聞(2016年11月27日 21時38分(最終更新 11月28日 06時47分))

 東京電力福島第1原発事故の賠償や廃炉などにかかる費用が総額20兆円超に上り、従来の政府想定のほぼ2倍に膨らむと経済産業省が試算していることが27日、分かった。政府は拡大する費用の一部を東電を含めた大手電力と新電力(電力自由化で新規参入した業者)の電気料金に上乗せする方針で、国民負担の増大は必至だ。

魚拓:図(福島第1原発事故の費用は大きく膨らむ見通し)

 経産省は、東電の経営改革や資金確保策を協議する有識者会議を開催しており、年内にも結論を出す方針。試算は会議の議論のベースになるとみられる。

 政府の従来の想定は、賠償=5.4兆円▽除染=2.5兆円▽汚染土を保管する中間貯蔵施設の整備=1.1兆円▽廃炉=2兆円の計11兆円となっていた。

 新たな試算は、賠償が約8兆円、除染が4兆~5兆円程度に膨らむ見通し。廃炉も従来の2兆円が数兆円規模で拡大する公算が大きい。中間貯蔵施設の整備費は変わらないが、全体では20兆円を上回る見込みとなった。

 政府の従来想定は2013年末時点に見積もったが、賠償や除染の対象が増加している。廃炉も原発内に溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の取り出し費用などが拡大。経産省は既に現状で年800億円の費用が年数千億円程度に達するとの試算を明らかにしている。

 費用の工面について、政府はこれまで、賠償は国の原子力損害賠償・廃炉等支援機構がいったん立て替え、東電を中心に大手電力が最終的に負担金を支払い▽除染は国が保有する東電株の売却益を充当▽中間貯蔵施設は電源開発促進税を投入▽廃炉は東電が準備--との枠組みを示してきた。

 政府は、賠償費の増加分について、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の立て替え増額を検討。これとは別に、大手電力や新電力が送電会社の送電線を利用する料金への上乗せも検討している。この料金は政府の認可制となっており、最終的に電気料金に転嫁される。

 除染費も東電株の売却益で賄えない可能性が高く、東電などに負担を求める案が検討されている。その場合、最終的に電気料金に転嫁される可能性がある。

 廃炉費は、東電が他社との提携などによる経営効率化で捻出した資金を積み立てる制度の創設を検討する。ただ、東電が経営努力のみで賄いきれるかは不透明で、電気料金の引き上げにつながる可能性もある。【宮川裕章、岡大介】

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「核のごみ」19道府県が受け入れ拒否 朝日新聞調査:朝日新聞デジタル(2016年1月27日07時51分)

 原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物をめぐり、4割の19道府県がすでに最終処分場の立地を受け入れない方針を固めていることが、朝日新聞の調査でわかった。岩手、岐阜、高知、熊本など15府県は選択肢から「受け入れない」を選び、明確に拒否した。北海道、新潟、岡山、宮崎の4道県は「その他」を選んだが、記述欄で事実上拒否する考えを示した。

 残りの6割は未検討や情報収集中などで、「検討する余地はある」を選んだ都道府県は一つもなかった。

魚拓:図(都道府県の4割が最終処分場の受け入れを拒否している)

 高レベル放射性廃棄物の最終処分は原子力発電環境整備機構(NUMO)が担い、地下300メートルより深い地層に埋める。政府は昨年5月、公募方式から国主導で処分地を選ぶ方式に転換する基本方針を閣議決定。年内に処分に適した「科学的有望地」を示す方針だが、関連法は知事と市町村長の意見を聴いて十分に尊重するよう定めており、知事が拒否すれば立地は極めて困難になる。

 調査は47都道府県に対し昨年12月下旬~今月上旬に実施。「受け入れる」「受け入れを検討する余地はある」「受け入れない」などの選択肢を示し、理由とともに書面で回答を得た。明確な拒否は地方に多く、原発立地県は北海道、福島、新潟、石川、福井が拒否の姿勢。都市部では態度を明確にしない回答が目立つ。

 自治体側の拒否感は強いが、経済産業省資源エネルギー庁の放射性廃棄物対策課は「まずは有望地を示し、国民に関心を持ってもらうことに意義がある。すぐに自治体に受け入れの判断を迫るわけではない」と説明する。

■都市部は明示せず

 NUMOが公募を始めた2002年以降で唯一、07年に手を挙げた高知県東洋町では、その後、非難が集中して町長が落選。応募は撤回された。以来、正式に応募した自治体はない。

 高知県は今回、「受け入れない」を選び、「南海トラフ地震対策を抱え、最終処分場を安全に運営する余力はない」と説明した。尾﨑正直知事が昨年6月の記者会見で「受け入れる余地はない」と宣言している。

 ほかに明確に拒否した県は「原…

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東京新聞:新高速炉 負担増大も もんじゅ代替 18年に工程表:経済(TOKYO Web)(2016年12月1日 朝刊)

 政府は三十日、廃炉が濃厚な高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県)に代わる新たな高速炉を国内で建設するため、今後十年程度で必要になる作業をまとめた工程表を二〇一八年中に示す方針を固めた。一兆円の国費を投じながら、ほとんど稼働していないもんじゅの反省もないまま、さらに天井の見えない負担が国民にのしかかる恐れが出てきた。 (吉田通夫)
 官民合同の三十日の「高速炉開発会議」で、今後の開発方針の骨子をまとめた。十二月中に関係閣僚会議を開き、もんじゅの廃炉時期と併せて正式に決める。
 高速炉の実用化には(1)実験炉(2)原型炉(3)実証炉-の段階を踏み、実験データを集めて研究を進めねばならない。日本では(2)の原型炉のもんじゅの段階でつまずいたが、政府は仏政府が計画する実証炉「ASTRID(アストリッド)」に資金を出して共同研究したり、(1)の実験炉「常陽」(茨城県、停止中)を活用すれば、(3)の実証炉での研究に進むために必要なデータを集められると判断。国内に新しい実証炉を建設する方向で調整している。
 しかし必要な費用は検証できない状態だ。アストリッドは設計段階で、建設費は固まらず日本の負担額は分からない。常陽も東日本大震災後、耐震など新たな規制基準に合わせる工事をしている途中で、費用は不明。さらに新たな高速炉を建設する場合、構造が複雑なため、建設費が通常の原発より数倍は高いとされる。規模によっては一兆円を超えるとの見方もある。
 会議後、経済産業省原子力政策課の浦上健一朗課長は記者団に「現段階で費用は示せない」と話すにとどめた。もんじゅを所管する文部科学省も、過去の会議では、もんじゅを再稼働する場合と廃炉にする場合の費用試算を示しただけ。それでも政府は、原発で使い終わった核燃料を再利用する「核燃料サイクル」には高速炉が必要だとする従来の考え方を強調し、開発続行の方針を打ち出した。
 原子力政策に詳しい原子力資料情報室の伴英幸(ばんひでゆき)共同代表は「政策の流れを変えられないから費用や反省点を検証せず続けるというのでは、新しい高速炉を造ってもうまくいかないだろう」と話した。

◆プルトニウムを増やさず 高速増殖炉と高速炉の違い
 「もんじゅ」は高速増殖炉の原型炉とされる。「増殖」は、消費した以上の燃料を作り出せるという意味。炉心の周囲に置いた燃えないウランを、燃えるプルトニウムに変えることができるからだ。
 しかしプルトニウムが余る時代となり、増殖の意義が薄れ、かえって核兵器の材料になるやっかいものを増やしてしまう。政府は、これからは増殖させない高速炉を開発するとしている。
 共同研究が想定されるフランスのASTRID(アストリッド)は、高速実証炉。周囲に燃えないウランを置かないので、プルトニウムの増殖はない。また長期間にわたって放射線を出し続ける核廃棄物を燃やし、処分期間の短縮につながる可能性もある。ただし、もんじゅ同様、核分裂で生じた熱を伝えるために、危険なナトリウムを用いる。
 なお「高速」とは、核分裂連鎖反応を起こす中性子の種類のこと。普通の原発では、燃料にぶつける中性子を水で減速させている。もんじゅなどは、中性子の減速をしないため、高速の名がある。

魚拓:図1(高速炉開発方針の骨子案)
魚拓:図2(高速炉開発の費用)

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廃炉作業のロボットコンテスト 福島 楢葉町 | NHKニュース(12月3日 20時29分)

東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業で使うことを想定したロボットのコンテスト「廃炉ロボコン」が福島県楢葉町で開かれ、全国各地から出場した高等専門学校の15チームが、その技術力を競いました。
「廃炉ロボコン」は、40年かかるとされる福島第一原発の廃炉作業について若い世代にも関心を高めてもらおうと、文部科学省などが初めて開きました。
地元・福島や東京など全国13の高等専門学校から合わせて15チームが出場し、原子炉が入っている建物の中を模した急な階段を上り下りしたり、高い場所の映像を撮影したりする課題に取り組みました。

電子機器が強い放射線にさらされる状況を想定して、作業の時間は5分から10分に限られ、コンクリートの厚い壁で電波が通らないため、ロボットは原則ケーブルを使って制御します。
各チームは走行用のベルトのほかヘリウムガスが入った風船や小型の無人機、ドローンを使ったロボットなどで課題に挑み、課題をうまくクリアすると会場から拍手が起きていました。

伸縮するアームを使って高い場所の撮影に成功した東京工業高専の男子学生は、「放射線の影響を考慮して電子部品を減らし、実際に使えるような仕組みを考えました。研究を進めて、いつか復興の役に立ちたいです」と話していました。

今回、課題に挑んだロボットについては、企業からの要請があれば、そのアイデアを生かした共同研究も行われるということです。

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