カテゴリー「日記・コラム・つぶやき」の828件の記事

2017/02/22

これでは「不可逆的な解決」など到底望めない。本当に分からないんだなあ。

日韓合意からまもなく書かれたコラム。
著者は布施広氏。毎日新聞の専門編集委員。

布施広の地球議:日本人は残忍か - 毎日新聞(2016年1月13日 東京朝刊)

 日本人は「とても残忍な人種」(very cruel race)。現代のコメディー映画「ブリジット・ジョーンズの日記」の中で、主人公の母親はそう話す。前回紹介したフィナンシャル・タイムズの記者、デビッド・ピリングさん(51)。だから困る。

 他方、ピリングさんの本「日本-喪失と再起の物語」(早川書房)の中で、実業家の稲盛和夫さんは「欧米人にとって戦うことは本能なのです。日本人にはそういうところがありません」と語っている。侵略の過去はあるにせよ、日本は「平和国家として世界をリードしてきた」というのが稲盛さんの見方だ。

 どちらが妥当か。当然稲盛さんの方だと私は思うが、中露首脳は日本の「歴史の歪曲(わいきょく)」を警戒し、米議会は慰安婦問題で日本の謝罪要求決議を挙げた。韓国民は日本大使館前の慰安婦像の移動・撤去に反対する。日本への視線が冷たい。

 ピリングさんは私にこう語った。

 「日本人のイメージは内外で対照的です。戦後70年、日本は平和的な憲法を持ち、自衛隊が敵に1発の銃弾も撃っていないのは確かだが、多くの外国人は旧日本軍の行為を覚えている。平和的か残忍かは一概には言えない。他国民同様、環境によって日本人も変わりうると思います」

 「日本には戦国時代があったし、開国を余儀なくされると欧州の植民地勢力を見習って攻撃的に帝国建設を試みた。欧州諸国も昔は争い、今や欧州連合の“平和的な″加盟国になったけれど、フランスや英国は『イスラム国』(IS)を空爆している。状況によって変わるのです」

 と同時にピリングさんは「プロパガンダ戦争」という言葉を使い、近隣国の見方が世界の日本観に影響するとも語った。中国や韓国が戦略的に「ゴールポスト」を動かせば日本はいつまでもゴールできず、欧米にある「残忍な」印象も消えないということでは困ってしまうが。

 私はステレオタイプで極端な日本観は欧米が率先して正してほしいと考える。昨年、米国の識者らが日本の歴史認識をたしなめるべく発表した声明は、肝心の慰安婦問題で「償い事業」や首相の「おわびの手紙」に言及せず、目配りに疑問を残した。中心になった大学教授は日本の領土的主張を「拡張主義」「瀬戸際外交」と表現するが、日本人は納得しないだろう。南シナ海に人工島を造り、「水爆」実験をする国にこそふさわしい批判ではないか、と。

 年明け、慰安婦問題で多くの学生と話をする機会があった。日韓合意は成ったが、問題再燃を警戒し「なぜ日本ばかり非難されるのか」と悩む若者の姿が痛ましい。不可逆的に問題を解決して、若者の目を未来に向けてやりたい。(専門編集委員)

これは連載の後編で、前編は以下。

布施広の地球議:「喪失と再起の物語」 - 毎日新聞(2016年1月6日 東京朝刊)

この前編では、前半の日本文化とか大和魂とかの、何が言いたいかよく分からない枕がある。それはどうでもいい。

布施氏は「ステレオタイプで極端な日本観は欧米が率先して正してほしい」と言いながら、稲盛氏の「欧米人にとって戦うことは本能」「日本人にはそういうところがありません」というステレオタイプは「当然妥当」だと思うのだそうだ。
こういうの、最近の流行では「日本スゴイ」というのではないかな。

そして、

日韓合意は成ったが、問題再燃を警戒し「なぜ日本ばかり非難されるのか」と悩む若者の姿が痛ましい。不可逆的に問題を解決して、若者の目を未来に向けてやりたい。
と言いながら
中国や韓国が戦略的に「ゴールポスト」を動かせば日本はいつまでもゴールできず、欧米にある「残忍な」印象も消えないということでは困ってしまうが。
と言う。若者が悩む原因を作っている側の主張をしている人が「若者を救いたい」と言う皮肉。日本の夜明けは遠いなあ……。

まあ要するに、布施氏は因果関係の逆転に全く気づいていないわけだ。これこそ正すべき「ステレオタイプ」だと思うのだが、布施氏からすれば、諸外国の「日本憎し」が先に立った強硬姿勢こそが「不可逆的な解決」とか「真の和解」とかを阻害していると映るのだろう。
布施氏は、ピリング氏の、国民が「平和的か残忍かは環境や状況によって変わる」という言葉を引きながらも、「残忍か平和的か」という問に拘泥している。これこそが彼がステレオタイプにとらわれていることの証だろう。
私などは、「日本」などがどのように見られようが別にかまわないのだが(まあ実害があると困る。外国で差別を受けたこともあるし。だがこれは「日本良い国」像の流布を肯定しない)、布施氏は「日本」が批判されるとなぜか自分が攻撃されたように感じてしまうのだろう。毎日新聞が批判されても彼は同じように自己への攻撃だと見なすのだろうか。ちょっとだけ興味がある。

◆ ◆ ◆

全然関係ないが、上記コラム前編には、アブデュルレシト・イブラヒム著「ジャポンヤ」の話がちょっと出てくる。
ジャポンヤ――イブラヒムの明治日本探訪記 (イスラーム原典叢書) | アブデュルレシト・イブラヒム, 小松 香織, 小松 久男 |本 | 通販 | Amazon

この書評:山崎典子(2013)史學雜誌 122(11), 2013-11-20, CiNii

イブラヒムは、日露戦争で強国ロシアに打ち勝ったアジアの新興国である日本と、ヨーロッパ列強の支配に喘ぐイスラーム世界の連携を構想していたとされ、伊藤博文や大隈重信をはじめとする要人と交流をもち、頭山満や犬養毅率いるアジア主義団体「亜細亜義会」の設立発起人にも名を連ねたという。(中略)
本書は、イブラヒムとその時代に関する基礎研究、とりわけ第二次世界大戦時における日本の対イスラーム工作に彼が関与した背景を探るための重要な研究成果として、今後大いに参照されていくだろう。

また、朝日新聞の聞蔵IIで当時の記事を検索すると、こんな記事がある。

1909年3月22日付「回教管長の演説 韃靼人イブラヒム氏」
その一節。

……氏は露国人と云ふものヽ実は韃靼人にして此度日本に来たりたる目的も全く露国の横暴に堪え切れず親好を我国に求めんが爲めなりと云ふ……
……余等は最早表面の偽善をのみ看板として裏面の汚穢極まりなき欧州より教育を受くるを欲せず、行く行くは日本に留学生を送る考へなり若し日本政府にして余等が此乞を許されなば余の幸福は実に之に過ず……
……日本が最近五十年間に世界を驚かす長足の進歩を遂げたるも余の考へにては是皆其歴史の古来明瞭となり居れる賜のなりと思ふ……
日本人相手の演説でかなりリップサービスが入っていると思うが、まあロシア包囲網(ちょっと「保守」的表現をまねてみた)を作るという政治的動機が下地にあるんだなあというのが分かる。なんとなく世界ウイグル会議の人を思い出してしまった。

参考:隅田金属日誌(墨田金属日誌) 「ウイグル会議代表は桜井誠のお仲間ですよ」(産経)

| コメント (0) | トラックバック (0)

2017/02/03

「人権派」であるなら日本の慰安婦問題も盛んに追及すればいいだけでは……

追記:下のtogetter記事、現在はタイトルが変更され、追記もあるようだ。

私が慰安婦問題で転向した理由~「強制連行は論点ではない」「他国の例を批判しても日本の罪は消えない」の一点突破で、問題は解決するのだろうか? - Togetterまとめ

人権派は「国際社会で強制連行の有無は論点になっていない」といいます。
返す刀で「そんなことに拘る人間は人権意識の低い馬鹿な右翼だ」と罵ります。

人権派は他国の人権侵害や問題点について話題を避ける傾向にあります。
そのことを指摘すると「日本の罪が消えるわけではない」と正論で返されます。

こういった態度や正論に納得できる人は、相当良く訓練された人権派だけではないだろうか?
違和感を持ってしまった自称人権派の私は、どうすればいいのだろうか?

基本的な論理は抑えつつ、
・「こういった態度や正論に納得できる人」は少数だ
・これらの主張は理解できるが違和感がある
というので、途中でメモを取りながら読んでみた。でも率直に言ってがっかりした。

「なぜ日本ばかり悪者にされるのか」
「なぜ日本の罪ばかり強調し、他国の同様な罪には目をふさぐのか」
「慰安婦問題追及者の真の動機は日本の責任を膨らませたいという欲望だ」

結局まとめるとこういう趣旨になるのではないか。
だとすれば「いつものアレ」を超えるものではない。時間を無駄にしたついでに自分用の記録を書いておく。

この方はドイツの慰安婦問題を例にして、日本でも外国でも日本の事例ばかり問題になる一方で、ドイツなどの類似問題は問題視されていないことを指摘している。また、日本の慰安婦問題追及者たちが「本質は人権問題だ」と言いつつ、他国の類似事例への言及を避けたり免責したりしていると批判している。
その批判にはまっとうな点もあるだろうし、日本の責任追及論者の中には嗜虐的な加害者バッシングに傾く人もいるかもしれない。
でもまあ、それなら「日本のことばかり言うな」ではなくて、「もっと言おう、誰も言わないなら私が言おう」になればいいのではないか。「ドイツの慰安婦問題追及者たちと連帯しよう」でいいのではないか。

……あと、「どうして日本だけこんなにクローズアップされるの」と不満をお持ちのようだけど、それは「人権派」が努力したというよりは、どちらかと言えば日本の責任を否定する人たちの長年の努力の成果じゃないかと思いますよ……。

**************
追記

そういえば、タイトル部分で「……問題は解決するのだろうか?」とあるのだけれど、この人にとっての「解決」とはどういう意味・状態なのだろう。読んでいてそれが気になっていた。

| コメント (1) | トラックバック (0)

2017/01/20

山本一郎氏がアパホテル批判へのカウンターをリツイート

山本一郎(やまもといちろう)さんのツイート: "@bci_ @tamai1961 @johannessm2k この手の話はもっと知られてもいいよね"

山本氏らしいなあという印象。さりげなくヘイトを煽る。
元はこの話。

黒色中国さんのツイート: "この数日、アパホテルについては賛否両論出てますけど、中国だと便器に日の丸をつけたホテルとか、日の丸を玄関マットにしたレストランがあります。アパホテルの部屋に「本」が置かれている…と大騒ぎする前に、中国は自省すべきことがたくさんあるんじゃないでしょうかw @johannessm2k https://t.co/5jBngFtKex"

関連して追加されたツイート。

黒色中国さんのツイート: "中国には「日本人と犬は立入禁止」というホテルもありました。アパホテルはホテルの本業を越えた歴史的主張をしたのかも知れない。でも、客を侮辱して拒否したわけでもない。批判も当然ですが、とりあえず中国は文句を言う前に自らを正せ…と私は思いますw @johannessm2k https://t.co/kbpmHjZwx4"

これらのツイートに賛同する反応がぶら下がって読める。

この元ツイートをした人も、中国だって同じことをしているだろう、他人を批判する前にまずわが身を正せ、という論調だ。リツイートした人たちは、相対化できる材料をもらえて喜んでいる。
アパホテルが悪いことをしているという点は否定できないが、しかしアパホテルを擁護したい、あるいは日本や自分が悪いわけではないと切断したい人たちが引っかかっている。

こういう人たちは、日中の言説の非対称性に気づいていないか、意図的に無視している。
ツイートで紹介されている中国のホテルや店の行為が醜悪で排外的なことは当然だ。だが両者は相対化できるものではない。

そもそも、他人を批判する前にわが身を正せと言うのなら、それを人に言う前に同じことを自分がしたらどうだろうか。つまり、「中国」の反日的な振る舞いを非難(あるいや揶揄)する前に、「日本」の排外的な振る舞いを批判・抑止するということだ。彼らはなぜ、今回の騒動の発端となったアパホテルと元谷氏の、そしてそれに連なる人々の暴言を厳しく批判しないのだろうか。
「先ず隗より始めよ」である。

****************
追記(2017年1月20日)

ちょっと違ったか。

彼らは、中国側の反日行為への批判はしないから、おまえたち中国人も日本の反中行為への批判はするな、と言いたいのだろう。きっと、お互い様だからお互いなじり合いは止めておこうよ、ということなのだ。

もしそう思うなら、単純に言えば、両方とも批判・告発すればいいと思うのだが。
極右的な人々はどちらの国にもいるのだから、きりがないのは確かだが、それに、そんなことばかりに関わっていられないのもその通りだが、「どっちもどっち」として排外主義への批判を無力化するのではなく、「確かにこっちは悪い。批判に賛同・協力する。それとともにそっちの排外主義への批判も強めよう」という方が正当ではないか。
だが、中国での排外主義を「中国人としても許せない」と同調した中国人のツイートには、「日本側への批判は誤りだ」という反応が付いた。この非対称性こそが偏りである。

私からすると、この件は「どっちもどっち」ではなく日本側に禍根があるのだから、日本側がまず改めるべきものだ。その意味で中国側の排外主義を併置して「どっちもどっち」とするのは間違いだし、そもそもアパホテルの件に限れば元谷氏の本と「日本人お断り」の差別とを対置して相殺するのも難しいものだ。

| コメント (1) | トラックバック (0)

メモ:類似性

https://pbs.twimg.com/media/C2hkmrRUUAACbKD.jpg(切り抜き画像)
※インタビュイーの除本理史氏による紹介。(ツイッター

[戦後責任]日本政府はなぜ「法的責任」を否認するのか -Apes! Not Monkeys! はてな別館

上記ツイッターで除本氏が言及した記事:(記者有論)水俣と福島 「人間の被害」国は直視を 石川智也 朝日新聞デジタル2017年(1月19日05時00分)

| コメント (0) | トラックバック (0)

2017/01/19

(元)閣僚(現国会議員)による買春とそれへの反応

安倍総理側近の元大臣、吉原超高級ソープ通い 後援者の葬儀後に | デイリー新潮

「硫黄島の戦い」を指揮した栗林陸軍大将を祖父にもち、2年4か月前まで総務大臣を務めていた新藤義孝衆院議員(58)。安倍総理の側近としても知られる“名門”代議士の姿が、吉原ソープ街にあった。

 ***

 新藤議員が吉原の超高級ソープを訪れたのは1月10日、地元・埼玉県川口市で行われた後援者の葬儀後のことだった。

「週刊新潮」の直撃取材に、新藤議員は「そんなの、言いたくないでしょう」を連呼。風俗通いをとやかく言うつもりはないけれど、斎場から“登楼”とは……。

Yahoo!ニュースのコメント一覧 -
はてなブックマークのコメント一覧

これらのコメントのほとんどは、新藤議員の買春行為は全く問題ないとしている。また、新藤議員の買春行為を報じた雑誌や、新藤議員を追い取材した記者を批判するコメントも多い。典型的なものをいくつか抜粋しておく。


・何が問題なの?
・完全にプライバシーの侵害。誰か不利益被っとるんか?
・びっくりするくらいどうでもよかった
・ 弔問客の後をつけた記者のモラルのほうが問題だと思うんだが。「風俗通いをとやかく言うつもりはない」と書いてあるから性風俗に対する批判でもないし。
・ほっといてやれ
・公人だからって業務に関係ない合法な趣味を晒すのは違法にして欲しい。ただただ他人を貶める事を仕事にしてるこの記者は本当に恥ずかしい人間。
・全く問題ないし、週刊新潮がいかにゲスいかって事。

日本人男性による海外買春ツアー、アダルトビデオの出演強要、従軍慰安婦問題。これらへの冷淡な反応を思い出す。
また、性暴力被害者、時折報じられる拉致監禁され救出された女性などへのいわゆるセカンドレイプ。そして痴漢対策としての女性専用車両への抵抗、最近では「私たちは買われた展」への批判などを思い出す。他方で痴漢えん罪問題での女性敵視も。

「集団レイプする人は、まだ元気があるからいい。まだ正常に近いんじゃないか」と言ったのは自民党の太田誠一衆院議員(2003年当時)だったが、彼は今71歳になる。我々の社会の感覚は彼の時代とほとんど変わっていないようである。

**********
メモ

・「合法だ」→うわべが取り繕われていれば何をしてもいいという話だろうか。賭博でも売春でも麻薬・覚醒剤などでも。
・「プライバシーの侵害」→元閣僚、現国会議員は公人で、しかも良識が問われる。不倫スキャンダルなど私生活での倫理性を問われて失脚した政治家は世の東西を問わずたくさんいる。そして、人格において尊敬・信頼・共感できない政治家を自分の代表として政治過程の代行を任せられるだろうか。
・「報道するな」→我々が選んだ代表がどういう人格の人間かを知らせることに意義はないだろうか。私的スキャンダルで政界を追われた世界の政治家たちは皆報道の犠牲者なのだろうか。

「超高級ソープ」で買春している新藤議員を擁護する人たちは、
「直撃取材に「そんなの、言いたくないでしょう」を連呼」したという新藤議員に
「堂々と自分の行為の正当性を主張しろ」
「買春は正しい行為だ。正々堂々と通い続けろ」
と励ましてやったらどうだろうか。

***************************
追記(2017年1月22日)

参考
流出した硫黄島・栗林大将の孫=新藤義孝代議士の女性スキャンダル写真: 情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ)(2008.07.16)
<ミニ情報> 総務相就任で飛び出した新藤義孝代議士の下半身スキャンダル: 情報紙「ストレイ・ドッグ」(山岡俊介取材メモ)(2013.01.04)
安倍内閣 現職議員を襲った公然ワイセツ写真・・・どうも新藤義孝らしい - アルコール・カフェイン中毒と広告の影響(2013-11-21)

| コメント (1) | トラックバック (0)

2017/01/12

ソウルで僧侶が慰安婦問題に抗議して焼身自殺した件と国内報道

Buddhist monk sets himself on fire in South Korea over 'comfort women' deal | World news | The Guardian(Sunday 8 January 2017 07.01 GMT)

このニュース、知らなかった。
ガーディアンによれば、

A South Korean Buddhist monk was left in critical condition after setting himself on fire in Seoul to protest against the country’s settlement with Japan on compensation for wartime sex slaves.
また、
In his notebook, police said, the man called South Korea’s embattled president, Park Geun-hye, a “traitor” over the 2015 agreement.
とのことで、焼身自殺を図ったこの僧侶の動機は日韓合意への抗議だとされている。
後の報道によれば、この方は亡くなったそうだ。
人によっては「当てつけだ」と立腹しているかもしれないが、日韓合意が市民の反発を生むことは当初から予想されていたし、その後の日本政府・政治家の行動も慰謝どころか傷を逆なでするものばかりであったわけで、この方の死を我々が全く無視していいというわけではない。というか、我々が死に追いやったようなものだ。この僧侶は朴大統領を非難しているそうだが、それは彼が韓国社会の一員であるからであって、その批判の先には我々が主権者である日本政府と議員らがある。謝罪とともにご冥福をお祈りする。

この件について日本での報道が気になったので検索したが、日本語記事は限られている。見つけられたのはAFPとレコードチャイナだけだ。

朴氏の退陣求める集会で僧侶が焼身自殺図る 韓国 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News(2017年01月08日 18:39 発信地:ソウル/韓国)

【1月8日 AFP】(写真追加)韓国ソウル(Seoul)で、朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領の退陣を求める抗議集会に参加していた僧侶が焼身自殺を図り、重体となっている。当局が8日、明らかにした。

 60代の僧侶は7日夜、11週目に入った週末の反朴大統領の大規模集会の最中、自身の体に自ら火をつけた。僧侶の氏名は明らかにされていない。

 聯合(Yonhap)ニュースによると、僧侶は、不正疑惑の渦中にある朴大統領を「国家反逆」を犯したとして逮捕するよう求めるメモを残していたという。また慰安婦問題についても、2015年の日韓合意を受け入れたとして朴氏を「売国奴」と非難している。

 警察当局と僧侶が搬送されたソウルの病院によると、僧侶は全身に第三度熱傷を負っており意識のない状態が続いている。(c)AFP

朴氏退陣要求デモで焼身図った僧侶が死亡、韓国 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News(2017年01月10日 20:11 発信地:ソウル/韓国)

【1月10日 AFP】韓国の朴槿恵(パク・クネ、Park Geun-Hye)大統領の退陣を求める抗議集会で先週、焼身自殺を図った僧侶(64)が搬送先の病院で9日、死亡した。病院側が10日、明らかにした。

 僧侶はソウル(Seoul)中心部で7日夜、11週目に入った大規模な朴氏退陣要求デモの最中、自らの体に自ら火をつけた。集会には数十万人規模の参加者が集まっていた。

 治療を行っていたソウル大学病院(Seoul National University Hospital)の説明によると、僧侶は顔と全身に重度のやけどを負っており、9日夜に死亡した。

 この僧侶は「チョン・ウォン(Jung-Won)」という法名で、不正疑惑の渦中にある朴大統領を「国家反逆」の罪で逮捕するよう求めるメモを残していたという。また聯合(Yonhap)ニュースによると、僧侶は慰安婦問題についても日韓合意を受け入れた朴氏を「売国奴」と非難していたという。

 大韓仏教曹渓宗(Jogye Order)の社会的公正委員会は「高僧チョン・ウォンは朴大統領辞任の要求を含んだ民衆の気持ちを伝えるため、自らの命を犠牲にした。このように人々の命が失われないよう、また国全体がいち早く安定するよう願う」との声明を発表した。(c)AFP

朴大統領の退陣求める集会で僧侶が焼身自殺図り重体、慰安婦合意に不満、メモ残す―韓国 - Record China(2017年1月9日(月) 10時10分)

2017年1月7日、韓国・ソウルで朴槿恵(パク・クネ)大統領の退陣を求める11回目の抗議集会に参加していた僧侶(64)が焼身自殺を図り、重体となっている。英BBCの中国語ニュースサイトが伝えた。

ロイター通信によると、僧侶はすぐにソウル大学病院に搬送された。病院の関係者によると、全身に第3度熱傷を負っており、意識不明の重体だという。

警察によると、僧侶はメモを残しており、慰安婦問題をめぐる2015年の日韓合意への不満や朴大統領を「国家反逆」を犯したとして逮捕するよう求める内容が記されていたという。(翻訳・編集/柳川)

レコードチャイナのこの記事はBBC、ロイターを下敷きにしている。
AFPも配信していることから、日本のメディアが全く知らなかったということはなさそうだ。

どうして日本メディアの報道が見つからないのだろう。Googleで検索しただけなので、ひょっとしたら検索に載ってこなかっただけかもしれないし、もう流れてしまっただけかもしれないし、ネットに上げていないだけかもしれない。

ただ、この件で検索すると嫌韓な人たち、排外的な人たちが書いたものばかりがたくさんヒットするのだが、それらが情報源にしているのも、AFPやレコードチャイナ、VOA、ロシア系のアレなスプートニクなどで、国内メディアの報道が見当たらない。……それにしても抗議の自殺を遂げた人を嘲笑している様を見ると、人間のむごたらしさを改めて感じる。日本人の残虐な行為(戦時暴力や関東大震災の朝鮮人虐殺など)について「日本人がそんなことをするわけがない」という人が時々いるけれども、いやいやどうして、今まさにここに存在していますよと言いたくなる。そしてもちろんこれは他人事ではない。

で、本題に戻すと、国内メディアが報じた痕跡を見つけられないのだけれども、どうしてなのだろうか。少なくとも中国、イギリス、アメリカ(、ロシア?)のメディアでは報道があったみたいなのだが。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2017/01/10

メモ

61.金言:「和解 こそ真の勝利 」=西川恵
毎日新聞 2012年04月27日 東京朝刊

「日英の和解に尽力 してきた元英兵、フィリップ・メイリンズ氏」に関するコラム。
出典:吉田祐起氏のサイト

山梨学院大学の小菅信子教授
Amazon.co.jp: 小菅 信子:作品一覧、著者略歴

近現代史・国際関係論・平和研究が専門分野です。戦時・災害時などの極限状況で、いかに人間性を保護してきたのか(しうるのか否か)、それがのちにどのような意味をもったのか(もつのか否か)について研究しています。
毎日新聞で何度か紹介されていた……というか、氏の著作に沿った記事が出ていたように思う。

毎日新聞に載ったコメント記事
安倍首相:真珠湾慰霊 和解を確認/わだかまり消えず - 毎日新聞(2016年12月29日 中部朝刊)

 安倍晋三首相の真珠湾慰霊と演説について、山梨学院大の小菅信子教授(近現代史)は「真珠湾訪問は、オバマ大統領の広島訪問よりインパクトや外交的意義は小さかったが、和解の重要性を日米間で相互確認できたのは良かった」と評価した。さらに「日中、日韓間ではなぜこのようなセレモニーができないのか、考えるきっかけにしたい。日米の和解を参考にして、知恵を絞ってアジアでの和解につなげる道を探っていくべきだ」と提言した。

「沖縄」矛盾指摘も
 評論家の小沢遼子さん(79)は「オバマ政権は末期。トランプ政権下で日米同盟がどう変質するか、日本政府は予測できているのだろうか」と話す。首相が「希望の同盟」と表現したことにも「米軍普天間飛行場を辺野古に移設する工事が再開され、沖縄県民が猛反発している」と指摘した。

 旧満州(現中国東北部)で旧ソ連兵から銃で撃たれた経験を持つ俳優、宝田明さん(82)は「大統領が広島を、首相が真珠湾をともに慰霊に訪れたことは非常に良いこと」と評価する一方で、「遺族の心から真にわだかまりが消えることはないはずだ」と話す。また「安倍首相は戦争をしないと公言しながら、安全保障関連法を強行採決して戦争ができる国に変えた。矛盾があると思う」と述べた。

 漫画家の小林よしのりさん(63)は「日米同盟は軍事同盟。『不戦の誓い』と言われても意味が分からない」と手厳しい。さらに「大戦で多くの民間人が犠牲になり、その後も米軍基地が集中する沖縄を、あれくらいの言葉で慰めるべきではないのか」と話した。【岸達也、山崎征克】

「日中、日韓間ではなぜこのようなセレモニーができないのか、考えるきっかけにしたい。」
例えば首相が南京を訪問しない理由を考えるとかの話だろうか。それとも南京訪問を可能にするための国内政治的土壌をどう作れるかというようなことだろうか。あるいは加害責任を不問にさせるための条件作りとか……?

小菅信子 꼬스게 노부꼬(@nobuko_kosuge)さん | Twitter

以下をリツイートしている。

スルメロックさんのツイート: "差別者を消せ https://t.co/GXsxd0MxvH"

ykoさんのツイート: "かのやなせたかし先生がおっしゃるにはそれぞれ各国の独自の正義があってそれを掲げて戦うと。 正義のすり合わせほど難しいものはないですな… https://t.co/zmIXUO0kDZ"

精神科医 Dr.Snowmanさんのツイート: "いろんなことが複雑になりすぎて誰もが生きづらい時代。時と場に応じて多くの生き方の引き出しを駆使する柔軟さが求められる。様々な立場のできるだけ多くの声に真摯に耳を傾けたい。自分は絶対正しいと確信し、同調者にしか耳を貸さず、意見の異なる他者を排除する姿勢では引き出しは増えていかない。"

なんとなく、毎日新聞が好きそうな「和解」……。
かなり距離があるはずなのに、どうしてか曾野綾子を思い出してしまう……。

| コメント (0) | トラックバック (0)

毎日新聞の戦争責任観についてのメモ

従軍慰安婦問題に関する毎日新聞の論調をしばらく見てきた印象だが、毎日新聞はアジア女性基金を支持していて、朴裕河氏にも親和的な立場を取っている。そして、この立場の基本には、被害者側からの許しが重要だという認識があるように思う。

和解は心の問題であり、それには「許す」という感情が重要だという考え方には一面の真理があるが、しかし、それを加害者側が言うのか…と思わざるを得ない。しかも我々の被害者に向けて。そしてまた、許しに焦点を当てた「和解」には再発防止への視点が抜けている。
こうした見方の底にあるのは、あの惨劇がもう過ぎたことであり、我々には無縁で再発するようなものではないという認識だろう。今の日本は平和国家であり、我々日本人が残虐な行為をするようになる心配などないのだという意識が、戦争責任へに対するこうした態度の一要素になっているのではないだろうか。

私が毎日新聞のこういう視点に気がついたのは、日英和解についての記事を何度か目にしたときだった。

参考:「日英兵士の和解」―ビルマ戦線―-日本財団会長 笹川陽平ブログ
掲載された毎日新聞記事写真をみると、「和解」の観点が日本と日本人の名誉回復にあるのが印象的である。

今回、当時読んだ記事を拾おうと検索してみたのだが、あまり見つからなかった。一つ、日米になってしまうが、三菱マテリアルによる米兵捕虜への謝罪に関する記事を拾っておく。

そこが聞きたい:日米の戦後和解 岡本行夫氏 - 毎日新聞(2015年12月9日 東京朝刊)

(前略)中国と韓国が高まるナショナリズムを背景に、世界に向け反日キャンペーンを行いました。(……中略……)民間の側でも7月に、企業が第二次大戦中に強制労働させられた米国の元捕虜に謝罪するといった出来事がありました。

−−三菱マテリアル(旧三菱鉱業)ですね。岡本さんは同社の社外取締役を務めていますが、どんな考えで捕虜問題に取り組んだのですか。

 元捕虜の存命者がわずかになっています。私も人間の尊厳に立ち返って謝罪すべきだと思っていました。米国政府は第二次大戦中に強制収容された日系アメリカ人に謝罪し、補償しました。大事なのは人間の心です。今回、元捕虜からも金銭的な要求はありません。
(……中略……)

 歴史和解には波及をどこまで考えるかという難しい問題があります。(……中略……)

 一方、他の企業が提訴されている「韓国人徴用工」の問題は性質が違います。65年の日韓請求権協定のもとで徴用工問題は明確に解決されましたし、被害の実態も異なります。韓国人は日本人と共に働かされていました。劣悪な職場に割り振られた韓国の人々は強制労働だったと主張しますが、米国の捕虜や中国人らに課された奴隷状態とは違います。

(……中略……)

中国や韓国は簡単には日本を許そうとしません。(後略)

この岡本氏の談話には、加害責任を曖昧にしてもらえる相手には寛容さを示す特徴が現れている。怒り、厳しく追及してくる被害者に対しては警戒感があらわになっている。そして、後に示すが、毎日新聞はこの岡本氏の論調に沿った社説を出して日米和解を説いている。

****************************************
そこが聞きたい:日米の戦後和解 岡本行夫氏 - 毎日新聞(2015年12月9日 東京朝刊)

政府の消極姿勢に変化 外交評論家・岡本行夫氏
 戦後70年の今年は歴史認識に注目が集まった年だった。日米開戦の12月8日をはさみ、現在、外務省の招きで米国の元捕虜が来日中だ。日本の和解への対応をどうみるか。元捕虜への民間謝罪に関わり、安倍晋三首相の戦後70年談話を検討する有識者会議の委員も務めた外交評論家、岡本行夫氏(70)に聞く。【聞き手・岸俊光、写真・竹内幹】

−−日米関係を中心に、この1年の日本の歴史問題についての取り組みをどう評価しますか。

 70年という期間は、感覚的にちょうど「史実」が「歴史」になって固定化し始める節目だったような気がします。それに中国と韓国が高まるナショナリズムを背景に、世界に向け反日キャンペーンを行いました。70年が国際的にも強く意識されて、日本も反応せざるを得なかったという面があります。日本が前に進むには、歴史にどう対応するかを考える必要がある。安倍首相はそうみて、戦後70年談話の参考にするために21世紀構想懇談会を設けました。懇談会はバランスのとれた歴史観を示したと思います。内閣として歴史問題に正面から取り組んだと言えるのではないでしょうか。民間の側でも7月に、企業が第二次大戦中に強制労働させられた米国の元捕虜に謝罪するといった出来事がありました。

−−三菱マテリアル(旧三菱鉱業)ですね。岡本さんは同社の社外取締役を務めていますが、どんな考えで捕虜問題に取り組んだのですか。

 元捕虜の存命者がわずかになっています。私も人間の尊厳に立ち返って謝罪すべきだと思っていました。米国政府は第二次大戦中に強制収容された日系アメリカ人=1=に謝罪し、補償しました。大事なのは人間の心です。今回、元捕虜からも金銭的な要求はありません。

−−2009年には、当時の藤崎一郎駐米大使が元捕虜団体の会合に出席して謝罪したことがあります。

 いいことでした。政府は長年、サンフランシスコ講和条約で決着済みとして民間が元捕虜と個別和解することには消極的でした。それが第2次安倍政権になって、民間がやるのは自由という空気が出てきた。これで大変やりやすくなりました。私自身の関わりは、元捕虜による損害賠償訴訟が米国内で拡大していた00年以降です。取締役会では全員が謝罪に賛成でした。それからなお時間を要しましたが、今年実現できました。講和条約は戦争の悲劇に、人間としてどう行動すべきなのかについては言及していません。企業が使用者、管理者としての責任を感じて謝ることは自然なことだと思います。

−−同社の中国人強制連行訴訟にも和解の動きがありますね。

 歴史和解には波及をどこまで考えるかという難しい問題があります。日本が戦地から連行した捕虜約3万6000人のうち、95%が米国、英国、オランダ、オーストラリアの人々でした。1971年の昭和天皇の訪欧の際にはオランダや英国で抗議運動が起きました。三菱マテリアルとしては、和解できるなら、米国以外の英国、オランダ、オーストラリアにも謝罪するという立場です。中国人の強制労働被害者にも真摯(しんし)に対応します。訴訟の中で話し合っています。

 一方、他の企業が提訴されている「韓国人徴用工」の問題は性質が違います。65年の日韓請求権協定のもとで徴用工問題は明確に解決されましたし、被害の実態も異なります。韓国人は日本人と共に働かされていました。劣悪な職場に割り振られた韓国の人々は強制労働だったと主張しますが、米国の捕虜や中国人らに課された奴隷状態とは違います。

−−ところで、途絶えていた日韓首脳会談が先月実現しました。米国の仲介をどう評価しますか。

 日韓で話し合っても進展は限られます。ドイツのメルケル首相はフランスとの和解を強調していますが、日本と韓国を仲介できるのは米国です。中国や韓国は簡単には日本を許そうとしません。フランスが域内諸国を説得したように、米国がアジア・太平洋国家の一員として仲介してくれるのはありがたいことです。

−−米大統領の被爆地訪問を日米が体験を語り継ぐ契機にという声があります。どう考えますか。

 来てもらいたいですね。日本の首相の真珠湾訪問も、米大統領の被爆地訪問も、不可能ではないと思います。米議会上下両院合同会議で4月に行われた安倍首相の演説=2=は、「真珠湾、バターン・コレヒドール、サンゴ海」という戦場をあげ、「悔悟」という言葉を用いて、米国で評価されました。三菱マテリアルの今回の謝罪に、米国は原爆投下を謝っていないという声もありました。しかし相互謝罪がなければ何もしないという考えは、個々の状況を無視していると思います。日本は、歴史を次の世代にきちんと伝えなければなりません。特に高校で日本の近現代史を必修科目とすべきでしょう。若い人と接してそう実感します。

聞いて一言
 三菱マテリアルが元捕虜への謝罪を決めた陰には、元捕虜との交流を続けてきたライター、徳留絹枝さん(64)の仲介があった。7月に米ロサンゼルスで謝罪が行われる前には捕虜問題に間接的に言及した安倍首相の米議会演説があり、このときワシントンで催された首相夫妻主催の夕食会には元捕虜の一人が招かれた。そして11月、この元捕虜はオバマ大統領にも面会した。アジアとの和解は残されているが、日米和解の重要な一コマと言えよう。

 ■ことば

1 日系人強制収容
 米西海岸などに住む日系アメリカ人約12万人が1942年の大統領令により10カ所ほどの強制収容所に送られた。88年、レーガン大統領が補償法に署名。米国政府は初めて日系アメリカ人に公式謝罪し、生存する元収容者全員にそれぞれ2万ドルの補償金を支払った。

2 安倍首相の米議会演説
 安倍首相は今年4月末、米議会上下両院合同会議で「戦後の日本は先の大戦に対する痛切な反省を胸に歩みを刻んだ」と演説した。米側から評価される一方、東アジアの歴史問題に踏み込まず、安全保障関連法を夏までに成立させると明言したことに批判もあった。

 ■人物略歴

おかもと・ゆきお
 1945年生まれ。外務省北米1課長などを経て退職。橋本龍太郎首相と小泉純一郎首相の補佐官として、それぞれ沖縄問題とイラク復興を担当。今年、21世紀構想懇談会の委員を務めた。


****************************************
社説:12・8 日米の傷癒やす努力を - 毎日新聞(2015年12月8日 02時34分(最終更新 12月8日 02時34分))
 日本の真珠湾攻撃による日米開戦から、きょうで74年がたった。強固な日米同盟を築くに至った両国だが、今も深い傷を残す人がいる。

 日本と米国はそれを癒やす努力を続けなければならない。

 第二次大戦中に旧日本軍の捕虜となった元米兵ら10人が、日本政府の招きで14日まで来日している。

 政府による元戦争捕虜の招待は、心の和解を通じて日米の相互理解の促進を図ることを目的に2010年から始まった。これまでに訪日した元捕虜や介護者はのべ97人になる。

 戦後70年を迎え、元捕虜の高齢化が進んでいる。なるべく多くの人を招待しようと、10月に続いて、今年2回目の実施となった。

 この間、政府が招いた元捕虜の中には旧日本軍が1942年にフィリピン・バターン半島で約100キロを歩かせ、多数の死者が出た「バターン死の行進」の生存者が含まれる。09年には、当時の藤崎一郎駐米大使がこの元捕虜の団体の会合に出席し謝罪した。英国やオランダの元捕虜を招く事業の対象外だった米国の元捕虜の招待が、翌年に実現した。

 安倍晋三首相は今年4月に米議会上下両院合同会議で行った演説で、「真珠湾、バターン・コレヒドール、サンゴ海」という戦場をあげ、先の戦争で命を落とした米国人に哀悼をささげた。その折、首相夫妻が主催した夕食会には元捕虜が招かれた。

 今年は元捕虜を使役した企業の側でも、和解に向けた前進があった。

 三菱マテリアルが7月、米ロサンゼルスで、前身の三菱鉱業が大戦中に行った強制労働について、米国の元捕虜と遺族に日本の大企業として初めて公式に謝罪したのである。

 日本企業を相手取り元捕虜が損害賠償を求める訴訟が米国に広がっていた00年ごろ、日本政府はサンフランシスコ講和条約で決着済みであり法的責任はない、との立場を譲らなかった。裁判で日本の主張が認められたことで政府は道義的責任に基づく謝罪に転じ、民間も謝罪しやすい環境が整ったとみられる。

 米国は歴史問題をめぐる国際的な論議の舞台になることが多い。他の企業の動きはないが、一連の和解の意味は小さくない。

 一方、アジアとの関係改善は残されている。三菱マテリアルは、中国人被害者らとの和解を訴訟の中で模索している。

 米国政府はこのところ慰安婦問題で停滞する日韓関係を取り持つ姿勢も示してきた。当事国間では困難な問題の打開に向け、アジア・太平洋国家である米国の影響力は大きい。

 日米にはなお、原爆投下の問題などが横たわる。双方の努力でわだかまりがとけ、大統領の被爆地訪問が実現するよう期待したい。

****************************************

| コメント (0) | トラックバック (0)

報道に辟易:駐韓大使日本帰国

年末年始に見たメディアはNHKと毎日新聞だけだったのだが、大概うんざり。
NHKのニュースが政府広報で、外国の脅威を叫び排外主義を煽りつつ、日本の素晴らしさを称揚し国威発揚を図る方向が強まっていることは分かっていたが、見るニュースがそればかりだとさすがに食傷する。

今日見たNHKのニュース。

1.中国軍機に対して自衛隊機がスクランブル。国境への脅威が増えているという話。

2.少女像問題で韓国側を非難する日本政府→韓国内で少女像建立が相次いでいる状況(一部学生団体の仕業という印象)→深刻な影響(韓流ブームに沸いた新大久保に閑古鳥が鳴く・訪韓観光客の激減に韓国の観光業界からも不満の声)→在日韓国人による「韓国が悪い」という声→韓国側の努力を要請しつつさらに努力するという日本政府
※この印象操作には本当にうんざり。こんな報道ばかりで韓国嫌いが増えなければ日本人は聖人君子の集まりですよ。

3.世界的に注目されるミニロケット分野でJAXAが新型ロケット開発。

毎日新聞。

毎日新聞は外国人労働者問題への報道が比較的多く、論調もまだマシと思って取りつづけているのだが、なぜか戦争責任問題についてのスタンスはほとんど安倍内閣と変わらない。世界記憶遺産の問題や慰安婦問題では、中国や韓国側への批判が主で、外交問題としてしか認識がなく、我々自身への問の投げかけという視点も被害者の人権問題という視点も重視されない。今回の日本政府の恥ずかしい対応についても、韓国側の問題だとするばかりで日本側の愚かさに言及する記事はまだ見ていない。

NHKにせよ毎日新聞にせよ右翼メディアではないはずなので、今回の少女像の問題についてはこのような論調が少なくとも日本のメディアの主流なのだろう。そして、そもそもなぜ少女像が建てられるのか、そしてなぜ少女像に対して日本政府がこれほどまでに敏感に反応してしまうのか、さらに少女像の建立が本当に日韓合意に反しているのかについて、論じる報道がほとんどない状況においては、人々が、まるで韓国人が本当に日本人憎悪に凝り固まっているかのように思ってしまっても仕方ないのかもしれない。今日のNHKのニュースに出た在日韓国人のコメントを見てそう思った。だが後で考えると、彼はそうコメントせざるを得なかったのかもしれない。

| コメント (0) | トラックバック (0)

2016/12/27

変わらぬ女性蔑視

ミス日本候補者に農相が冗談連発 自身の発言も笑いに - 共同通信 47NEWS(2016/12/2 17:26)

 山本有二農相は2日、ミス日本の最終候補者9人の表敬訪問を受け、「(次期米大統領の)トランプさんを旦那さんにしていいと思う人は?」などと上機嫌で冗談を連発した。また「あんなとんでもない発言をしても、民主主義はああいう人が選ばれていく」と感想を述べた上で、「私も発言で失敗しちゃったんで」と、笑いを誘う一幕もあった。

 表敬訪問は農林水産省の大臣室で行われた。農相はトランプ氏に関し「3度目の結婚できれいな奥さんが隣にいる」などとし、「日本のこういう美しい人はひょっとしてみんな手を挙げるのではないかと」などと述べた。

初めて読んだとき、あまりに山本農相っぽいので嘘ニュースかと思ったのだが、共同通信配信だったので目をむいた。

「トランプさんを旦那さんにしていいと思う人は?」
などという愚劣で露骨な蔑視にさらされ続けて、この女性たちは何を感じただろうか。

そもそも、ミス日本候補者がなぜ農水大臣を表敬したのだろうか。ひょっとすると、女の品評会で見世物になる精神力を養うための試練だったりして(我ながら誰への嫌みなんだかわからんな…)。

| コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧