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2019/09/03

朝鮮学校の無償化訴訟、東京と大阪で敗訴が確定。

自民党政権下では実現できなかった高校「無償化」を民主党への政権交代によって初めて実現した。だが政権は再び自民党に戻り、朝鮮学校が狙い撃ちにされ、政権が煽り、苛烈さを増した北朝鮮への憎悪の中、朝鮮学校とその関係者らへに無数の攻撃が集中した。その憎悪を公然と煽り排外行為を行った中には、少なくない自民党や維新の会などの政治家がいた。そしてその攻撃の中、朝鮮学校への差別は正当化され、正式に制度化された。

この朝鮮学校への差別の契機は自民党政権の復活にあった。おそらく、当時の民主党政権下ではこのようなあからさまで醜悪な差別は起きなかっただろう。だから、この朝鮮学校差別は、自民党への政権復活を支えた、あるいはそれを許した日本の有権者が実行したものだ。我々が、朝鮮学校とその関係者を差別し排斥したのだ。選挙を棄権した者も、他の投票者に決定を委任したという意味でこの自民党の政権復活を黙認し、等しく差別排外主義に手を貸したのだ。

最高裁は今回、朝鮮学校を差別するもしないも裁量の範囲内だと判断を示した。であるならば、差別しない選択もまた裁量の範囲内だったのだ。そして我々は差別する政府を選択し、その選択は6年以上も続いている。その間何度も異なる選択を示す機会はあったのにだ。これを我々の責任と言わずして何と言えるか。

北朝鮮への憎悪は、その後、トランプ政権が北朝鮮対話路線に向かったことで急速に水面下へ潜り、代わりに現在猖獗を極めているのが韓国への憎悪である。これは、安倍政権、自民党、その他右翼政党らがヒステリックに叫ぶ、平和を祈念する少女像や徴用工への補償要求への憤激に引きずられて、水面下の差別意識がむき出しになったものだ。しばらく前までは北朝鮮への怒りをぶちまけていたかと思えば、少し事情が変わっただけで今は韓国を徹底的に敵視する。政府与党の都合に合わせて、いくらでも容易に憎悪の矛先を変えられるのが我々日本人である。

もちろん政府の希望通りに怒ってみせられるこの憎悪の背景には、我々日本人の無意識にまで深く食い込んだ排外主義と夜郎自大な優越意識、そして朝鮮半島への度しがたい侮蔑がある。実際、北朝鮮への憎悪が見えづらくなったと思えば、次には韓国への憎悪が爆発する有様である。我々日本人は片時でも朝鮮半島の社会と人々への差別と軽蔑とを止めることができない。これは我々の病である。この病は人を傷つける加害性の症状を示す。我々はその重篤な患者であり、他者に迷惑な存在であることを自覚すべきである。

話を元に戻す。朝鮮学校への差別を行っているのは日本の政府と自治体であり、その主権者は我々日本人である。従って差別の責任を負うのは日本人である。これは日本人が押し止めなければならない「我々の」問題である。

朝鮮学校無償化訴訟 元生徒側が敗訴 初の確定 最高裁決定 - 毎日新聞(2019年8月28日 20時24分(最終更新 8月28日 21時13分))

 朝鮮学校を高校無償化の対象にしなかった処分は違法だとして、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)の元生徒61人が国に1人当たり10万円の賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は27日付で元生徒側の上告を棄却する決定を出した。国の不指定処分を適法として請求を退けた1、2審判決が確定した。

 全国5カ所で起こされた同種訴訟が最高裁で確定するのは初めて。小法廷は裁判官5人全員一致の意見で「上告理由に該当しない」と述べた。

 高校無償化は2010年、当時の民主党政権が導入。全国の朝鮮学校が無償化の指定を求めたが、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係を問題視され、自民党が政権に復帰した後の13年に不指定とされた。

 1審・東京地裁判決(17年9月)は文部科学相が朝鮮総連の影響などを考慮し、「学校運営が適正なものか十分な確証を得られない」との理由で不指定とした処分に裁量権の逸脱はないと認め、元生徒側の請求を退けた。2審・東京高裁判決(18年10月)も1審を支持した。

 最高裁決定に対し、元生徒側の弁護団は「具体的理由を述べることなく退けた決定に抗議する。一日も早く、朝鮮学校を(無償化の)対象とすることを求める」とコメントした。

 5地裁・地裁支部に起こされた同種訴訟は、17年7月の大阪地裁判決が唯一、学校側勝訴となる「不指定は違法」と判断したが、2審の大阪高裁(18年9月)が覆して国側の逆転勝訴となった。現在、名古屋、広島、福岡の3高裁で審理が続いている。【服部陽】

朝鮮学校無償化訴訟:大阪朝鮮学校も敗訴 最高裁上告棄却 - 毎日新聞(2019年8月30日)

 大阪朝鮮高級学校(東大阪市)を高校無償化の対象にしなかった国の処分は違法だとして、学校を運営する学校法人・大阪朝鮮学園(大阪市)が処分の取り消しなどを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(山崎敏充裁判長)は27日付で学校側の上告を棄却する決定を出した。学校側の逆転敗訴を言い渡した2審判決が確定した。裁判官5人全員一致の意見。

 第3小法廷は同日付で、東京朝鮮中高級学校(東京都北区)の元生徒が国に賠償を求めた訴訟でも、元生徒側の上告を棄却する決定を出していた。名古屋、広島、福岡の3高裁で審理が続く同種訴訟に影響を与えそうだ。

 1審・大阪地裁判決(2017年7月)は「教育の機会均等とは無関係な外交・政治的理由で排除したのは違法・無効だ」として同学校を無償化の対象とするよう命じた。これに対し、2審・大阪高裁判決(18年9月)は「在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)から不当な支配を受けている疑いがある」とし、学校側の逆転敗訴を言い渡した。

 高校無償化は10年に当時の民主党政権が導入したが、その後に政権に復帰した自民党政権が無償化の対象外とした。【服部陽】

朝鮮学校無償化訴訟 敗訴確定で原告らが抗議集会 文部科学省前 - 毎日新聞(2019年8月30日 21時01分(最終更新 8月30日 21時30分))

 朝鮮学校を高校無償化の対象にしなかった処分は違法だとして、元生徒や学校法人が国を相手に起こした東京、大阪の二つの訴訟の敗訴が確定したことを受け、原告らが30日、東京・霞が関の文部科学省前で抗議集会を開いた。

 集会には主催者発表で約600人が参加。小雨が降る中、「不当判決を許さない」「無償化適用」と書かれた横断幕を掲げ、「不当な差別をやめろ」などと声を上げた。

 東京都内の大学院に通う原告の男性(23)は文科省の庁舎に向かい、「私たちの民族的アイデンティティーを汚すような今回の決定は本当に許せない。最後まで闘う」と訴えた。

 同種訴訟は全国5カ所で起こされ、最高裁は27日付で東京と大阪での訴訟について、原告側の上告を退け、敗訴が確定。名古屋、広島、福岡の残り3件では1審で原告側が敗訴し、高裁に係属中。【後藤由耶】

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2019/09/02

厚労省:大臣意向で「非正規」という言葉を禁止するも撤回。大臣関与は否定。

東京新聞:「非正規と言うな」通知撤回 本紙の情報公開請求後に:政治(TOKYO Web)(2019年9月1日 07時05分)

 厚生労働省が省内の全部局に、根本匠厚労相の指示として「非正規」や「非正規労働者」という表現を国会答弁などで使わないよう求める趣旨の文書やメールを通知し、本紙が情報公開請求した後に撤回したことが分かった。同省担当者は撤回の理由を「不正確な内容が散見された」と説明。根本氏の関与はなかったとしている。 (中根政人)

 厚労省雇用環境・均等局によると、文書は「『非正規雇用労働者』の呼称について(周知)」という件名で四月十五~十六日に省内に通知。当面の国会答弁などの対応では、原則として「有期雇用労働者」「派遣労働者」などの呼称を用いるとした。「非正規雇用労働者」の呼称も認めるが、「非正規」のみや「非正規労働者」という表現は「用いないよう留意すること」と注意を促している。

 各部局に送信したメールには、同じ文書を添付した上で「『非正規雇用』のネーミングについては、(中略)ネガティブなイメージがあるとの大臣(根本氏)の御指摘があったことも踏まえ、当局で検討した」と記載され、今回の対応が根本氏の意向であることがうかがえる。「大臣了」と、根本氏の了承を意味する表現も明記されていた。

 「非正規」の用語に関しては、六月十九日の野党の会合で、厚労省年金局課長が、根本氏から使わないよう求められていると説明。根本氏は同月二十一日の記者会見で「指示した事実はない」と課長の発言を否定した。その上で、働き方の多様化に関し「単に正規、非正規という切り分け方だけでいいのか、それぞれの課題に応じた施策を講じるべきではないかという議論をした記憶がある」と話していた。

 本紙は七月十二日付で文書やメールを情報公開請求した。雇用環境・均等局は同月下旬に文書やメールの撤回を決めたとしている。撤回決定後の八月九日付で開示を決定した。

 堀井奈津子同局総務課長は撤回の理由について、文書に単純な表記ミスがあったことを指摘。根本氏の意向に触れたメールについては本紙の情報公開請求後に送信の事実や内容を知ったとして「チェックが行き届かなかった」と釈明した。

 文書については「大臣に見せていないし、省内に周知するとも伝えていない。文書作成に関して大臣の指示も了承もなかった」と説明。メールにある「大臣の御指摘」や「大臣了」についても、メールを作成した職員の勘違いとしている。

◆格差象徴に政府ピリピリ

 正社員と非正規労働者の不合理な待遇差の解消は、安倍政権の重要政策になっている。安倍晋三首相自身も「非正規という言葉をこの国から一掃する」と強調してきた。厚生労働省が「非正規」との表現を使わないことを文書やメールで省内に通知したのは、それだけ表現に神経質になっていたためとみられる。

 総務省の労働力調査(詳細集計)によると、役員を除く雇用者に占める非正規労働者は、第二次安倍政権発足当初の二〇一三年で年平均約千九百十万人(36・7%)だったが、一八年には約二千百二十万人(37・9%)に増加した。

 非正規労働者は、正社員に比べて賃金や社会保障などの面で待遇が悪く、格差拡大や貧困の問題と結び付いている。企業には都合の良い「雇用の調整弁」とされ、否定的な意味合いで受け止められることが多い。

 労働問題に詳しい法政大の上西充子教授は、厚労省の文書について「非正規という言葉だけをなくしてしまえ、という取り組みに映る。正社員になれず社会的に不遇な立場にある非正規労働者を巡る問題の矮小(わいしょう)化につながりかねない」と指摘。「問題と向き合うなら、逆に非正規をちゃんと社会的に位置付けないといけない」と訴える。 (中根政人)

掲載図:「厚労省が本紙に開示した「非正規労働者」に関する文書。「用いないよう留意」と全部局に通知している」【魚拓】

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2019/05/20

自民党 谷川弥一衆議院議員による般若心経演説

文部科学副大臣を務めた人。

2016年に話題になった国会での般若心経演説。与党がカジノ法案の強行採決に踏み切った委員会で、自民党の谷川弥一議員は「心を耕す仕事」の大切さを訴えた。
40歳から3年間「禅の勉強」を積み、般若心経を学び、文部官僚に夏目漱石の勉強会を呼びかけるぐらいに夏目漱石や種田山頭火に親しんできた谷川議員。

2019年にはまた別の発言で再び話題になった。

九州新幹線長崎ルートで長崎県が主張するフル企画案に反対している佐賀県知事に対して、

「台湾のような付き合いをしてほしい。韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ」

と言ったという。

禅を学び、般若心経をそらんじ、夏目漱石や種田山頭火に親しみ、「文学であり、彫刻であり、陶芸であり、三味線であり、それから宗教」による「心を耕す仕事」を77歳まで続けると、こんな発言ができるようになるのだろうか。

あるいは凡人には計り知れない宇宙の深奥を究める真理が述べられているのかもしれないな。

もっとも、発言後に谷川議員は不適切な発言として修正したいと述べてたそうだ。やはり心を耕し続けた才人の言葉は凡人には難しすぎたということだろう。


谷川議員「韓国か北を相手にした気分」佐賀知事に : 政治 : 読売新聞オンライン(2019/05/19 09:24)

 自民党の谷川弥一衆院議員(77)(長崎3区)は18日、長崎県諫早市で建設中の九州新幹線長崎(西九州)ルートを視察した際のあいさつで、「難しい問題は佐賀の説得。佐賀の知事には『台湾のような付き合いをしてほしい。韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ』と言った」と発言した。報道陣から真意を問われた谷川氏は不適切だったとして、「修正したい」と述べた。

 谷川氏は、新鳥栖―武雄温泉間(約50キロ)の整備方式を議論する与党の検討委員会のメンバー。検討委はこの区間について、鹿児島ルートと同じ「フル規格」か、在来線を活用する「ミニ新幹線」の2案に絞って検討しているが、佐賀県の山口祥義(よしのり)知事は、多額の財政負担などを理由に両案とも反対している。

 谷川氏ら国会議員3人はこの日、工事の進捗状況を確認するために現場を訪れた。あいさつは、同行した長崎県の中村法道知事ら地元の首長、工事関係者ら向けだった。

 山口知事は4月に東京都で開かれた検討委の会合に出席した。関係者によると、この会合で谷川氏は「日韓のような関係ではなく、日台のような関係であってほしい」と発言したという。谷川氏は検討委での発言について報道陣に「韓国とは言ったかもしれないが、はっきり覚えていない」と述べた。

 山口知事は読売新聞の取材に対し、谷川氏の発言について「真摯に佐賀県と向かい合ってほしい。冷静な議論が必要だ」と語った。

「佐賀、北朝鮮のよう」自民・谷川議員が長崎新幹線めぐり発言 - 毎日新聞(2019年5月19日 18時45分(最終更新 5月19日 19時44分))

 自民党の谷川弥一衆院議員(77)=長崎3区=が18日、長崎県諫早市で建設中の九州新幹線長崎ルートを視察した際のあいさつで「難しい問題は佐賀の説得。佐賀の知事には『台湾のような付き合いをしてほしい。韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ』と言った」と発言した。谷川氏は「不適切だった」として撤回したが、佐賀県の反発は必至で、新幹線の財源負担をめぐる両県の対立がさらに激化しそうだ。

 九州新幹線長崎ルートの新鳥栖―武雄温泉の整備方式を検討する与党は、JR九州や長崎県が要望するフル規格を前提に議論しており、2020年度に環境影響評価(アセスメント)に着手し、23年度末ごろの着工を目指している。国の試算では、フル規格の建設費は約6200億円で、佐賀県の実質負担は約660億円と見込まれている。

 これに対し、佐賀県の山口祥義知事は4月26日の与党検討委員会で「新幹線整備を求めていない」と述べ、建設に反対する意向を示した。同席していた谷川氏は「これから財源論に入ろうというときに、取り付く島がないようでは困る」として、考え直すよう山口知事を説得し、あいさつで紹介した発言をしたという。谷川氏は19日、毎日新聞の取材に「知事には韓国と言ったが、北朝鮮とは言っていない。18日のあいさつで北朝鮮と言ったのは言葉が走ってしまった」と述べた。【大場伸也、浅野翔太郎】

ところで、自民党ではフル規格がもう前提になっているそうだ。佐賀県知事の山口祥義氏は2018年には自公の推薦を受けて再選しているのだが、どうするのだろうか。

カジノ審議中、「般若心経」唱え時間消費 自民・谷川氏:朝日新聞デジタル(2016年12月5日20時15分)

 自民党がわずか5時間33分の審議時間で衆院内閣委員会で採決を強行したカジノ解禁法案の質疑では、推進派である自民党の谷川弥一・元文部科学副大臣(長崎3区)が「(質問)時間が余っている」と言って、法案の内容とは直接関係のない般若心経を唱えて解説し、自分の持ち時間を費やす場面があった。

 谷川氏は法案が審議入りした11月30日の衆院内閣委員会で、40分間の質問時間をもらって最初に質問に立った。最初はカジノ合法化の理由をただしていたが、28分が過ぎた時点で「一応質問が終わったのですが、あまりにも時間が余っているので」と前置きし、「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時……」と般若心経を唱え、「『般若波羅蜜多』は『般若』は知恵、『蜜多』は行く、『波羅』が彼岸、『幸せになるための道』ということなんです。『どうしたら幸せになるの?』といったら『無念無想で生き抜け』ということなんです」などとしゃべり続けた。

 それでも時間が余った谷川氏は、自身が愛読しているという夏目漱石の作品の紹介を開始。「やっぱり心を耕す仕事を考えないといかん。心を耕す仕事は何だといったら、文学であり、彫刻であり、陶芸であり、三味線であり、宗教なんです」などと語った。(南彰)

国会会議録検索システム 平成28年11月30日衆議院内閣委員会


○谷川(弥)委員 一応質問は終わったんですが、余りにも時間が余っているので、地元のことを一点。これは、答えにくかったら答えてもらわなくても結構です。そして、最後に私見を述べて終わります。
 地元のことですが、私の地元長崎県は、恥ずかしいことですが、五年間で約五万人人口が減っております。その最大の理由は水産業なんです。東シナ海という大変いい漁場を持って、私の出身の五島列島を中心に、以西底びきとかまき網がどんどん出て大変な経済的効果があったんですが、今から言う理由によってもうがたがたになっております。
 一つは、中国が、川魚を主としたのが海の魚に移ってきて、東シナ海に約二万隻出ております。日本は八百しか出ておりません。そのことによって、以西底びきはほぼ壊滅状態になっております。まき網もほとんどそれに近い。もう一つは、温暖化によって、すむ魚が、地域が違った、西の魚が山陰沖に行き、山陰が青森の沖あたりに移っていっている。三番目が、消費者の魚離れによって、お肉をパックでぱっと買っていく。四番目が、冷凍技術の進歩によって、ノルウェーの魚が、瞬間冷凍して日本に持ってきて解凍したら、すぐその辺の魚と同じような状況になってきた。つまり、産地の優位性が崩れているんです。
 この四つは、どれも簡単に解決できません。できないと思います。そうすると、水産の復興というのは、まず養殖を確立させぬ限りあり得ないかな、こう思っているんですね。
 もう一つは、これは歴史の宿命ですが、造船業が韓国、中国にほとんど移って、主産業の造船業は長崎はもう思うに任せません。
 とすると、何でやるのという話になるんですよ。私は、口を酸っぱくして観光をやれと言っているんですが、なかなか思うとおりやってくれません。これを言うと個人攻撃になるので、中身は言いません。非常に、私は経営感覚は人並み以上にすぐれていると思っているので、これをやれ、あれをやれ、これをやれると言うんですが、一つも実行してくれない。
 そういう中で、このIRというのはすごいなと思っているので、ひとり言ですが、所見があったら教えてください。

○細田(博)議員 谷川議員の御出身の五島列島を初め、厳しい環境と過疎、高齢化が進んでいるということをよく承知しております。議員が主導権を持って国境離島の振興、保全に関する法律を成立させたことも一つ大きな業績でございますが、やはり、それぞれの産業がそれぞれの問題を抱えておりますから、観光振興というのも、そして、津々浦々に日本国民も外国人も来てもらって、文化遺産を見てもらったり楽しく旅をしてもらうということも非常に大事な要素になっております。六千万人と一口に言いますけれども、さまざまな工夫を凝らす、これは非常に大切な地域振興につながると思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

○谷川(弥)委員 全部時間を使おうとは思っていませんが、私見ですが、一番の心配はやはり、批判する人も言っているとおり、負の部分ですね、この法律による負の部分。
 それで、提案ですけれども、これは私見ですよ、人間の本能というのは苦しいことは避けて楽を求める、これは僕は本能だと思うんです。そうすると、いい結果が出ないので、悪い結果に対して、人のせいにして言いわけをする。これを私は保守本能、美化本能と言っているんですけれども、これに対抗するのは実は五つありますよ、五つ。
 一つは、人生に壮大な目標を持つこと。これは私見ですからどこにも書いていませんよ、私が勝手に言っているだけですから。二つは、このままほっておいたらどうなるかな。例えば、日本はどんどんどんどん借金を重ねていっていますが、このままほっておいたらどうなるのかなといって、将来に対する危機感を持ってそれに構える。三つ目は、あいつには負けたくないよという負けん気を持つ。四つ目が、恥ずかしいんですけれども、愛ですよ、愛。家族を守る。女房、子供を守るために命がけで働く。自分のことは自分でやる。五つが宗教なんです。
 宗教については、日本の社会は触れたがりません、憲法違反とかいって。しかし、我々の先祖はもともと、一週間に一回ぐらいお寺に行ったり教会に行ったりしておったんです。何でやれないのかなと思っているんですけれども、現実はやれない。
 例えば、宗教について一つ触れると、私は禅宗なので、禅の勉強を四十の記念に三年やったんですが、般若心経というのがあるんです。「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄」というんですが、その根底にあるのは、般若波羅蜜多というのは、般若は知恵なんです。蜜多というのは行くなんです。波羅が彼岸。幸せになるための道ということなんですよ。どうしたら幸せになるのといったら、無念無想で生き抜けと言うんですよ。言いわけするなと言うんですよ。七十五分の一秒単位でうわっと行けと言うんですよ。行けますかね。あなたはがんで死にますよと言われて、さて、無心になれるのかなと、私は自問自答するんですが、それはできないと思いますよ。できないでも、泣きながら、はいずり回ってでも、一日でも生きようとする、これが実は般若なんです。
 こんなことを徹底してやっていかないと、解決できない部分が出てきますよ、このIR法案には。やってほしい、けれども負の部分もあるよということをよくよくお考えいただいて、もう一回、宗教については見直せないのかな。自分の宗教でいいじゃないですか、全否定するんじゃなくて。どれをやれと言ったら問題だけれども、自分の宗教なら徹底してやるよということを議員それぞれ考える時期に来ているんじゃないかな。膨大な借金、人のせいにする、平気で人の金を使う、それを何とも思わない。当たり前だとして推奨する新聞もあります。政党もあります。そういうことを、僕は、ここでぜひ立ちどまって考えていただきたい。これがIR法案の負の部分に対する私の心構えなんです。
 もう一つ、ぜひお願いしたい。
 私は、文部副大臣のときに、夏目漱石を読んだことのある人は俺と語ろうよ、来いよと言って手を挙げさせたけれども、誰も来ませんでした。へえ、最近の文部省というのは漱石も読んでいないのかよと思ったんですが、私は、猫と草枕については全部、何ページの何行目から何行目は、これはいけるぞ、これはこの法律について書いているよというのをずっと書いて持っているんですけれども、私は実は漱石が好きなんです。全巻、十二回ぐらい読みました。
 そういうことの中で、例えば、「まつすぐな道でさみしい」とか、「日ざかりのお地蔵さまの顔がにこにこ」とか、「しぐるゝや人のなさけに涙ぐむ」とか、全部山頭火なんですが、こういう部分をもうちょっと見直していただきたい、教育面で。
 そういうことをもう一遍、人の心を、例えばAIが普及したら四九%失業する、どうするんですか。やはり心を耕す仕事をもう一遍我々は考えんといかぬ。
 そうすると、心を耕す仕事というのは何だというと、文学であり、彫刻であり、陶芸であり、三味線であり、それから宗教なんですよ。そういうことを構えていかないと、このIR法案の負の部分についての抜本的な解決にならぬぞ、そういうことを提案して反対するならいいけれども、何も提案せぬで、負の部分だけ見て反対反対と言うのはいかにも芸がないよ、それを本当は言いたいんです。
 もうこれで終わりますから、御所見があったら承っておきたいと思います。

○細田(博)議員 これまでも、公営競技等について、そのお金を使ってさまざまな振興を図っておりますが、このIR、カジノ収益については、おっしゃるような伝統文化の振興と観光の振興、こういったことをもっと深くやる仕組みを考えなければならないということを今考えておりますので、またお知恵を出していただきたいと思います。実現の際にはよろしくお願いします。

○谷川(弥)委員 時間が余りましたが、終わります。ありがとうございました。

参考までに、谷川議員によるこの質疑応答の前半部分も掲げておく。短いが、グローバリズムが到来した世界情勢からカジノの意義を説き、占領軍による日本の伝統文化破壊を告発する演説である。

○谷川(弥)委員 自由民主党の谷川弥一です。  質問に入る前に、ちょっと私見ですが、本日、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案、いわゆるIR法案をようやく内閣委員会で審議を始めることができることに感謝申し上げたいと思います。同時に、御尽力いただいている会長の細田先生、幹事長の岩屋先生、西村先生ほか議連に所属している全議員に敬意を表したいと思います。  さて、冷戦構造が終結し、市場が一つになるグローバリズムが到来したことで世界経済は飛躍的に拡大しましたが、結果として、労働賃金が相対的に安い途上国に労働賃金が高い先進国から資本と技術を持って進出した結果、先進国の工場が閉鎖され、大量の失業者が出、閉鎖しないまでも賃金の上昇のスピードが鈍ったことによって、大変な貧富の格差を及ぼしております。同時に、デジタル革命によって情報通信、金融等が飛躍的に伸び、所得格差がますます広がりました。このことによる国民の二層化が進んだことにより、イギリスがEUから離脱、トランプ大統領の誕生等、大変な時代の激変を迎えております。  国内に目を向けると、少子高齢化により、社会保障制度の維持が難しくなり、市場の縮小によって、個人消費の伸び悩みでなかなか経済がうまく伸びない。アベノミクスで、第一の矢、超金融緩和をしたが、そのことによって必ずしも思ったほどの効果が出ていない。第二については、膨大な借金によって、これも思うに任せない。第三についてのイノベーションですが、これも国立大学の独法化の結果、十二年で千四百五十億も切ったというような大変な状況下にあります。  そういう中で、日本は、インフラの輸出とかいろいろやっているんですが、この観光産業というものをもう少し大々的にやっていき、それは成功しつつありますが、さらに力を入れるためには今回のこの法案は大変有力なる武器になると思っておりますので、そのことを踏まえながら、以下、数点お尋ねいたします。  一つは、特定複合観光施設とは何なのか、なぜカジノを合法化しようとするのか、お尋ねしたいと思います。

○岩屋議員 まず、この審議の場をお与えいただきました秋元委員長を初め委員の先生方に、心からお礼を申し上げたいというふうに思います。
 今、谷川先生から、我が国の経済の現況についてのお話もいただきましたが、その中で、一番、今着実に伸びていて、なおかつこれからも確実に伸びていく分野はどこかということを考えますと、それは観光だというふうに私ども考えておりまして、先生がおっしゃっていただいたように、我が国の観光振興に資するためにこの法案を提案させていただいているところでございます。
 そこで、先生のお尋ねの特定複合観光施設とは何かということでございますが、推進法案にも明記させていただいておりますように、会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与する施設、及び、その施設のごく一部と想定をしておりますが、カジノというゲーミング施設が一体となっている施設を指すものでございます。
 なぜそれが必要かということでございますが、例えば、シンガポールは二カ所のIRを設置することによりまして観光を飛躍的に伸ばしているわけでございますが、そのシンガポールのIRの施設の中には、ごく一部にカジノという非常に収益力の高い施設が設けられております。それが加わっていることによって、国際会議場や展示場、単体であれば不採算になるような施設も含めた施設全体が円滑に運営できている、さらに集客力を飛躍的に伸ばしているという事例がございます。
 したがって、私どもも、日本のMICEの機能を強化していくためにも、一部にカジノ施設を含むIRというものを認めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。

○谷川(弥)委員 次に、カジノを合法化することの社会的な問題やリスクについてどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。

○岩屋議員 カジノというのは、言うまでもなくギャンブルでございますので、それが及ぼす社会的な負の影響について十分対策を講じなければいけないというのは、当然のことだと思っております。
 例えば、ギャンブル依存症の問題、それから治安がもしかすると悪化するのではないかという懸念、あるいは青少年に悪影響を及ぼすのではないかというような心配、あるいは社会悪、組織悪の関与があるのではないかという懸念、こういったリスクを最小限に抑制する措置を設けることによって、国民の理解、信頼を深めることが必要であるというふうに考えているところでございます。
 そのために、今回の法案におきましても、カジノ施設の設置、運営に関しまして、不正行為の防止や有害な影響の排除のための必要な措置を政府に講じなさいということを命じております。また、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序維持、安全確保を図る、独立性の高いカジノ管理委員会の設置を予定しているところでございます。これらの厳重かつ適正な規制、監督を行うことを前提にしているところでございます。

○谷川(弥)委員 次に、三点目に、IRの推進、導入にはどのような効果があるのか、お尋ねしたいと思います。

○細田(博)議員 IRの推進、導入にどのような効果があるのかという御質問でございますが、このIRの導入によりまして、国際観光の振興、国際会議機能の強化、文化の振興、魅力ある都市づくり、地域活性化など、幅広い波及効果が期待されております。
 具体的には、施設整備に伴う建設需要、直接的、間接的な雇用創出、第三に国内外の観光客の増加による経済効果、第四にカジノ収益による財政改善が期待されるわけであります。また、これらの経済効果は、IR施設の設置区域以外の地域にも広域的に波及するのではないかと考えております。
 例えば、シンガポールにおきましては、二〇一〇年に二つのIRが開業したところ、マリーナ・ベイ・サンズの初期投資は約五十七億米ドル、約五千億円弱にも上ります。また、両IRのカジノにおける直接雇用は約二万三千人であり、間接雇用を含めればさらに多くの雇用創出効果があると考えられます。二〇一三年においては、海外旅行者数が導入前の二〇〇九年と比較して六〇%増の千五百五十万人に、また、海外旅行者の消費額が、観光、娯楽、賭博、宿泊、ショッピング、飲食における増加を中心に約九〇%増、二百三十五億シンガポール・ドル、約一・九兆円となっており、これらはIRの導入による影響も大きいと考えられるわけでございます。さらに、二〇一三年のカジノ収入でございますが、導入前と比較して約四一%増の二十四億シンガポール・ドル、二千億円となっております。
 厳しい管理のもとで運営されるカジノは、他の施設とも相まって、今やファミリー層のデスティネーション、観光目的地になっているわけでございまして、旅行をされた方は御理解いただけると思いますが、これらの都市は、今や大人から子供まで家族全員が楽しむことができる総合エンターテインメントシティーに変貌したと言えるわけでございます。そのような効果を参考にしながら、大きな効果に期待しております。

○谷川(弥)委員 次に、IR推進の目的の一つに観光振興というのが挙げられていますが、IRは観光振興に本当に役立つのか、お尋ねしたいと思います。

○西村(康)議員 お答えを申し上げます。
 今も答弁がありましたけれども、まさにIRは複合的な大型の観光施設ということで、質の高い多様なサービスが提供されるという中で、内外の老若男女を問わず、観光客それからビジネス客をも対象とし、いわゆるギャンブラーを念頭に置いてその人たちを呼び込もうということではありませんので、これは全体として大いに観光振興に役立つものと考えております。
 今もお話がありましたけれども、シンガポールではIRの導入前後で観光客が約六割増加をしておりまして、観光立国というものを実現しているというふうに思います。大いに観光振興に寄与するものと思っております。
 今もお話がありましたとおり、ファミリー層全体を引きつける施設ということで、いわゆる総合エンターテインメントシティーとして実現していければ、日本の観光にも大いに寄与するものと思っております。
 ちなみに、シンガポールのいわゆるアイコニックな外観で有名なIR施設の宿泊施設でありますホテルでありますけれども、その宿泊数のトップは日本人でありまして、その多くはカジノ目的に訪れているわけではないというふうに認識をいたしております。

○谷川(弥)委員 五番目については、私見を述べながら、いかに地域の振興が大事か、何で地域が疲弊するのかということについて触れて、今回はぜひ地域を中心に展開していただきたいというのをお尋ねするんですが、なぜ地域が疲弊するのか。それは、一次産業に対する依存度が高いところほど疲弊していっているんです。それと、情報通信社会というのは必ず大都市に集中する傾向が世界的にあります。例えば、九州でいったら福岡へ、中国地方だったら広島へというふうに、どこもなっていくんですね。
 さて、それならどうして地域が疲弊するかという前に、ひとつぜひ原点に返って考えていただきたい。
 それは、戦後の日本社会というものの一番の欠点というのは、先輩たちがむちゃくちゃな戦争をした、そのことによって国民に大変な負担をかけた、もう骨身にしみている。だから、また戦争になるよとちょっとささやいたら、そこで全ての思考がとまってしまう。これが僕は全ての諸悪の根源だと思っているんです。ここをどう脱していくか。
 現実は、戦わなければ生きていけない。全ての動植物がそうです。人間もそれから逃れることはできません。戦わなかったら生きていけないんです、生き物は。そこをまず原点に置いて物を考えていただかないと困る。そうすると、一次産業はどうやって戦っていくのか。これは難しいですよ。
 なぜならば、今はやりというか、盛んに今期待されつつあるAIとかそれからビッグデータとか、そういうのをうまくやっていけば農業も生き返ってくるんですけれども、その間はどうするか、それが完成するまでは。それは、人件費の安いところに負けるのは当たり前なんです、今のやり方では。そうすると、グローバリズムが進むほど一次産業はやられていくというのはもう当たり前なんですね。そこを無視して、農協改革をやろうとしたり、それから合理化が進むからますます地方は疲弊していく。
 それなら、何で地方を救っていくのか。これが、僕は日本だけじゃなくて世界的に抜けているんじゃないかなと。思い切って堂々と、生活保護をやるように一次産業生産者の弱い部分は助けていくべきだと僕は思っているんです。それをしきらぬなら、そのかわりに何の産業を持ってくるか。そこをしっかり頭に入れていただいて、ぜひこの件は展開していただきたい。
 最後に、余談ですけれども、ヘレン・ミアーズという人が書いた「アメリカの鏡・日本」という本があります。物すごく厚い本です。そこに気になることが二つ書いてあるんです。
 一つは、これを書いた人は、昭和二十八年の、労働問題に関係した、占領軍というか、人ですが、ヘレン・ミアーズというんですが、第一、占領の目的は、日本経済をぐちゃぐちゃにたたいてほっておけ、こう書いているんです、本の中に。うそか本当か知りませんよ。その本の中に書いているんです。第二、日本の伝統文化を破壊せよ、こう書いているんですね。
 そうすると、日本の伝統文化とは何だというと、家族なんですよ。家族であり、集落であり、神社なんですよ。それをぐちゃぐちゃにされたから、日本人は立っている基盤というのが弱くなっている。こういうこともまず頭に入れていただきたい。どうぞお願いして、質問に入ります。
 地域の活性化、地方創生の達成のためにIRを活用すべきだと僕は思っているんですが、いかがですか。

○岩屋議員 ただいま谷川先生の幅広い御識見を御披露いただきました。それにお答えする能力は私にはないわけでございますが、今先生御指摘の、地域活性化、地方創生の達成のためにこそIRを活用すべきだという点につきましては、私ども提出者も全く同じように考えております。
 どこにIRを展開すべきかということを我々は議論してきたわけではありませんが、やはり、大都市ばかりではなくて、地方への展開もあってしかるべきではないかと思っています。
 今、インバウンドは二千万人に達しましたが、その大半はいわゆるゴールデンルートに集中しております。東京に入って、富士山を見て、大阪へ行って、京都、奈良を見て帰るというのが大半でございますので、こういった海外からのお客様に北海道から九州、沖縄に至るまで幅広く我が国を旅行していただくためにも、地方型のIRというのも私はあってしかるべきではないかと思っています。
 人口減少が進んでいる地方において観光業を中心とするサービス業を発展させることが、地方創生あるいは地域活性化につながっていく。我が国には、先生のお地元もそうでありますように、それぞれ独自の文化、伝統を育み、また魅力ある観光資源に富んでいるわけでございまして、IRの推進によりましてこれからますます地方に観光客がふえていくように、またそうしていかなければいけないというふうに私ども考えているところでございます。

○谷川(弥)委員 六番目に、IRを推進するに当たって、最後にもう一回、政府にはお尋ねしますが、国の果たすべき役割は何なのかをお尋ねします。

○岩屋議員 お答え申し上げます。
 まずは、新しい取り組みでありますIRのコンセプトを国が明確に打ち出すことによって、地方公共団体や民間事業者の意欲を喚起する必要があるというふうに思っておりまして、そのための第一歩がこの推進法案であると私ども考えております。
 今回の推進法案におきましては、国は、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成、さらに、観光産業等の国際競争力の強化、三番目に、地方経済の振興のために必要な措置を講ずる、四番目に、地方公共団体のすぐれた構想を反映させるための措置を講ずるというふうにいたしております。
 IRの円滑かつ着実な推進に当たりましては、したがって、国がこういった基本方針を、基本指針と言ってもいいと思いますが、これをしっかりと策定するなどしてその方向性を示すということが、国の役割になろうかと思います。
 さらに、国は、カジノ施設関係者に対する規制を適切に行う独立の機関といたしましてカジノ管理委員会を設ける、そのカジノ管理委員会によりまして厳しく事業者を規制するとともに、カジノ施設の設置が社会に及ぼす影響等について国民の不安や懸念を払拭するため、カジノ施設における不正行為の防止や有害な影響の排除のための必要な措置を講ずることといたしております。
 その具体的な措置の中身につきましては、この推進法案を成立させていただければ、一年以内に政府が実施法案の中でしっかりと規定をするということになるわけでございます。

○谷川(弥)委員 七番目に、入場者についての規制は想定していますか。
 例えば、未成年者や生活保護受給者、過去に犯罪歴のある人のカジノへの入場制限をすることは想定しているか、お尋ねいたします。

○西村(康)議員 お答え申し上げます。
 まさに大事な視点でございまして、カジノ施設への入場者への規制ということにつきまして、御指摘ありました、青少年の健全な育成、あるいは暴力団等の関与の排除、ギャンブル依存症への対策、こういったために必要ではないかというふうに考えております。
 そうした観点から、法案の第十条二項に、「カジノ施設への入場に関し必要な措置を講ずるものとする。」という規定も入れているところでございます。
 少なくとも、未成年者がカジノ施設に入場することは禁止をし、入場に当たっては、写真つきの身分証明書等、マイナンバーカードなんかもその一つだと思いますが、年齢確認等を行うことも考えられると思います。また、入場規制として、欠格要件を設けたり罰則を設けたりすることも考えられるわけでありまして、具体的内容につきましては、政府において策定される実施法、この中で規定をされるものというふうに考えております。
 ちなみに、ギャンブル依存症対策として、シンガポールでは、自己排除あるいは家族排除プログラム等、つまり、家族が、うちの家族の一員である夫はもう行かせないでくれといったような、そういった申し出によって抑止政策が実施されておりまして、こういった諸外国のさまざまな取り組みも、実施法案の中で今後考える、検討に当たっては参考になるものというふうに考えております。

○谷川(弥)委員 似たような質問ですが、重なっていたら飛ばしてください。
 カジノの導入によって社会的問題がいろいろ、例えば依存症とかマネーロンダリング、暴力団、地域の風俗環境、青少年に及ぼす影響等に対する国や地方公共団体の対応として、具体的にどのようなことを考えていらっしゃるか、教えてください。

○西村(康)議員 お答え申し上げます。
 御指摘ありました、カジノの導入に際して想定される社会的問題に対する具体的な対策について、政府において一年以内を目途に策定される実施法の中で規定されるものというふうに考えておりますけれども、この法案でも、第十条におきまして幾つかの項目についてしっかりと、必要な措置を講ずるという規定を設けておりまして、例えばチップ等の金銭代替物の適正な利用とか、暴力団員の関与の排除とか、青少年の健全育成とか、ギャンブル依存症対策、こういったことについて必要な措置を講じることにしております。
 依存症対策については、先ほども申し上げましたけれども、カウンセリングの枠組みとかあるいは治療等の体制整備、事業者における配慮義務、あるいは教育、こういったものについて、実態を把握しながらしっかりと政府において対応していくことを求めたいというふうに思っております。
 一方、地方公共団体は、このIR区域及びその周辺環境の健全化、安全化、こういったこと、あるいは、カジノが社会、その地域に与える問題やリスクを最小限に抑制していくために取り組んでいくということが期待をされるというふうに思います。
 いずれにしましても、政府が策定をする実施法案の中でしっかりと規定をしてもらいたいというふうに思っております。

○谷川(弥)委員 日本でギャンブル依存症の疑いがある成人は約五百三十六万、その人口に対して四・八%という厚生労働省の研究班の調査結果がありますが、カジノを合法化してIRを推進することによりギャンブル依存症が増加する懸念があるのではないかと心配されますが、対応策についてお尋ねいたします。

○西村(康)議員 御指摘のギャンブル依存症対策というのは、物すごく大事な点だというふうに思っております。ぜひ、こうしたギャンブル依存症を含めて社会的な考えられる問題、これをしっかりと排除して、最小限に抑制していくということが最重要の課題というふうに考えております。
 ギャンブル依存症については、公営競技等において既に存在する問題であるというふうに認識をしております。
 国においても、厚労省において現状について調査研究を行って、毎年一定の対策を講じてきているものというふうに承知をしております。
 二十八年度も、本年度末までを対象として依存症に対する調査を行っておりまして、こうしたものを踏まえてしっかりと対応していくことが必要だというふうに考えております。
 先ほど申し上げました諸外国の例とか最新の知見、こういったものを踏まえて、ギャンブル依存症の減少、シンガポールなんかでは減少をさせていますので、こういったことを参考にしながら、ぜひ万全の対策を講じてもらいたいというふうに思っております。
 あわせて、効果的にこの依存症対策を推進するために、地方公共団体、あるいはNPO、NGO、こういったところとも連携をとりながら、細やかな対策を講じていくことが大事だというふうに思っております。
 シンガポールの例で申し上げると、一・二%から〇・二%に下がったりしておりますので、そういった取り組みを参考にしてぜひ取り組んでもらいたいというふうに思っております。

○谷川(弥)委員 質問の最後に、政府にお尋ねしますが、本法案第五条において、政府は、本法案で定める基本方針に基づいて、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、そのために必要な法制上の措置について、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならないとしているが、本法案が成立した場合、政府は今後どのような法整備を進めていくおつもりか、お尋ねいたします。

○中川政府参考人 お答え申し上げます。
 議員立法でありますこのIR推進法案第五条におきまして、政府は、特定複合観光施設区域の推進に必要な法整備の措置につきましては、推進法案の施行後一年以内を目途として講じなければならないとされていることは承知しております。
 このため、この推進法案が施行されました場合には、既にここの場でも御議論をいただきましたように、カジノ施設関係者に対するカジノ規制ですとか、あるいは入場規制などについての海外の先進的な事例なども参考にしつつ、この推進法案等に関する国会の場での御議論ですとか、あるいは国民的な議論を踏まえ、国民の納得を得ながら検討を進めていくことになるというふうに承知しております。

ちなみに谷川議員の発言は全部で5764文字。内訳を簡単に出すと、
般若心経と心を耕す教育について 1807文字、31%。
長崎県の水産業と造船業の話 824文字、14%。
占領軍が日本の伝統文化を破壊した話 376文字 7%。
敗戦経験から戦いを忌避したが一次産業の弱点を助けるべきという話 684文字、12%。
グローバル化する世界とアベノミクスが効かない日本という話 495文字、9%。
合計で73%。

今更だけど、質問の部分だけを抽出する方が早かった。


 一つは、特定複合観光施設とは何なのか、なぜカジノを合法化しようとするのか、お尋ねしたいと思います。

次に、カジノを合法化することの社会的な問題やリスクについてどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。

次に、三点目に、IRの推進、導入にはどのような効果があるのか、お尋ねしたいと思います。

次に、IR推進の目的の一つに観光振興というのが挙げられていますが、IRは観光振興に本当に役立つのか、お尋ねしたいと思います。

 地域の活性化、地方創生の達成のためにIRを活用すべきだと僕は思っているんですが、いかがですか。

六番目に、IRを推進するに当たって、最後にもう一回、政府にはお尋ねしますが、国の果たすべき役割は何なのかをお尋ねします。

七番目に、入場者についての規制は想定していますか。
 例えば、未成年者や生活保護受給者、過去に犯罪歴のある人のカジノへの入場制限をすることは想定しているか、お尋ねいたします。

似たような質問ですが、重なっていたら飛ばしてください。
 カジノの導入によって社会的問題がいろいろ、例えば依存症とかマネーロンダリング、暴力団、地域の風俗環境、青少年に及ぼす影響等に対する国や地方公共団体の対応として、具体的にどのようなことを考えていらっしゃるか、教えてください。

日本でギャンブル依存症の疑いがある成人は約五百三十六万、その人口に対して四・八%という厚生労働省の研究班の調査結果がありますが、カジノを合法化してIRを推進することによりギャンブル依存症が増加する懸念があるのではないかと心配されますが、対応策についてお尋ねいたします。

質問の最後に、政府にお尋ねしますが、本法案第五条において、政府は、本法案で定める基本方針に基づいて、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、そのために必要な法制上の措置について、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならないとしているが、本法案が成立した場合、政府は今後どのような法整備を進めていくおつもりか、お尋ねいたします。


谷川議員、自分でこの質問項目考えたのかなあ。誰かが作ってくれたメモを読んだだけだったりして。

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2019/04/26

朝鮮人の民族教育を守ろうと呼びかける手塚治虫のコラム

Satoko Oka Norimatsuさんのツイート: "1966年4月16日、手塚治虫… "

手塚治虫が書いた朝鮮学校を守ろうと主張する手塚治虫のコラム。朝鮮時報1966年年4月16日付とのこと。
文字起こしされたものがあるかと思ったが検索にかからないので、勝手ながらここに掲げておく。この切り抜きを紹介したSatoko Oka Norimatsu氏に謝意を表する。

下記の文献を参考にすると、この手塚のコラムは1966年に自民党が提案しようとした「外国人学校制度」への反対の一環として書かれたものだと思われる。この自民党の「外国人学校制度」は「朝鮮人の行き過ぎた民族教育を是正」する意図を持ったものだったとされている(マキー(2013), p.50)。

手塚は「かれらは弾圧の理由づけの一つとして、朝鮮人の民族教育を「反日教育」だといっていますがこれも笑止の至りです」と述べている。彼の指摘は、その後50年を経てもなお、生き続けていると言っていいだろう。

手塚治虫が現代の日本のマンガやアニメの大きな源流の一つであることは論を待たないと思うが、いわゆる「オタク」の人々の中でも朝鮮学校の無償化に反対する人々は、その彼がこのような意識を持って政治的な主張を行っていたことについてどのような思いを抱くのだろうか。

私は広く呼びかけたい 在日朝鮮人の民族教育を日本人の手で守ろう 手塚治虫

挑戦の人たちは好きこのんで日本へやって来たのではありません。日本の軍国主義の犠牲となって、民俗の歴史を奪われ、ふみにじられ、強制労働につかわれたかたがたです。最低の生活に追いつめられ、偏見と蔑視の中で何十年も生きぬいてこられたのです。私は、日本人として本当に恥ずかしく、申しわけなく思います。
しかしその弾圧の歴史の中にあって、常に民族の誇りを持って抵抗し、ついに解放と再建の非を勝ち取られた朝鮮民族は偉大です。それは、朝鮮という祖国の歴史を教え、家庭の歴史を子弟に教えた朝鮮人の功績でしょう。
朝鮮人が、なぜ時刻の歴史や文化を、朝鮮人の教師によって朝鮮語で学んではいけないのでしょうか。逆に、われわれは、朝鮮人に対して行なった、かつての日本軍国主義の強圧政策を、どのくらい知っているでしょうか。更にまた、われわれはこれをふたたび繰返さぬようどれほど反省しているのでしょうか。
今回の「学校教育法改正」はそれらに全く耳をふさいだ、軍閥時代のよう腫(しゅ)が、またもや表面に吹出し始めたと思うほかありません。それらの法案を作成し通過させようという連中は、その暗黒時代にそれによって利益を得たり、あるいは植民地的蔑視に頭がこりかたまった、ごく一部の亡者たちでしょう。
人種差別を更に強め、母国の歴史も学べぬような骨抜きの教育を強制し、朝鮮人でも、日本人でもない自覚のない人間をつくることを意図しているこんどの法案は、まさしく改悪どころか、問題にならぬ愚案です。この法案が可決されれば、朝鮮人子弟が卑屈感と無国籍的人間性を助長されることは間違いありません。
日本の歴史から考えるに、「外国人」ということばから、すぐヨーロッパ人とアメリカ人を連想します。朝鮮人はその中に含まれてはいないといっても過言ではありません。
口では民主主義政治を唱えながら政府がまたもや朝鮮人に政治的な弾圧を加えようとしていることは、許せないことです。
かれらは弾圧の理由づけの一つとして、朝鮮人の民族教育を「反日教育」だといっていますがこれも笑止の至りです。こんなことをいっている当局者には、日本人自身に民主主義教育を行なうことすらおぼつかないのではないでしょうか。
ある日本の公立中学校に在学していた朝鮮人学生が、朝鮮人学校へ転校したとき、同級の日本人中学生は「母国語を勉強し、いつかは母国のために役立つことが本人にとっても幸福なのだ」と感想をのべて、かわらぬ友情を誓いあったといいます。
私はこのことに素直な共感を覚えます。教育とは、本人のためにもなり、また社会や母国のためにもなるべきものです。強制され、歪(ゆが)められたわくの中で教えられるべきではありません。日本人も朝鮮人も、それぞれ民族的で民主的な教育を受けるのは当然の権利です。いま少くない日本国民はつんぼ桟敷(さじき)におかれ、平和ムードと政治家の詭弁(きべん)とに麻痺(まひ)してこのような重大な問題が次々に国会を通過し実現してしまうのをみすごしています。
日本国民は朝鮮人の民族教育が政府に弾圧されぬようこれを阻止し、日本人の手によってこれを守っていかなければなりません。私はそのことを広くよびかけたいと思います。
(漫画家)


参考
マキー智子(2013)「「外国人学校制度」創設の試み : 日韓会談期における在日朝鮮人対策の模索」北海道大学大学院教育学研究院紀要, 118: 27-57
https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/52887/3/AA12219452_118_02.pdf

韓東賢(2015)「朝鮮学校処遇の変遷にみる「排除/同化」―戦後日本の「排除型社会」への帰結の象徴として―」教育社会学研究第96集, 109-129 https://www.jstage.jst.go.jp/article/eds/96/0/96_109/_pdf/-char/ja

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2019/04/12

例外規定を最大限活用して支出実態を隠す人と、その追及に及び腰の監督官庁という話。

2017年の記事。

鈴木俊一五輪相に架空計上疑惑か 政治資金1658万円に領収書がない? - ライブドアニュース(2017.08.18 07:00 週刊ポスト)

【魚拓】鈴木俊一五輪相に架空計上疑惑か 政治資金1658万円に領収書がない? - ライブドアニュース(2017年8月18日 7時0分)

 内閣改造でオリンピック・パラリンピック担当大臣に就任した鈴木俊一氏(64)。父は鈴木善幸元首相、姉は麻生太郎・財務相兼副総理の妻という名門政治家一族の“サラブレッド”だが、早々に出てきたのは金にまつわる問題だった。

 鈴木氏が代表を務める資金管理団体「清鈴会」が、3年間で1412万円ものガソリン代を計上していたことを、『週刊新潮』(8月9日発売)が「3年で地球33.8周分」と報じた。ただ、問題はそれだけに止まらなかった。

◆例外規定の「徴難」で1658万円也

「清鈴会」の政治資金収支報告書を仔細に検証すると奇妙な記載に突き当たる。支出の備考欄に記された「徴難(ちょうなん)」の2文字だ。

 徴難とは、収支報告書を提出する際に、「領収書等を徴し難かった支出」を指す。領収書を添付できなかった場合に、「領収書等を徴し難かった事情」、支出の目的、金額、年月日を記載した明細書、もしくは金融機関が作成した振込明細書と「支出目的書」を提出する。

「個人や法人の税務申告に置き換えると、税務調査があった場合、帳簿に支出とあっても、支払った相手が金額を証明している領収書がなければ原則認められません。政治資金における『徴難』のように支出の目的などを自ら記入して済ませる申告方法は、あくまで例外的なものに限られます」(税理士の浦野広明・立正大学客員教授)

 ところが、清鈴会の場合、2015年の「ガソリン代」91万1004円(21回の支出)をはじめ、「郵便代」「労務費」「家賃」などで「徴難」が乱発されている。閲覧可能な過去3年分の報告書を見ると、2013年は495万2069円、2014年は563万5322円、2015年は599万6979円と増え続け、3年間で「徴難」は228件、総額1658万円に及ぶ。そのすべてに領収書がないのである。

 他の閣僚で「徴難」の記載があるのは、松山政司・一億総活躍担当相だけで、「事務用品費」などで2013年(3件)と2015年(4件)にそれぞれ5万円程度だ。鈴木氏の団体が突出して多い。政治資金問題に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「非常に不自然」とする。

「国会議員関係の政治団体は1円の支出でも原則、領収書の保存が必要で、使途不明金がないことを政治家自らが明らかにするよう制度設計されています。例外的に徴難が認められている趣旨は、在来線や路線バスの運賃のように慣習上領収書を求めないケースが限定的に存在するからです。領収書が発行される郵便代やガソリン代などに適用することは想定されていない」

 にもかかわらず、清鈴会で「徴難」が最も頻出するのは「郵便代」だ。2015年は290万7202円分(24件)にのぼる。

◆「領収書は全て渡しています」

「徴難」の支払先を取材していくと、より奇妙な実態が浮かび上がる。

「郵便代」の支出先である日本郵便は「全ての支払いに領収証をお渡ししている。仮に料金後納や口座振替だったとしても、郵送で通知を送っている。領収証をお渡しできないということはない」(広報室)と説明する。

 また、2015年1月23日に盛岡市内にあるレンタカー店に支払われた「レンタカー代」9万1808円にも「徴難」の記載があるが、同店舗を取材すると、「基本的に領収書は発行しているし、(支払いの)確認ができれば再発行にも応じる」という。

 さらに清鈴会の収支報告書では、2014年4月3日に「役員会会場費」として宮古市内のホテルに4万8000円を支払ったが、これも「徴難」と記載されている。2013年と2015年に同じホテルに「会場費」を計上した際の収支報告書には「徴難」はなく、領収書があるものとして処理されている。同ホテルの営業部長が困惑気味に回答した。

「台帳を確認しましたが、その日(2014年4月3日)に予約は入っていません。ご利用いただいた場合は、領収書を出すはずですが……」

 ホテルを利用した記録もなく、領収書もないとなれば、架空の経費計上である疑いすら出てくる。

 鈴木事務所に問うと、「4月3日は支払日の記載であり、会議の日を記載したものではない」と回答。収支報告書の「徴難」についてはこう回答する。

「振込で払ったものについて、振込書では支出の目的が書かれていないため、選管からの指導に基づいて『徴難』処理としている。支出を裏付ける振込書はあり、いずれも政治活動の支出として払ったもの」

 本誌・週刊ポストの取材で、支払先が「領収書を発行しないケースはない」と答えていることについて同事務所は、「振込で払ったものには領収書は出せないといわれた。選管の指導に基づき処理した」と説明した。前出・岩井氏はいう。

「不審な点があれば税務調査を受ける個人、法人と違って政治資金管理団体への監査は甘く、突っ込んだ調査はされない。だからこそ支払った相手先に支出の金額を証明させる領収書の添付が義務づけられているわけですが、『徴難』の乱発はその趣旨にそぐわない」

 鈴木事務所は取材に「今回、一部、『徴難』とすべきところに記載漏れがあったことが確認されたので、選管とも相談して必要な対応をしていく」とも答えた。領収書がないのに「徴難」の記載がなくても、収支報告書が監査を通ってしまう実態もあったということだ。

 なぜ、このような処理が認められるのか。所管する総務省は、「一般論として『徴難』にあたるのは社会通念上、客観的に領収書の発行が困難なケースです。ただ該当するかは政治団体の会計責任者に適切に判断していただく」(収支公開室)と説明するのみ。

 鈴木氏のように領収書が得られたはずの支出を「徴難」と処理しても、「総務省や都道府県選管は提出されたものを受け取るとしかいえない」(同前)というのだ。少なくとも一般の国民が「領収書なし」で経費申告すれば、税務署に突き返される可能性は限りなく高い。

※週刊ポスト2017年9月1日号

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2019/03/05

東京医大不正入試問題の第三者委報告。事前の寄付金相談疑いを指摘するも政治家関与の状況は不公表。

東京医大 合否判定前に寄付金のやり取りか 第三者委が指摘 | NHKニュース(2019年3月5日 4時28分)

不正入試問題を受けて設置された、東京医科大学の第三者委員会は、臼井正彦前理事長が一部受験生の関係者と、合否判定前に文部科学省が禁止している寄付金のやり取りを行っていた可能性があると指摘しました。

東京医科大学の不正入試問題について、大学は4日夜、第三者委員会による調査報告書を公表しました。

それによりますと、不正入試を行ったとされる臼井前理事長はメモを残していて、そこには受験生11人の名前と、1人当たり300万円から3000万円の寄付の金額が記載されていたということです。

11人は全員合格したということですが、第三者委員会はこのうち、7人に得点操作が疑われるとしています。

また、実際に寄付をした10人中5人の金額は、メモに記されていたものと一致していました。

さらに、一部受験生側と寄付金のやり取りを合格発表前にしていたことを伺わせる別のメモも見つかったということです。

受験生側が臼井前理事長と寄付金のやり取りをした手紙には、「もし入学が許されましたら、育てていただく大学のためには、寄付は3千万は用意するつもりでおります」と記されていたということです。

文部科学省は合否判定前に寄付金の約束をすることを禁じていますが、第三者委員会は大学側と受験生の関係者の間で、合否判定前に寄付金に関するやり取りがあった疑いが強いと指摘しています。

一方、政治家の口利きによる不正の可能性については、今回も議員の名前や詳しい状況は明らかにされませんでした。

東京医大「真摯に受け止め」
東京医科大学は「不利益を受けた方々には誠実に向き合い、対応させていただきます。第三者委員会から指摘された事項を真摯(しんし)に受け止め、再発防止を徹底します」とコメントしています。

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2019/02/16

アルバイト職員へのボーナス不支給は労働契約法違反とする画期的判決

「アルバイトへのボーナス不支給は違法」、大阪医科大が一転敗訴 大阪高裁判決 - 毎日新聞(2019年2月15日 19時59分(最終更新 2月15日 23時19分))

 学校法人・大阪医科大学(大阪府高槻市、現・大阪医科薬科大学)のアルバイト職員だった50代の女性が、正職員との待遇格差は違法として、法人に約1270万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は15日、請求を退けた1審・大阪地裁判決を取り消し、約110万円の支払いを命じた。江口とし子裁判長は「賞与を支給しないのは不合理」と述べ、労働契約法に違反すると判断した。女性の弁護団によると、同種訴訟で賞与の格差を違法とする高裁判決は全国で初めて。

 判決は、法人が正職員に一律の基準で賞与を支給していた点を重視。賞与が「従業員の年齢や成績に連動しておらず、就労したこと自体に対する対価」に当たるとし、「フルタイムのアルバイトに全く支給しないのは不合理」と指摘した。契約職員には正職員の約8割の賞与が支給されていたことを踏まえ、アルバイトには6割以上を支給すべきだと判断した。

 さらに、アルバイトが夏期休暇を取得できず、病気による欠勤中に給与が支払われない点も不合理と認定。一方、基本給の格差などについては退けた。

 1審判決(2018年1月)は賞与の格差について「正職員の雇用を確保する動機付けとして一定の合理性がある」と判断。他の請求も退け、女性側が控訴していた。訴状などによると、女性は13年1月に研究室の秘書として採用され、時給制で勤務。約2年後に適応障害で休職し、16年3月に契約を打ち切られた。年2回の賞与が支払われないことなどが、労契法20条が禁じる「不合理な格差」に当たるかが争点だった。

 同法人は「判決文が届いておらず、コメントできない」としている。【戸上文恵】

「労働契約法に反する」の判断は異例、意義が大きい
 脇田滋・龍谷大名誉教授(労働法)の話 非正規職員に賞与を支給しないことが労働契約法に反するという判断は異例で、意義が大きい。同一労働同一賃金は世界的には当たり前で、日本だけが取り残されている。賞与や各種手当の格差是正は一つのステップに過ぎない。正規・非正規の格差を抜本的に解消するため、将来的には基本給を同じにする必要がある。

大学側が控訴するかどうか、その後逆転判決が出るかどうかが焦点か。
東京大学が5年の雇い止めを止めて無期転換すると方針転換したことが最近話題になった。それと合わせて重要な(特に大学にとっては)ニュース。

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2019/01/28

毎日新聞、辺野古反対派リスト「国が作成依頼」との警備会社の内部文書を入手。

2015年 防衛局が反対派リスト作成、監視を警備会社に依頼
2016年 沖縄タイムスがリストの存在を報道 → 政府は関与否定の閣議決定
2019年 毎日新聞が内部文書を入手 → 当事者は曖昧証言、会社は防衛省への報告を否定

毎日のスクープ。
政府はいつものように否定。企業側も否定。まあ今の政府の言うことを信じる理由はないわけで。森友に関わった建設会社も政府の嘘に荷担していたわけだし、巻き込まれた関係者でも偽証することは十分あるし。

辺野古反対派リスト「国が作成依頼」 警備会社の内部文書を入手 - 毎日新聞(2019年1月28日 03時00分(最終更新 1月28日 09時12分))

 防衛省沖縄防衛局が発注した沖縄県名護市辺野古沖の海上警備を巡り、業務を委託された警備会社の幹部社員が、米軍普天間飛行場の辺野古への移設反対派リストを作って監視するよう、防衛局側から2015年に依頼されたとする内部文書を作成していたことが明らかになった。リストの存在は沖縄の地元紙が16年に報道。政府はリスト作成の指示を否定する答弁書を閣議決定したが、会社側が記録した内容と政府答弁は食い違いを見せている。

 この警備会社は「ライジングサンセキュリティーサービス」(東京都渋谷区)。辺野古沖で移設反対の抗議活動をする市民らが、立ち入り禁止の海域へ侵入しないよう監視するなどの業務を担っていた。

 毎日新聞は、当時の現場責任者だった幹部社員名で同社代表取締役宛ての複数の「報告書」を入手した。16年5月15日付の文書には15年2月ごろ、当時の沖縄防衛局調達部次長(文書では実名)から「『反対運動を継続的に行っている人及び船舶の傾向を把握し、より安全な作業を実施してゆくために、反対派リストのようなものを作り監視してほしい』旨の依頼があり作成した」と記載されている。

 「反対派リスト」には抗議活動する市民ら60人分が顔写真付きで一覧表になっているほか、特定の市民について年齢や経歴などの情報が記された資料もある。

 文書の日付の前日にあたる16年5月14日、「沖縄タイムス」が「辺野古沖の海上警備で、警備員が新基地建設に抗議する市民の名前を特定し、行動を記録していることが分かった」と顔写真付きのリストの存在を報じた。報道を受け、現場責任者らが同日中に沖縄防衛局を訪れ、リスト作成の経緯を同局幹部らに説明。関係者は毎日新聞に「現場責任者は『次長の指示で作成した』と説明していた」と証言した。

 一方、政府は16年8月8日、仲里利信衆院議員(当時)の質問主意書を受け、「『市民の写真撮影や氏名・顔写真のリスト作成、個人情報の収集、政府への報告』を政府として指示した事実はない」との答弁書を閣議決定している。【松浦吉剛】

防衛省は指示否定
 ライジング社の幹部社員は毎日新聞の取材に、報告書の内容について「書いたかもしれません」と語り、沖縄防衛局調達部次長からの「依頼」については「(反対派の行動の)傾向をつかみなさいという指示だった」と説明した。

 一方、防衛省は「リスト作成を指示した事実はありません」とコメントした。

普天間移設問題
 1995年の米兵による少女暴行事件をきっかけに、日米両政府は96年、沖縄県宜野湾市の市街地にある米軍普天間飛行場の返還に合意。日本政府は99年に名護市辺野古への移設を閣議決定し、沿岸部に滑走路を建設する計画を進めるが、移設に反対する沖縄県との対立が続いている。政府は昨年12月に埋め立て用土砂の投入を開始。一方、移設の賛否を問う県民投票が2月24日に実施される。

写真、職歴、家族、出身校・・・ 辺野古反対派市民の情報ズラリ - 毎日新聞(毎日新聞2019年1月28日 03時00分(最終更新 1月28日 09時15分))

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、防衛省沖縄防衛局から委託され海上警備を担っていた警備会社が、移設に反対する市民ら60人を顔写真付きで一覧表にしていた。毎日新聞は「反対派リスト」を入手。家族の名前や所属政党を記されていた人もいて、プライバシーの侵害を指摘する声も出ている。リスト作成の経緯を文書にまとめた幹部社員は防衛局への提供は否定するものの、あいまいな説明を繰り返した。【松浦吉剛、山崎征克】

リストは警備艇に備え付け
 反対派リストは、2014年8月~17年11月に海上警備業務を担当していた「ライジングサンセキュリティーサービス」(東京都渋谷区)の社員らが作成。市民らが船上で抗議活動している様子を撮影し、顔写真を2枚1組にして60人分を一覧表にしていた。

 関係者によると、リストは警備艇に備え付けられていた。顔写真には通し番号が振られてフルネームが記載。氏名を特定できなかった人物については「白髭(ひげ)のもじゃ」「ぱっとしない」「クバ笠(がさ)」など独自の呼称を記しているケースもあった。

 このリストに加え、特定の市民らについては顔写真付きで経歴などを記載した資料も作成され、ライジング社の社員らが出入りする辺野古の現地事務所に保管されていたという。毎日新聞が入手した資料には、ある名護市内の女性については年齢や職業のほか、所属政党名、出身校なども記されていた。手や足を負傷しているとの情報を書かれていた女性もいた。

 沖縄タイムスが16年5月14日に反対派リストを報じて以降、ライジング社はリストを廃棄したと説明している。報道を受け沖縄4区選出の仲里利信衆院議員(当時)は「プライバシーの侵害や違法性があると思われる」と指摘。質問主意書で政府に見解をただしたが、政府は同年8月8日に「『リスト』を保有しておらず、お答えすることは困難」との答弁書を閣議決定した。

 辺野古の海上警備業務は、普天間飛行場の辺野古移設に関連し、沖縄防衛局が14年6月に桟橋などの仮設工事を発注した際の契約内容に含まれていた。工事を受注した大成建設はライジング社に警備を委託。15年7月以降は同社が防衛局から直接請け負っていた。

 リスト作成について、沖縄防衛局の指示や依頼はなかったのか。14年7月~16年6月に局長を務めていた希望の党の井上一徳衆院議員は「やっていないと思う」と語った。

「書いたかも」幹部社員
 辺野古沖の海上警備の現場責任者を務め、リスト作成の経緯を記した報告書を作成したとされるライジング社の幹部社員は今月下旬、大阪市内で毎日新聞の取材に応じた。

 「ふーん、どうでしょうね。何が聞きたいんですか」。記者が報告書を示すと、幹部社員は書面を見つめて1分ほど沈黙した後、口を開いた。質問を重ねると「書いたかもしれませんね。こんな内容あったかもしれませんね」「(代表取締役に)出したかもしれませんね」と語った。

 当時の沖縄防衛局側から反対派リストの作成を依頼されたという記載について問うと、「本当に記憶が分からないんだけど。指示と言うか、どうだろう……」と言葉に詰まることも。「その(リスト作成の)指示ではなくて『(反対派の行動を)把握しなさい』なんですよ。反対する船長を把握しておけば(動向が)分かるよねって意味で」と説明。「結果的にリストになりますよね」と付け加え、沖縄防衛局には提供していないと繰り返した。

 60人分の一覧表の作成は認める一方で、個人情報が詳細に書かれた資料は「見た記憶がない」と述べ、「(従業員が)自発的に作った可能性は否定できない」と語った。

 リストの存在を沖縄タイムスが報じた直後、経緯を説明するため沖縄防衛局を訪ねたかを問うと、「覚えていない。毎日のように、この時期会議があったから」。質問には「かもしれない」というフレーズを何度も繰り返し、記憶が薄れていることをにじませた。

 その一方で、「調達部次長の指示でリストを作成した」と幹部社員が説明したとの証言があることを伝えると、「ない。はっきりと。そこは言っていないと思う」と否定した。

 幹部社員への取材後、改めてリスト作成の経緯を同社に質問したところ、「公表されている情報を基に警備会社として取りまとめた」とし、「リストを沖縄防衛局へ提供した事実はありません」と文書で回答があった。

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2019/01/20

日本学生支援機構の奨学金の保証人になっている人→機構から返済を求められたらまず「分別の利益」を主張しろという話。

学生支援機構、奨学金の不当回収認める 保証人に返金へ:朝日新聞デジタル(諸永裕司、大津智義 2019年1月19日09時17分)

 奨学金の返還をめぐり、日本学生支援機構が保証人に半額の支払い義務しかないことを伝えずに全額を求めてきた問題で、機構は取材に対し、その後に取った対応の中で、過大請求によって一部の保証人から不当な回収をしていたと明らかにした。機構は「法解釈を誤った」と認め、保証人に謝罪したうえで、取りすぎた分を返金するという。

 朝日新聞は昨年11月、機構が過去8年間に延べ825人の保証人に、全額の支払いを求めたと報じた。これを受けて機構は、半額しか支払い義務がないとする「分別の利益」を保証人が主張した場合、返還を終えた人や裁判で返還計画が確定した人は減額しない一方で、機構と協議して返還中の人らには応じる方針を示した。ただ、減額するのは主張時の「残金の半分」とした。

 この点について、朝日新聞は、一昨年の民法改正に携わった法制審議会(民法部会)で委員や幹事を務めた法学者18人に意見を求めた。取材に応じた10人のうち9人が「法的に誤りで過大請求になる」と答えた。

 松岡久和・立命館大教授は「借りた本人が返せない場合、機構は残りの全額を払うよう保証人に求めることはできる。だが、保証人の支払い義務はその半額を超えず、分別の利益をいつ主張するかによって変わるものではない」。野村豊弘・学習院大名誉教授は「機構にとって都合のよい解釈ではないか」と述べた。

 一方、「分別の利益については定説がない。当初、機構が考えたように解釈できる可能性もある」とする学者も1人いた。

 朝日新聞が法学者の見解を機構に伝え、説明を求めたところ、機構は誤りだったと認めた。

 機構によると、奨学金を借りた本人の未返還額の半額を超えて返している保証人が、主張後に支払った分を返金する。過大請求や不当回収をした保証人の数や金額は精査中で、利息をつけるかも検討している。ただし、半額を超えていても、主張前の分は「弁済は有効で債務は消滅している」として返金しない。

 機構の大谷圭介理事は「弁護士と相談して対応を決めたが、法解釈が不適切で不当な回収だった。今後、分別の利益の主張があれば、本人の未返還額の半額しか求めないよう改める」と話した。一方で、「分別の利益は保証人から主張すべきだ」とする見解は変えず、機構から積極的に伝える考えはないという。

 山野目章夫・早大法科大学院教授(民法)は「保証人に分別の利益を知らせずに全額払いを求めていたことが判明した後に、誤った法解釈で『不当利得』を得ていた事実は重い。奨学金事業への信頼を損ないかねない」と話す。(諸永裕司、大津智義)

     ◇

 〈分別の利益〉 民法では、連帯保証人も含めた複数の保証人がいる場合、各保証人は等しい割合で義務を負う。国の奨学金の人的保証(父か母が連帯保証人、4親等以内の親族1人が保証人)では、保証人の義務は半分になり、残りは本人や連帯保証人が負う。現在の奨学金の返還者は約426万人で、3カ月以上の延滞者は約16万人。

素人には理屈がわかりにくいので、この記事は丁寧に読む方がいい。
記事の付図:「分別の利益と不当回収」が分かりやすいので、内容をまとめる。
→100万円貸与され、本人が20万円を返済したとする。すると残金は80万円。
ここで連帯保証人が全く返済しなかったとする。すると、機構は残金の全額80万円を保証人(自分)に請求する。
この請求に応じて自分(保証人)が60万円を支払い、その時点で「分別の利益」を機構に主張すると、機構は残りの20万円のうち、半額の10万円だけを負けてくれる、という話。

つまり、「分別の利益」を主張すれば、保証人はその時点以降の残債については半額にできる、ということ。
機構は、「分別の利益」の主張前に支払った分は丸取りして返金しないと主張しているらしい。

この理屈に従えば、日本学生支援機構から保証人に「支払え」と連絡が来たら、即座に「分別の利益」を主張するのが一番良いということになる。(それでも半額は背負うことになるけれど……)。

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2018/10/05

「ネット右翼」に関する大規模調査

ネット右翼検証、新たな存在も 東北大准教授ら、8万人アンケート:朝日新聞デジタル(2018年10月5日05時00分)

 「ネット右翼」とはどのような人たちで、どのくらいいるのか。その実像に迫ろうと、8万人規模の大規模調査が行われた。これまで語られてきたネット右翼像とは異なる新しい排外主義者の存在が浮上したほか、所得や雇用形態が影響するという従来の見立てを覆す傾向も浮かび上がった。

 東北大の永吉希久子准教授(社会意ログイン前の続き識論)らのグループが、昨年12月にネット調査会社を通じて20~79歳の東京都市圏に住む約7万7千人にアンケートをした。中韓への否定的態度や保守的政治志向の度合い、ネットの利用状況、伝統的家族観などを質問。確たるネット右翼像がなかったことから、永吉さんは実証的な検証を試みた。

 調査によると、ネット上で排外的な言動を行う人のうち「政治家の靖国神社参拝に賛成」「憲法9条改正に賛成」など政治的な保守思想を持つ人が全体の1・7%を占めた一方、保守思想を全く持たない層が3・0%いた。永吉さんは、前者をネット右翼、後者を「オンライン排外主義者」と分類した。

 両者には、伝統的な家族観が強く、ネット上で政治的議論をする共通点はあるが、ネット右翼には自分たちの声が政治に届いている実感がある一方、オンライン排外主義者には「国民」の声が届いていないとの不信感が強かった。両者ともネットで情報を集めるが、ネット右翼が活字媒体を活用するのに対し、オンライン排外主義者は口コミを重視する傾向も出た。

 「ネット右翼のように安全保障や憲法、歴史認識についてまとまった思想を持つにはある程度の勉強が必要だが、嫌中嫌韓などの排外思想だけならば気軽に流布できる一面があるため、オンライン排外主義者は今後広がりを見せるのではないか」と永吉さんはみる。

 また、ネット右翼やオンライン排外主義者には、経営者や自営業者が多い傾向が見られ、必ずしも低所得層や雇用不安定層には限らないことも浮かび上がった。婚姻状態や相談相手の有無による影響もなかった。

 (河村能宏)

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