文部科学副大臣を務めた人。
2016年に話題になった国会での般若心経演説。与党がカジノ法案の強行採決に踏み切った委員会で、自民党の谷川弥一議員は「心を耕す仕事」の大切さを訴えた。
40歳から3年間「禅の勉強」を積み、般若心経を学び、文部官僚に夏目漱石の勉強会を呼びかけるぐらいに夏目漱石や種田山頭火に親しんできた谷川議員。
2019年にはまた別の発言で再び話題になった。
九州新幹線長崎ルートで長崎県が主張するフル企画案に反対している佐賀県知事に対して、
「台湾のような付き合いをしてほしい。韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ」
と言ったという。
禅を学び、般若心経をそらんじ、夏目漱石や種田山頭火に親しみ、「文学であり、彫刻であり、陶芸であり、三味線であり、それから宗教」による「心を耕す仕事」を77歳まで続けると、こんな発言ができるようになるのだろうか。
あるいは凡人には計り知れない宇宙の深奥を究める真理が述べられているのかもしれないな。
もっとも、発言後に谷川議員は不適切な発言として修正したいと述べてたそうだ。やはり心を耕し続けた才人の言葉は凡人には難しすぎたということだろう。
谷川議員「韓国か北を相手にした気分」佐賀知事に : 政治 : 読売新聞オンライン(2019/05/19 09:24)
自民党の谷川弥一衆院議員(77)(長崎3区)は18日、長崎県諫早市で建設中の九州新幹線長崎(西九州)ルートを視察した際のあいさつで、「難しい問題は佐賀の説得。佐賀の知事には『台湾のような付き合いをしてほしい。韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ』と言った」と発言した。報道陣から真意を問われた谷川氏は不適切だったとして、「修正したい」と述べた。
谷川氏は、新鳥栖―武雄温泉間(約50キロ)の整備方式を議論する与党の検討委員会のメンバー。検討委はこの区間について、鹿児島ルートと同じ「フル規格」か、在来線を活用する「ミニ新幹線」の2案に絞って検討しているが、佐賀県の山口祥義(よしのり)知事は、多額の財政負担などを理由に両案とも反対している。
谷川氏ら国会議員3人はこの日、工事の進捗状況を確認するために現場を訪れた。あいさつは、同行した長崎県の中村法道知事ら地元の首長、工事関係者ら向けだった。
山口知事は4月に東京都で開かれた検討委の会合に出席した。関係者によると、この会合で谷川氏は「日韓のような関係ではなく、日台のような関係であってほしい」と発言したという。谷川氏は検討委での発言について報道陣に「韓国とは言ったかもしれないが、はっきり覚えていない」と述べた。
山口知事は読売新聞の取材に対し、谷川氏の発言について「真摯に佐賀県と向かい合ってほしい。冷静な議論が必要だ」と語った。
「佐賀、北朝鮮のよう」自民・谷川議員が長崎新幹線めぐり発言 - 毎日新聞(2019年5月19日 18時45分(最終更新 5月19日 19時44分))
自民党の谷川弥一衆院議員(77)=長崎3区=が18日、長崎県諫早市で建設中の九州新幹線長崎ルートを視察した際のあいさつで「難しい問題は佐賀の説得。佐賀の知事には『台湾のような付き合いをしてほしい。韓国か北朝鮮を相手にしているような気分だ』と言った」と発言した。谷川氏は「不適切だった」として撤回したが、佐賀県の反発は必至で、新幹線の財源負担をめぐる両県の対立がさらに激化しそうだ。
九州新幹線長崎ルートの新鳥栖―武雄温泉の整備方式を検討する与党は、JR九州や長崎県が要望するフル規格を前提に議論しており、2020年度に環境影響評価(アセスメント)に着手し、23年度末ごろの着工を目指している。国の試算では、フル規格の建設費は約6200億円で、佐賀県の実質負担は約660億円と見込まれている。
これに対し、佐賀県の山口祥義知事は4月26日の与党検討委員会で「新幹線整備を求めていない」と述べ、建設に反対する意向を示した。同席していた谷川氏は「これから財源論に入ろうというときに、取り付く島がないようでは困る」として、考え直すよう山口知事を説得し、あいさつで紹介した発言をしたという。谷川氏は19日、毎日新聞の取材に「知事には韓国と言ったが、北朝鮮とは言っていない。18日のあいさつで北朝鮮と言ったのは言葉が走ってしまった」と述べた。【大場伸也、浅野翔太郎】
ところで、自民党ではフル規格がもう前提になっているそうだ。佐賀県知事の山口祥義氏は2018年には自公の推薦を受けて再選しているのだが、どうするのだろうか。
カジノ審議中、「般若心経」唱え時間消費 自民・谷川氏:朝日新聞デジタル(2016年12月5日20時15分)
自民党がわずか5時間33分の審議時間で衆院内閣委員会で採決を強行したカジノ解禁法案の質疑では、推進派である自民党の谷川弥一・元文部科学副大臣(長崎3区)が「(質問)時間が余っている」と言って、法案の内容とは直接関係のない般若心経を唱えて解説し、自分の持ち時間を費やす場面があった。
谷川氏は法案が審議入りした11月30日の衆院内閣委員会で、40分間の質問時間をもらって最初に質問に立った。最初はカジノ合法化の理由をただしていたが、28分が過ぎた時点で「一応質問が終わったのですが、あまりにも時間が余っているので」と前置きし、「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時……」と般若心経を唱え、「『般若波羅蜜多』は『般若』は知恵、『蜜多』は行く、『波羅』が彼岸、『幸せになるための道』ということなんです。『どうしたら幸せになるの?』といったら『無念無想で生き抜け』ということなんです」などとしゃべり続けた。
それでも時間が余った谷川氏は、自身が愛読しているという夏目漱石の作品の紹介を開始。「やっぱり心を耕す仕事を考えないといかん。心を耕す仕事は何だといったら、文学であり、彫刻であり、陶芸であり、三味線であり、宗教なんです」などと語った。(南彰)
国会会議録検索システム 平成28年11月30日衆議院内閣委員会
○谷川(弥)委員 一応質問は終わったんですが、余りにも時間が余っているので、地元のことを一点。これは、答えにくかったら答えてもらわなくても結構です。そして、最後に私見を述べて終わります。
地元のことですが、私の地元長崎県は、恥ずかしいことですが、五年間で約五万人人口が減っております。その最大の理由は水産業なんです。東シナ海という大変いい漁場を持って、私の出身の五島列島を中心に、以西底びきとかまき網がどんどん出て大変な経済的効果があったんですが、今から言う理由によってもうがたがたになっております。
一つは、中国が、川魚を主としたのが海の魚に移ってきて、東シナ海に約二万隻出ております。日本は八百しか出ておりません。そのことによって、以西底びきはほぼ壊滅状態になっております。まき網もほとんどそれに近い。もう一つは、温暖化によって、すむ魚が、地域が違った、西の魚が山陰沖に行き、山陰が青森の沖あたりに移っていっている。三番目が、消費者の魚離れによって、お肉をパックでぱっと買っていく。四番目が、冷凍技術の進歩によって、ノルウェーの魚が、瞬間冷凍して日本に持ってきて解凍したら、すぐその辺の魚と同じような状況になってきた。つまり、産地の優位性が崩れているんです。
この四つは、どれも簡単に解決できません。できないと思います。そうすると、水産の復興というのは、まず養殖を確立させぬ限りあり得ないかな、こう思っているんですね。
もう一つは、これは歴史の宿命ですが、造船業が韓国、中国にほとんど移って、主産業の造船業は長崎はもう思うに任せません。
とすると、何でやるのという話になるんですよ。私は、口を酸っぱくして観光をやれと言っているんですが、なかなか思うとおりやってくれません。これを言うと個人攻撃になるので、中身は言いません。非常に、私は経営感覚は人並み以上にすぐれていると思っているので、これをやれ、あれをやれ、これをやれると言うんですが、一つも実行してくれない。
そういう中で、このIRというのはすごいなと思っているので、ひとり言ですが、所見があったら教えてください。
○細田(博)議員 谷川議員の御出身の五島列島を初め、厳しい環境と過疎、高齢化が進んでいるということをよく承知しております。議員が主導権を持って国境離島の振興、保全に関する法律を成立させたことも一つ大きな業績でございますが、やはり、それぞれの産業がそれぞれの問題を抱えておりますから、観光振興というのも、そして、津々浦々に日本国民も外国人も来てもらって、文化遺産を見てもらったり楽しく旅をしてもらうということも非常に大事な要素になっております。六千万人と一口に言いますけれども、さまざまな工夫を凝らす、これは非常に大切な地域振興につながると思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
○谷川(弥)委員 全部時間を使おうとは思っていませんが、私見ですが、一番の心配はやはり、批判する人も言っているとおり、負の部分ですね、この法律による負の部分。
それで、提案ですけれども、これは私見ですよ、人間の本能というのは苦しいことは避けて楽を求める、これは僕は本能だと思うんです。そうすると、いい結果が出ないので、悪い結果に対して、人のせいにして言いわけをする。これを私は保守本能、美化本能と言っているんですけれども、これに対抗するのは実は五つありますよ、五つ。
一つは、人生に壮大な目標を持つこと。これは私見ですからどこにも書いていませんよ、私が勝手に言っているだけですから。二つは、このままほっておいたらどうなるかな。例えば、日本はどんどんどんどん借金を重ねていっていますが、このままほっておいたらどうなるのかなといって、将来に対する危機感を持ってそれに構える。三つ目は、あいつには負けたくないよという負けん気を持つ。四つ目が、恥ずかしいんですけれども、愛ですよ、愛。家族を守る。女房、子供を守るために命がけで働く。自分のことは自分でやる。五つが宗教なんです。
宗教については、日本の社会は触れたがりません、憲法違反とかいって。しかし、我々の先祖はもともと、一週間に一回ぐらいお寺に行ったり教会に行ったりしておったんです。何でやれないのかなと思っているんですけれども、現実はやれない。
例えば、宗教について一つ触れると、私は禅宗なので、禅の勉強を四十の記念に三年やったんですが、般若心経というのがあるんです。「観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄」というんですが、その根底にあるのは、般若波羅蜜多というのは、般若は知恵なんです。蜜多というのは行くなんです。波羅が彼岸。幸せになるための道ということなんですよ。どうしたら幸せになるのといったら、無念無想で生き抜けと言うんですよ。言いわけするなと言うんですよ。七十五分の一秒単位でうわっと行けと言うんですよ。行けますかね。あなたはがんで死にますよと言われて、さて、無心になれるのかなと、私は自問自答するんですが、それはできないと思いますよ。できないでも、泣きながら、はいずり回ってでも、一日でも生きようとする、これが実は般若なんです。
こんなことを徹底してやっていかないと、解決できない部分が出てきますよ、このIR法案には。やってほしい、けれども負の部分もあるよということをよくよくお考えいただいて、もう一回、宗教については見直せないのかな。自分の宗教でいいじゃないですか、全否定するんじゃなくて。どれをやれと言ったら問題だけれども、自分の宗教なら徹底してやるよということを議員それぞれ考える時期に来ているんじゃないかな。膨大な借金、人のせいにする、平気で人の金を使う、それを何とも思わない。当たり前だとして推奨する新聞もあります。政党もあります。そういうことを、僕は、ここでぜひ立ちどまって考えていただきたい。これがIR法案の負の部分に対する私の心構えなんです。
もう一つ、ぜひお願いしたい。
私は、文部副大臣のときに、夏目漱石を読んだことのある人は俺と語ろうよ、来いよと言って手を挙げさせたけれども、誰も来ませんでした。へえ、最近の文部省というのは漱石も読んでいないのかよと思ったんですが、私は、猫と草枕については全部、何ページの何行目から何行目は、これはいけるぞ、これはこの法律について書いているよというのをずっと書いて持っているんですけれども、私は実は漱石が好きなんです。全巻、十二回ぐらい読みました。
そういうことの中で、例えば、「まつすぐな道でさみしい」とか、「日ざかりのお地蔵さまの顔がにこにこ」とか、「しぐるゝや人のなさけに涙ぐむ」とか、全部山頭火なんですが、こういう部分をもうちょっと見直していただきたい、教育面で。
そういうことをもう一遍、人の心を、例えばAIが普及したら四九%失業する、どうするんですか。やはり心を耕す仕事をもう一遍我々は考えんといかぬ。
そうすると、心を耕す仕事というのは何だというと、文学であり、彫刻であり、陶芸であり、三味線であり、それから宗教なんですよ。そういうことを構えていかないと、このIR法案の負の部分についての抜本的な解決にならぬぞ、そういうことを提案して反対するならいいけれども、何も提案せぬで、負の部分だけ見て反対反対と言うのはいかにも芸がないよ、それを本当は言いたいんです。
もうこれで終わりますから、御所見があったら承っておきたいと思います。
○細田(博)議員 これまでも、公営競技等について、そのお金を使ってさまざまな振興を図っておりますが、このIR、カジノ収益については、おっしゃるような伝統文化の振興と観光の振興、こういったことをもっと深くやる仕組みを考えなければならないということを今考えておりますので、またお知恵を出していただきたいと思います。実現の際にはよろしくお願いします。
○谷川(弥)委員 時間が余りましたが、終わります。ありがとうございました。
参考までに、谷川議員によるこの質疑応答の前半部分も掲げておく。短いが、グローバリズムが到来した世界情勢からカジノの意義を説き、占領軍による日本の伝統文化破壊を告発する演説である。
○谷川(弥)委員 自由民主党の谷川弥一です。
質問に入る前に、ちょっと私見ですが、本日、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案、いわゆるIR法案をようやく内閣委員会で審議を始めることができることに感謝申し上げたいと思います。同時に、御尽力いただいている会長の細田先生、幹事長の岩屋先生、西村先生ほか議連に所属している全議員に敬意を表したいと思います。
さて、冷戦構造が終結し、市場が一つになるグローバリズムが到来したことで世界経済は飛躍的に拡大しましたが、結果として、労働賃金が相対的に安い途上国に労働賃金が高い先進国から資本と技術を持って進出した結果、先進国の工場が閉鎖され、大量の失業者が出、閉鎖しないまでも賃金の上昇のスピードが鈍ったことによって、大変な貧富の格差を及ぼしております。同時に、デジタル革命によって情報通信、金融等が飛躍的に伸び、所得格差がますます広がりました。このことによる国民の二層化が進んだことにより、イギリスがEUから離脱、トランプ大統領の誕生等、大変な時代の激変を迎えております。
国内に目を向けると、少子高齢化により、社会保障制度の維持が難しくなり、市場の縮小によって、個人消費の伸び悩みでなかなか経済がうまく伸びない。アベノミクスで、第一の矢、超金融緩和をしたが、そのことによって必ずしも思ったほどの効果が出ていない。第二については、膨大な借金によって、これも思うに任せない。第三についてのイノベーションですが、これも国立大学の独法化の結果、十二年で千四百五十億も切ったというような大変な状況下にあります。
そういう中で、日本は、インフラの輸出とかいろいろやっているんですが、この観光産業というものをもう少し大々的にやっていき、それは成功しつつありますが、さらに力を入れるためには今回のこの法案は大変有力なる武器になると思っておりますので、そのことを踏まえながら、以下、数点お尋ねいたします。
一つは、特定複合観光施設とは何なのか、なぜカジノを合法化しようとするのか、お尋ねしたいと思います。
○岩屋議員 まず、この審議の場をお与えいただきました秋元委員長を初め委員の先生方に、心からお礼を申し上げたいというふうに思います。
今、谷川先生から、我が国の経済の現況についてのお話もいただきましたが、その中で、一番、今着実に伸びていて、なおかつこれからも確実に伸びていく分野はどこかということを考えますと、それは観光だというふうに私ども考えておりまして、先生がおっしゃっていただいたように、我が国の観光振興に資するためにこの法案を提案させていただいているところでございます。
そこで、先生のお尋ねの特定複合観光施設とは何かということでございますが、推進法案にも明記させていただいておりますように、会議場施設、レクリエーション施設、展示施設、宿泊施設その他の観光の振興に寄与する施設、及び、その施設のごく一部と想定をしておりますが、カジノというゲーミング施設が一体となっている施設を指すものでございます。
なぜそれが必要かということでございますが、例えば、シンガポールは二カ所のIRを設置することによりまして観光を飛躍的に伸ばしているわけでございますが、そのシンガポールのIRの施設の中には、ごく一部にカジノという非常に収益力の高い施設が設けられております。それが加わっていることによって、国際会議場や展示場、単体であれば不採算になるような施設も含めた施設全体が円滑に運営できている、さらに集客力を飛躍的に伸ばしているという事例がございます。
したがって、私どもも、日本のMICEの機能を強化していくためにも、一部にカジノ施設を含むIRというものを認めていく必要があるのではないかと考えているところでございます。
○谷川(弥)委員 次に、カジノを合法化することの社会的な問題やリスクについてどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
○岩屋議員 カジノというのは、言うまでもなくギャンブルでございますので、それが及ぼす社会的な負の影響について十分対策を講じなければいけないというのは、当然のことだと思っております。
例えば、ギャンブル依存症の問題、それから治安がもしかすると悪化するのではないかという懸念、あるいは青少年に悪影響を及ぼすのではないかというような心配、あるいは社会悪、組織悪の関与があるのではないかという懸念、こういったリスクを最小限に抑制する措置を設けることによって、国民の理解、信頼を深めることが必要であるというふうに考えているところでございます。
そのために、今回の法案におきましても、カジノ施設の設置、運営に関しまして、不正行為の防止や有害な影響の排除のための必要な措置を政府に講じなさいということを命じております。また、カジノ施設の設置及び運営に関する秩序維持、安全確保を図る、独立性の高いカジノ管理委員会の設置を予定しているところでございます。これらの厳重かつ適正な規制、監督を行うことを前提にしているところでございます。
○谷川(弥)委員 次に、三点目に、IRの推進、導入にはどのような効果があるのか、お尋ねしたいと思います。
○細田(博)議員 IRの推進、導入にどのような効果があるのかという御質問でございますが、このIRの導入によりまして、国際観光の振興、国際会議機能の強化、文化の振興、魅力ある都市づくり、地域活性化など、幅広い波及効果が期待されております。
具体的には、施設整備に伴う建設需要、直接的、間接的な雇用創出、第三に国内外の観光客の増加による経済効果、第四にカジノ収益による財政改善が期待されるわけであります。また、これらの経済効果は、IR施設の設置区域以外の地域にも広域的に波及するのではないかと考えております。
例えば、シンガポールにおきましては、二〇一〇年に二つのIRが開業したところ、マリーナ・ベイ・サンズの初期投資は約五十七億米ドル、約五千億円弱にも上ります。また、両IRのカジノにおける直接雇用は約二万三千人であり、間接雇用を含めればさらに多くの雇用創出効果があると考えられます。二〇一三年においては、海外旅行者数が導入前の二〇〇九年と比較して六〇%増の千五百五十万人に、また、海外旅行者の消費額が、観光、娯楽、賭博、宿泊、ショッピング、飲食における増加を中心に約九〇%増、二百三十五億シンガポール・ドル、約一・九兆円となっており、これらはIRの導入による影響も大きいと考えられるわけでございます。さらに、二〇一三年のカジノ収入でございますが、導入前と比較して約四一%増の二十四億シンガポール・ドル、二千億円となっております。
厳しい管理のもとで運営されるカジノは、他の施設とも相まって、今やファミリー層のデスティネーション、観光目的地になっているわけでございまして、旅行をされた方は御理解いただけると思いますが、これらの都市は、今や大人から子供まで家族全員が楽しむことができる総合エンターテインメントシティーに変貌したと言えるわけでございます。そのような効果を参考にしながら、大きな効果に期待しております。
○谷川(弥)委員 次に、IR推進の目的の一つに観光振興というのが挙げられていますが、IRは観光振興に本当に役立つのか、お尋ねしたいと思います。
○西村(康)議員 お答えを申し上げます。
今も答弁がありましたけれども、まさにIRは複合的な大型の観光施設ということで、質の高い多様なサービスが提供されるという中で、内外の老若男女を問わず、観光客それからビジネス客をも対象とし、いわゆるギャンブラーを念頭に置いてその人たちを呼び込もうということではありませんので、これは全体として大いに観光振興に役立つものと考えております。
今もお話がありましたけれども、シンガポールではIRの導入前後で観光客が約六割増加をしておりまして、観光立国というものを実現しているというふうに思います。大いに観光振興に寄与するものと思っております。
今もお話がありましたとおり、ファミリー層全体を引きつける施設ということで、いわゆる総合エンターテインメントシティーとして実現していければ、日本の観光にも大いに寄与するものと思っております。
ちなみに、シンガポールのいわゆるアイコニックな外観で有名なIR施設の宿泊施設でありますホテルでありますけれども、その宿泊数のトップは日本人でありまして、その多くはカジノ目的に訪れているわけではないというふうに認識をいたしております。
○谷川(弥)委員 五番目については、私見を述べながら、いかに地域の振興が大事か、何で地域が疲弊するのかということについて触れて、今回はぜひ地域を中心に展開していただきたいというのをお尋ねするんですが、なぜ地域が疲弊するのか。それは、一次産業に対する依存度が高いところほど疲弊していっているんです。それと、情報通信社会というのは必ず大都市に集中する傾向が世界的にあります。例えば、九州でいったら福岡へ、中国地方だったら広島へというふうに、どこもなっていくんですね。
さて、それならどうして地域が疲弊するかという前に、ひとつぜひ原点に返って考えていただきたい。
それは、戦後の日本社会というものの一番の欠点というのは、先輩たちがむちゃくちゃな戦争をした、そのことによって国民に大変な負担をかけた、もう骨身にしみている。だから、また戦争になるよとちょっとささやいたら、そこで全ての思考がとまってしまう。これが僕は全ての諸悪の根源だと思っているんです。ここをどう脱していくか。
現実は、戦わなければ生きていけない。全ての動植物がそうです。人間もそれから逃れることはできません。戦わなかったら生きていけないんです、生き物は。そこをまず原点に置いて物を考えていただかないと困る。そうすると、一次産業はどうやって戦っていくのか。これは難しいですよ。
なぜならば、今はやりというか、盛んに今期待されつつあるAIとかそれからビッグデータとか、そういうのをうまくやっていけば農業も生き返ってくるんですけれども、その間はどうするか、それが完成するまでは。それは、人件費の安いところに負けるのは当たり前なんです、今のやり方では。そうすると、グローバリズムが進むほど一次産業はやられていくというのはもう当たり前なんですね。そこを無視して、農協改革をやろうとしたり、それから合理化が進むからますます地方は疲弊していく。
それなら、何で地方を救っていくのか。これが、僕は日本だけじゃなくて世界的に抜けているんじゃないかなと。思い切って堂々と、生活保護をやるように一次産業生産者の弱い部分は助けていくべきだと僕は思っているんです。それをしきらぬなら、そのかわりに何の産業を持ってくるか。そこをしっかり頭に入れていただいて、ぜひこの件は展開していただきたい。
最後に、余談ですけれども、ヘレン・ミアーズという人が書いた「アメリカの鏡・日本」という本があります。物すごく厚い本です。そこに気になることが二つ書いてあるんです。
一つは、これを書いた人は、昭和二十八年の、労働問題に関係した、占領軍というか、人ですが、ヘレン・ミアーズというんですが、第一、占領の目的は、日本経済をぐちゃぐちゃにたたいてほっておけ、こう書いているんです、本の中に。うそか本当か知りませんよ。その本の中に書いているんです。第二、日本の伝統文化を破壊せよ、こう書いているんですね。
そうすると、日本の伝統文化とは何だというと、家族なんですよ。家族であり、集落であり、神社なんですよ。それをぐちゃぐちゃにされたから、日本人は立っている基盤というのが弱くなっている。こういうこともまず頭に入れていただきたい。どうぞお願いして、質問に入ります。
地域の活性化、地方創生の達成のためにIRを活用すべきだと僕は思っているんですが、いかがですか。
○岩屋議員 ただいま谷川先生の幅広い御識見を御披露いただきました。それにお答えする能力は私にはないわけでございますが、今先生御指摘の、地域活性化、地方創生の達成のためにこそIRを活用すべきだという点につきましては、私ども提出者も全く同じように考えております。
どこにIRを展開すべきかということを我々は議論してきたわけではありませんが、やはり、大都市ばかりではなくて、地方への展開もあってしかるべきではないかと思っています。
今、インバウンドは二千万人に達しましたが、その大半はいわゆるゴールデンルートに集中しております。東京に入って、富士山を見て、大阪へ行って、京都、奈良を見て帰るというのが大半でございますので、こういった海外からのお客様に北海道から九州、沖縄に至るまで幅広く我が国を旅行していただくためにも、地方型のIRというのも私はあってしかるべきではないかと思っています。
人口減少が進んでいる地方において観光業を中心とするサービス業を発展させることが、地方創生あるいは地域活性化につながっていく。我が国には、先生のお地元もそうでありますように、それぞれ独自の文化、伝統を育み、また魅力ある観光資源に富んでいるわけでございまして、IRの推進によりましてこれからますます地方に観光客がふえていくように、またそうしていかなければいけないというふうに私ども考えているところでございます。
○谷川(弥)委員 六番目に、IRを推進するに当たって、最後にもう一回、政府にはお尋ねしますが、国の果たすべき役割は何なのかをお尋ねします。
○岩屋議員 お答え申し上げます。
まずは、新しい取り組みでありますIRのコンセプトを国が明確に打ち出すことによって、地方公共団体や民間事業者の意欲を喚起する必要があるというふうに思っておりまして、そのための第一歩がこの推進法案であると私ども考えております。
今回の推進法案におきましては、国は、国際競争力の高い魅力ある観光地の形成、さらに、観光産業等の国際競争力の強化、三番目に、地方経済の振興のために必要な措置を講ずる、四番目に、地方公共団体のすぐれた構想を反映させるための措置を講ずるというふうにいたしております。
IRの円滑かつ着実な推進に当たりましては、したがって、国がこういった基本方針を、基本指針と言ってもいいと思いますが、これをしっかりと策定するなどしてその方向性を示すということが、国の役割になろうかと思います。
さらに、国は、カジノ施設関係者に対する規制を適切に行う独立の機関といたしましてカジノ管理委員会を設ける、そのカジノ管理委員会によりまして厳しく事業者を規制するとともに、カジノ施設の設置が社会に及ぼす影響等について国民の不安や懸念を払拭するため、カジノ施設における不正行為の防止や有害な影響の排除のための必要な措置を講ずることといたしております。
その具体的な措置の中身につきましては、この推進法案を成立させていただければ、一年以内に政府が実施法案の中でしっかりと規定をするということになるわけでございます。
○谷川(弥)委員 七番目に、入場者についての規制は想定していますか。
例えば、未成年者や生活保護受給者、過去に犯罪歴のある人のカジノへの入場制限をすることは想定しているか、お尋ねいたします。
○西村(康)議員 お答え申し上げます。
まさに大事な視点でございまして、カジノ施設への入場者への規制ということにつきまして、御指摘ありました、青少年の健全な育成、あるいは暴力団等の関与の排除、ギャンブル依存症への対策、こういったために必要ではないかというふうに考えております。
そうした観点から、法案の第十条二項に、「カジノ施設への入場に関し必要な措置を講ずるものとする。」という規定も入れているところでございます。
少なくとも、未成年者がカジノ施設に入場することは禁止をし、入場に当たっては、写真つきの身分証明書等、マイナンバーカードなんかもその一つだと思いますが、年齢確認等を行うことも考えられると思います。また、入場規制として、欠格要件を設けたり罰則を設けたりすることも考えられるわけでありまして、具体的内容につきましては、政府において策定される実施法、この中で規定をされるものというふうに考えております。
ちなみに、ギャンブル依存症対策として、シンガポールでは、自己排除あるいは家族排除プログラム等、つまり、家族が、うちの家族の一員である夫はもう行かせないでくれといったような、そういった申し出によって抑止政策が実施されておりまして、こういった諸外国のさまざまな取り組みも、実施法案の中で今後考える、検討に当たっては参考になるものというふうに考えております。
○谷川(弥)委員 似たような質問ですが、重なっていたら飛ばしてください。
カジノの導入によって社会的問題がいろいろ、例えば依存症とかマネーロンダリング、暴力団、地域の風俗環境、青少年に及ぼす影響等に対する国や地方公共団体の対応として、具体的にどのようなことを考えていらっしゃるか、教えてください。
○西村(康)議員 お答え申し上げます。
御指摘ありました、カジノの導入に際して想定される社会的問題に対する具体的な対策について、政府において一年以内を目途に策定される実施法の中で規定されるものというふうに考えておりますけれども、この法案でも、第十条におきまして幾つかの項目についてしっかりと、必要な措置を講ずるという規定を設けておりまして、例えばチップ等の金銭代替物の適正な利用とか、暴力団員の関与の排除とか、青少年の健全育成とか、ギャンブル依存症対策、こういったことについて必要な措置を講じることにしております。
依存症対策については、先ほども申し上げましたけれども、カウンセリングの枠組みとかあるいは治療等の体制整備、事業者における配慮義務、あるいは教育、こういったものについて、実態を把握しながらしっかりと政府において対応していくことを求めたいというふうに思っております。
一方、地方公共団体は、このIR区域及びその周辺環境の健全化、安全化、こういったこと、あるいは、カジノが社会、その地域に与える問題やリスクを最小限に抑制していくために取り組んでいくということが期待をされるというふうに思います。
いずれにしましても、政府が策定をする実施法案の中でしっかりと規定をしてもらいたいというふうに思っております。
○谷川(弥)委員 日本でギャンブル依存症の疑いがある成人は約五百三十六万、その人口に対して四・八%という厚生労働省の研究班の調査結果がありますが、カジノを合法化してIRを推進することによりギャンブル依存症が増加する懸念があるのではないかと心配されますが、対応策についてお尋ねいたします。
○西村(康)議員 御指摘のギャンブル依存症対策というのは、物すごく大事な点だというふうに思っております。ぜひ、こうしたギャンブル依存症を含めて社会的な考えられる問題、これをしっかりと排除して、最小限に抑制していくということが最重要の課題というふうに考えております。
ギャンブル依存症については、公営競技等において既に存在する問題であるというふうに認識をしております。
国においても、厚労省において現状について調査研究を行って、毎年一定の対策を講じてきているものというふうに承知をしております。
二十八年度も、本年度末までを対象として依存症に対する調査を行っておりまして、こうしたものを踏まえてしっかりと対応していくことが必要だというふうに考えております。
先ほど申し上げました諸外国の例とか最新の知見、こういったものを踏まえて、ギャンブル依存症の減少、シンガポールなんかでは減少をさせていますので、こういったことを参考にしながら、ぜひ万全の対策を講じてもらいたいというふうに思っております。
あわせて、効果的にこの依存症対策を推進するために、地方公共団体、あるいはNPO、NGO、こういったところとも連携をとりながら、細やかな対策を講じていくことが大事だというふうに思っております。
シンガポールの例で申し上げると、一・二%から〇・二%に下がったりしておりますので、そういった取り組みを参考にしてぜひ取り組んでもらいたいというふうに思っております。
○谷川(弥)委員 質問の最後に、政府にお尋ねしますが、本法案第五条において、政府は、本法案で定める基本方針に基づいて、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、そのために必要な法制上の措置について、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならないとしているが、本法案が成立した場合、政府は今後どのような法整備を進めていくおつもりか、お尋ねいたします。
○中川政府参考人 お答え申し上げます。
議員立法でありますこのIR推進法案第五条におきまして、政府は、特定複合観光施設区域の推進に必要な法整備の措置につきましては、推進法案の施行後一年以内を目途として講じなければならないとされていることは承知しております。
このため、この推進法案が施行されました場合には、既にここの場でも御議論をいただきましたように、カジノ施設関係者に対するカジノ規制ですとか、あるいは入場規制などについての海外の先進的な事例なども参考にしつつ、この推進法案等に関する国会の場での御議論ですとか、あるいは国民的な議論を踏まえ、国民の納得を得ながら検討を進めていくことになるというふうに承知しております。
ちなみに谷川議員の発言は全部で5764文字。内訳を簡単に出すと、
般若心経と心を耕す教育について 1807文字、31%。
長崎県の水産業と造船業の話 824文字、14%。
占領軍が日本の伝統文化を破壊した話 376文字 7%。
敗戦経験から戦いを忌避したが一次産業の弱点を助けるべきという話 684文字、12%。
グローバル化する世界とアベノミクスが効かない日本という話 495文字、9%。
合計で73%。
今更だけど、質問の部分だけを抽出する方が早かった。
一つは、特定複合観光施設とは何なのか、なぜカジノを合法化しようとするのか、お尋ねしたいと思います。
次に、カジノを合法化することの社会的な問題やリスクについてどのようにお考えなのか、お尋ねいたします。
次に、三点目に、IRの推進、導入にはどのような効果があるのか、お尋ねしたいと思います。
次に、IR推進の目的の一つに観光振興というのが挙げられていますが、IRは観光振興に本当に役立つのか、お尋ねしたいと思います。
地域の活性化、地方創生の達成のためにIRを活用すべきだと僕は思っているんですが、いかがですか。
六番目に、IRを推進するに当たって、最後にもう一回、政府にはお尋ねしますが、国の果たすべき役割は何なのかをお尋ねします。
七番目に、入場者についての規制は想定していますか。
例えば、未成年者や生活保護受給者、過去に犯罪歴のある人のカジノへの入場制限をすることは想定しているか、お尋ねいたします。
似たような質問ですが、重なっていたら飛ばしてください。
カジノの導入によって社会的問題がいろいろ、例えば依存症とかマネーロンダリング、暴力団、地域の風俗環境、青少年に及ぼす影響等に対する国や地方公共団体の対応として、具体的にどのようなことを考えていらっしゃるか、教えてください。
日本でギャンブル依存症の疑いがある成人は約五百三十六万、その人口に対して四・八%という厚生労働省の研究班の調査結果がありますが、カジノを合法化してIRを推進することによりギャンブル依存症が増加する懸念があるのではないかと心配されますが、対応策についてお尋ねいたします。
質問の最後に、政府にお尋ねしますが、本法案第五条において、政府は、本法案で定める基本方針に基づいて、特定複合観光施設区域の整備の推進を行うものとし、そのために必要な法制上の措置について、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならないとしているが、本法案が成立した場合、政府は今後どのような法整備を進めていくおつもりか、お尋ねいたします。
谷川議員、自分でこの質問項目考えたのかなあ。誰かが作ってくれたメモを読んだだけだったりして。