カテゴリー「日記・コラム・つぶやき」の890件の記事

2019/04/12

例外規定を最大限活用して支出実態を隠す人と、その追及に及び腰の監督官庁という話。

2017年の記事。

鈴木俊一五輪相に架空計上疑惑か 政治資金1658万円に領収書がない? - ライブドアニュース(2017.08.18 07:00 週刊ポスト)

【魚拓】鈴木俊一五輪相に架空計上疑惑か 政治資金1658万円に領収書がない? - ライブドアニュース(2017年8月18日 7時0分)

 内閣改造でオリンピック・パラリンピック担当大臣に就任した鈴木俊一氏(64)。父は鈴木善幸元首相、姉は麻生太郎・財務相兼副総理の妻という名門政治家一族の“サラブレッド”だが、早々に出てきたのは金にまつわる問題だった。

 鈴木氏が代表を務める資金管理団体「清鈴会」が、3年間で1412万円ものガソリン代を計上していたことを、『週刊新潮』(8月9日発売)が「3年で地球33.8周分」と報じた。ただ、問題はそれだけに止まらなかった。

◆例外規定の「徴難」で1658万円也

「清鈴会」の政治資金収支報告書を仔細に検証すると奇妙な記載に突き当たる。支出の備考欄に記された「徴難(ちょうなん)」の2文字だ。

 徴難とは、収支報告書を提出する際に、「領収書等を徴し難かった支出」を指す。領収書を添付できなかった場合に、「領収書等を徴し難かった事情」、支出の目的、金額、年月日を記載した明細書、もしくは金融機関が作成した振込明細書と「支出目的書」を提出する。

「個人や法人の税務申告に置き換えると、税務調査があった場合、帳簿に支出とあっても、支払った相手が金額を証明している領収書がなければ原則認められません。政治資金における『徴難』のように支出の目的などを自ら記入して済ませる申告方法は、あくまで例外的なものに限られます」(税理士の浦野広明・立正大学客員教授)

 ところが、清鈴会の場合、2015年の「ガソリン代」91万1004円(21回の支出)をはじめ、「郵便代」「労務費」「家賃」などで「徴難」が乱発されている。閲覧可能な過去3年分の報告書を見ると、2013年は495万2069円、2014年は563万5322円、2015年は599万6979円と増え続け、3年間で「徴難」は228件、総額1658万円に及ぶ。そのすべてに領収書がないのである。

 他の閣僚で「徴難」の記載があるのは、松山政司・一億総活躍担当相だけで、「事務用品費」などで2013年(3件)と2015年(4件)にそれぞれ5万円程度だ。鈴木氏の団体が突出して多い。政治資金問題に詳しい日本大学の岩井奉信教授は「非常に不自然」とする。

「国会議員関係の政治団体は1円の支出でも原則、領収書の保存が必要で、使途不明金がないことを政治家自らが明らかにするよう制度設計されています。例外的に徴難が認められている趣旨は、在来線や路線バスの運賃のように慣習上領収書を求めないケースが限定的に存在するからです。領収書が発行される郵便代やガソリン代などに適用することは想定されていない」

 にもかかわらず、清鈴会で「徴難」が最も頻出するのは「郵便代」だ。2015年は290万7202円分(24件)にのぼる。

◆「領収書は全て渡しています」

「徴難」の支払先を取材していくと、より奇妙な実態が浮かび上がる。

「郵便代」の支出先である日本郵便は「全ての支払いに領収証をお渡ししている。仮に料金後納や口座振替だったとしても、郵送で通知を送っている。領収証をお渡しできないということはない」(広報室)と説明する。

 また、2015年1月23日に盛岡市内にあるレンタカー店に支払われた「レンタカー代」9万1808円にも「徴難」の記載があるが、同店舗を取材すると、「基本的に領収書は発行しているし、(支払いの)確認ができれば再発行にも応じる」という。

 さらに清鈴会の収支報告書では、2014年4月3日に「役員会会場費」として宮古市内のホテルに4万8000円を支払ったが、これも「徴難」と記載されている。2013年と2015年に同じホテルに「会場費」を計上した際の収支報告書には「徴難」はなく、領収書があるものとして処理されている。同ホテルの営業部長が困惑気味に回答した。

「台帳を確認しましたが、その日(2014年4月3日)に予約は入っていません。ご利用いただいた場合は、領収書を出すはずですが……」

 ホテルを利用した記録もなく、領収書もないとなれば、架空の経費計上である疑いすら出てくる。

 鈴木事務所に問うと、「4月3日は支払日の記載であり、会議の日を記載したものではない」と回答。収支報告書の「徴難」についてはこう回答する。

「振込で払ったものについて、振込書では支出の目的が書かれていないため、選管からの指導に基づいて『徴難』処理としている。支出を裏付ける振込書はあり、いずれも政治活動の支出として払ったもの」

 本誌・週刊ポストの取材で、支払先が「領収書を発行しないケースはない」と答えていることについて同事務所は、「振込で払ったものには領収書は出せないといわれた。選管の指導に基づき処理した」と説明した。前出・岩井氏はいう。

「不審な点があれば税務調査を受ける個人、法人と違って政治資金管理団体への監査は甘く、突っ込んだ調査はされない。だからこそ支払った相手先に支出の金額を証明させる領収書の添付が義務づけられているわけですが、『徴難』の乱発はその趣旨にそぐわない」

 鈴木事務所は取材に「今回、一部、『徴難』とすべきところに記載漏れがあったことが確認されたので、選管とも相談して必要な対応をしていく」とも答えた。領収書がないのに「徴難」の記載がなくても、収支報告書が監査を通ってしまう実態もあったということだ。

 なぜ、このような処理が認められるのか。所管する総務省は、「一般論として『徴難』にあたるのは社会通念上、客観的に領収書の発行が困難なケースです。ただ該当するかは政治団体の会計責任者に適切に判断していただく」(収支公開室)と説明するのみ。

 鈴木氏のように領収書が得られたはずの支出を「徴難」と処理しても、「総務省や都道府県選管は提出されたものを受け取るとしかいえない」(同前)というのだ。少なくとも一般の国民が「領収書なし」で経費申告すれば、税務署に突き返される可能性は限りなく高い。

※週刊ポスト2017年9月1日号

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2019/03/05

東京医大不正入試問題の第三者委報告。事前の寄付金相談疑いを指摘するも政治家関与の状況は不公表。

東京医大 合否判定前に寄付金のやり取りか 第三者委が指摘 | NHKニュース(2019年3月5日 4時28分)

不正入試問題を受けて設置された、東京医科大学の第三者委員会は、臼井正彦前理事長が一部受験生の関係者と、合否判定前に文部科学省が禁止している寄付金のやり取りを行っていた可能性があると指摘しました。

東京医科大学の不正入試問題について、大学は4日夜、第三者委員会による調査報告書を公表しました。

それによりますと、不正入試を行ったとされる臼井前理事長はメモを残していて、そこには受験生11人の名前と、1人当たり300万円から3000万円の寄付の金額が記載されていたということです。

11人は全員合格したということですが、第三者委員会はこのうち、7人に得点操作が疑われるとしています。

また、実際に寄付をした10人中5人の金額は、メモに記されていたものと一致していました。

さらに、一部受験生側と寄付金のやり取りを合格発表前にしていたことを伺わせる別のメモも見つかったということです。

受験生側が臼井前理事長と寄付金のやり取りをした手紙には、「もし入学が許されましたら、育てていただく大学のためには、寄付は3千万は用意するつもりでおります」と記されていたということです。

文部科学省は合否判定前に寄付金の約束をすることを禁じていますが、第三者委員会は大学側と受験生の関係者の間で、合否判定前に寄付金に関するやり取りがあった疑いが強いと指摘しています。

一方、政治家の口利きによる不正の可能性については、今回も議員の名前や詳しい状況は明らかにされませんでした。

東京医大「真摯に受け止め」
東京医科大学は「不利益を受けた方々には誠実に向き合い、対応させていただきます。第三者委員会から指摘された事項を真摯(しんし)に受け止め、再発防止を徹底します」とコメントしています。

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2019/02/16

アルバイト職員へのボーナス不支給は労働契約法違反とする画期的判決

「アルバイトへのボーナス不支給は違法」、大阪医科大が一転敗訴 大阪高裁判決 - 毎日新聞(2019年2月15日 19時59分(最終更新 2月15日 23時19分))

 学校法人・大阪医科大学(大阪府高槻市、現・大阪医科薬科大学)のアルバイト職員だった50代の女性が、正職員との待遇格差は違法として、法人に約1270万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は15日、請求を退けた1審・大阪地裁判決を取り消し、約110万円の支払いを命じた。江口とし子裁判長は「賞与を支給しないのは不合理」と述べ、労働契約法に違反すると判断した。女性の弁護団によると、同種訴訟で賞与の格差を違法とする高裁判決は全国で初めて。

 判決は、法人が正職員に一律の基準で賞与を支給していた点を重視。賞与が「従業員の年齢や成績に連動しておらず、就労したこと自体に対する対価」に当たるとし、「フルタイムのアルバイトに全く支給しないのは不合理」と指摘した。契約職員には正職員の約8割の賞与が支給されていたことを踏まえ、アルバイトには6割以上を支給すべきだと判断した。

 さらに、アルバイトが夏期休暇を取得できず、病気による欠勤中に給与が支払われない点も不合理と認定。一方、基本給の格差などについては退けた。

 1審判決(2018年1月)は賞与の格差について「正職員の雇用を確保する動機付けとして一定の合理性がある」と判断。他の請求も退け、女性側が控訴していた。訴状などによると、女性は13年1月に研究室の秘書として採用され、時給制で勤務。約2年後に適応障害で休職し、16年3月に契約を打ち切られた。年2回の賞与が支払われないことなどが、労契法20条が禁じる「不合理な格差」に当たるかが争点だった。

 同法人は「判決文が届いておらず、コメントできない」としている。【戸上文恵】

「労働契約法に反する」の判断は異例、意義が大きい
 脇田滋・龍谷大名誉教授(労働法)の話 非正規職員に賞与を支給しないことが労働契約法に反するという判断は異例で、意義が大きい。同一労働同一賃金は世界的には当たり前で、日本だけが取り残されている。賞与や各種手当の格差是正は一つのステップに過ぎない。正規・非正規の格差を抜本的に解消するため、将来的には基本給を同じにする必要がある。

大学側が控訴するかどうか、その後逆転判決が出るかどうかが焦点か。
東京大学が5年の雇い止めを止めて無期転換すると方針転換したことが最近話題になった。それと合わせて重要な(特に大学にとっては)ニュース。

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2019/01/28

毎日新聞、辺野古反対派リスト「国が作成依頼」との警備会社の内部文書を入手。

2015年 防衛局が反対派リスト作成、監視を警備会社に依頼
2016年 沖縄タイムスがリストの存在を報道 → 政府は関与否定の閣議決定
2019年 毎日新聞が内部文書を入手 → 当事者は曖昧証言、会社は防衛省への報告を否定

毎日のスクープ。
政府はいつものように否定。企業側も否定。まあ今の政府の言うことを信じる理由はないわけで。森友に関わった建設会社も政府の嘘に荷担していたわけだし、巻き込まれた関係者でも偽証することは十分あるし。

辺野古反対派リスト「国が作成依頼」 警備会社の内部文書を入手 - 毎日新聞(2019年1月28日 03時00分(最終更新 1月28日 09時12分))

 防衛省沖縄防衛局が発注した沖縄県名護市辺野古沖の海上警備を巡り、業務を委託された警備会社の幹部社員が、米軍普天間飛行場の辺野古への移設反対派リストを作って監視するよう、防衛局側から2015年に依頼されたとする内部文書を作成していたことが明らかになった。リストの存在は沖縄の地元紙が16年に報道。政府はリスト作成の指示を否定する答弁書を閣議決定したが、会社側が記録した内容と政府答弁は食い違いを見せている。

 この警備会社は「ライジングサンセキュリティーサービス」(東京都渋谷区)。辺野古沖で移設反対の抗議活動をする市民らが、立ち入り禁止の海域へ侵入しないよう監視するなどの業務を担っていた。

 毎日新聞は、当時の現場責任者だった幹部社員名で同社代表取締役宛ての複数の「報告書」を入手した。16年5月15日付の文書には15年2月ごろ、当時の沖縄防衛局調達部次長(文書では実名)から「『反対運動を継続的に行っている人及び船舶の傾向を把握し、より安全な作業を実施してゆくために、反対派リストのようなものを作り監視してほしい』旨の依頼があり作成した」と記載されている。

 「反対派リスト」には抗議活動する市民ら60人分が顔写真付きで一覧表になっているほか、特定の市民について年齢や経歴などの情報が記された資料もある。

 文書の日付の前日にあたる16年5月14日、「沖縄タイムス」が「辺野古沖の海上警備で、警備員が新基地建設に抗議する市民の名前を特定し、行動を記録していることが分かった」と顔写真付きのリストの存在を報じた。報道を受け、現場責任者らが同日中に沖縄防衛局を訪れ、リスト作成の経緯を同局幹部らに説明。関係者は毎日新聞に「現場責任者は『次長の指示で作成した』と説明していた」と証言した。

 一方、政府は16年8月8日、仲里利信衆院議員(当時)の質問主意書を受け、「『市民の写真撮影や氏名・顔写真のリスト作成、個人情報の収集、政府への報告』を政府として指示した事実はない」との答弁書を閣議決定している。【松浦吉剛】

防衛省は指示否定
 ライジング社の幹部社員は毎日新聞の取材に、報告書の内容について「書いたかもしれません」と語り、沖縄防衛局調達部次長からの「依頼」については「(反対派の行動の)傾向をつかみなさいという指示だった」と説明した。

 一方、防衛省は「リスト作成を指示した事実はありません」とコメントした。

普天間移設問題
 1995年の米兵による少女暴行事件をきっかけに、日米両政府は96年、沖縄県宜野湾市の市街地にある米軍普天間飛行場の返還に合意。日本政府は99年に名護市辺野古への移設を閣議決定し、沿岸部に滑走路を建設する計画を進めるが、移設に反対する沖縄県との対立が続いている。政府は昨年12月に埋め立て用土砂の投入を開始。一方、移設の賛否を問う県民投票が2月24日に実施される。

写真、職歴、家族、出身校・・・ 辺野古反対派市民の情報ズラリ - 毎日新聞(毎日新聞2019年1月28日 03時00分(最終更新 1月28日 09時15分))

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設を巡り、防衛省沖縄防衛局から委託され海上警備を担っていた警備会社が、移設に反対する市民ら60人を顔写真付きで一覧表にしていた。毎日新聞は「反対派リスト」を入手。家族の名前や所属政党を記されていた人もいて、プライバシーの侵害を指摘する声も出ている。リスト作成の経緯を文書にまとめた幹部社員は防衛局への提供は否定するものの、あいまいな説明を繰り返した。【松浦吉剛、山崎征克】

リストは警備艇に備え付け
 反対派リストは、2014年8月~17年11月に海上警備業務を担当していた「ライジングサンセキュリティーサービス」(東京都渋谷区)の社員らが作成。市民らが船上で抗議活動している様子を撮影し、顔写真を2枚1組にして60人分を一覧表にしていた。

 関係者によると、リストは警備艇に備え付けられていた。顔写真には通し番号が振られてフルネームが記載。氏名を特定できなかった人物については「白髭(ひげ)のもじゃ」「ぱっとしない」「クバ笠(がさ)」など独自の呼称を記しているケースもあった。

 このリストに加え、特定の市民らについては顔写真付きで経歴などを記載した資料も作成され、ライジング社の社員らが出入りする辺野古の現地事務所に保管されていたという。毎日新聞が入手した資料には、ある名護市内の女性については年齢や職業のほか、所属政党名、出身校なども記されていた。手や足を負傷しているとの情報を書かれていた女性もいた。

 沖縄タイムスが16年5月14日に反対派リストを報じて以降、ライジング社はリストを廃棄したと説明している。報道を受け沖縄4区選出の仲里利信衆院議員(当時)は「プライバシーの侵害や違法性があると思われる」と指摘。質問主意書で政府に見解をただしたが、政府は同年8月8日に「『リスト』を保有しておらず、お答えすることは困難」との答弁書を閣議決定した。

 辺野古の海上警備業務は、普天間飛行場の辺野古移設に関連し、沖縄防衛局が14年6月に桟橋などの仮設工事を発注した際の契約内容に含まれていた。工事を受注した大成建設はライジング社に警備を委託。15年7月以降は同社が防衛局から直接請け負っていた。

 リスト作成について、沖縄防衛局の指示や依頼はなかったのか。14年7月~16年6月に局長を務めていた希望の党の井上一徳衆院議員は「やっていないと思う」と語った。

「書いたかも」幹部社員
 辺野古沖の海上警備の現場責任者を務め、リスト作成の経緯を記した報告書を作成したとされるライジング社の幹部社員は今月下旬、大阪市内で毎日新聞の取材に応じた。

 「ふーん、どうでしょうね。何が聞きたいんですか」。記者が報告書を示すと、幹部社員は書面を見つめて1分ほど沈黙した後、口を開いた。質問を重ねると「書いたかもしれませんね。こんな内容あったかもしれませんね」「(代表取締役に)出したかもしれませんね」と語った。

 当時の沖縄防衛局側から反対派リストの作成を依頼されたという記載について問うと、「本当に記憶が分からないんだけど。指示と言うか、どうだろう……」と言葉に詰まることも。「その(リスト作成の)指示ではなくて『(反対派の行動を)把握しなさい』なんですよ。反対する船長を把握しておけば(動向が)分かるよねって意味で」と説明。「結果的にリストになりますよね」と付け加え、沖縄防衛局には提供していないと繰り返した。

 60人分の一覧表の作成は認める一方で、個人情報が詳細に書かれた資料は「見た記憶がない」と述べ、「(従業員が)自発的に作った可能性は否定できない」と語った。

 リストの存在を沖縄タイムスが報じた直後、経緯を説明するため沖縄防衛局を訪ねたかを問うと、「覚えていない。毎日のように、この時期会議があったから」。質問には「かもしれない」というフレーズを何度も繰り返し、記憶が薄れていることをにじませた。

 その一方で、「調達部次長の指示でリストを作成した」と幹部社員が説明したとの証言があることを伝えると、「ない。はっきりと。そこは言っていないと思う」と否定した。

 幹部社員への取材後、改めてリスト作成の経緯を同社に質問したところ、「公表されている情報を基に警備会社として取りまとめた」とし、「リストを沖縄防衛局へ提供した事実はありません」と文書で回答があった。

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2019/01/20

日本学生支援機構の奨学金の保証人になっている人→機構から返済を求められたらまず「分別の利益」を主張しろという話。

学生支援機構、奨学金の不当回収認める 保証人に返金へ:朝日新聞デジタル(諸永裕司、大津智義 2019年1月19日09時17分)

 奨学金の返還をめぐり、日本学生支援機構が保証人に半額の支払い義務しかないことを伝えずに全額を求めてきた問題で、機構は取材に対し、その後に取った対応の中で、過大請求によって一部の保証人から不当な回収をしていたと明らかにした。機構は「法解釈を誤った」と認め、保証人に謝罪したうえで、取りすぎた分を返金するという。

 朝日新聞は昨年11月、機構が過去8年間に延べ825人の保証人に、全額の支払いを求めたと報じた。これを受けて機構は、半額しか支払い義務がないとする「分別の利益」を保証人が主張した場合、返還を終えた人や裁判で返還計画が確定した人は減額しない一方で、機構と協議して返還中の人らには応じる方針を示した。ただ、減額するのは主張時の「残金の半分」とした。

 この点について、朝日新聞は、一昨年の民法改正に携わった法制審議会(民法部会)で委員や幹事を務めた法学者18人に意見を求めた。取材に応じた10人のうち9人が「法的に誤りで過大請求になる」と答えた。

 松岡久和・立命館大教授は「借りた本人が返せない場合、機構は残りの全額を払うよう保証人に求めることはできる。だが、保証人の支払い義務はその半額を超えず、分別の利益をいつ主張するかによって変わるものではない」。野村豊弘・学習院大名誉教授は「機構にとって都合のよい解釈ではないか」と述べた。

 一方、「分別の利益については定説がない。当初、機構が考えたように解釈できる可能性もある」とする学者も1人いた。

 朝日新聞が法学者の見解を機構に伝え、説明を求めたところ、機構は誤りだったと認めた。

 機構によると、奨学金を借りた本人の未返還額の半額を超えて返している保証人が、主張後に支払った分を返金する。過大請求や不当回収をした保証人の数や金額は精査中で、利息をつけるかも検討している。ただし、半額を超えていても、主張前の分は「弁済は有効で債務は消滅している」として返金しない。

 機構の大谷圭介理事は「弁護士と相談して対応を決めたが、法解釈が不適切で不当な回収だった。今後、分別の利益の主張があれば、本人の未返還額の半額しか求めないよう改める」と話した。一方で、「分別の利益は保証人から主張すべきだ」とする見解は変えず、機構から積極的に伝える考えはないという。

 山野目章夫・早大法科大学院教授(民法)は「保証人に分別の利益を知らせずに全額払いを求めていたことが判明した後に、誤った法解釈で『不当利得』を得ていた事実は重い。奨学金事業への信頼を損ないかねない」と話す。(諸永裕司、大津智義)

     ◇

 〈分別の利益〉 民法では、連帯保証人も含めた複数の保証人がいる場合、各保証人は等しい割合で義務を負う。国の奨学金の人的保証(父か母が連帯保証人、4親等以内の親族1人が保証人)では、保証人の義務は半分になり、残りは本人や連帯保証人が負う。現在の奨学金の返還者は約426万人で、3カ月以上の延滞者は約16万人。

素人には理屈がわかりにくいので、この記事は丁寧に読む方がいい。
記事の付図:「分別の利益と不当回収」が分かりやすいので、内容をまとめる。
→100万円貸与され、本人が20万円を返済したとする。すると残金は80万円。
ここで連帯保証人が全く返済しなかったとする。すると、機構は残金の全額80万円を保証人(自分)に請求する。
この請求に応じて自分(保証人)が60万円を支払い、その時点で「分別の利益」を機構に主張すると、機構は残りの20万円のうち、半額の10万円だけを負けてくれる、という話。

つまり、「分別の利益」を主張すれば、保証人はその時点以降の残債については半額にできる、ということ。
機構は、「分別の利益」の主張前に支払った分は丸取りして返金しないと主張しているらしい。

この理屈に従えば、日本学生支援機構から保証人に「支払え」と連絡が来たら、即座に「分別の利益」を主張するのが一番良いということになる。(それでも半額は背負うことになるけれど……)。

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2018/10/05

「ネット右翼」に関する大規模調査

ネット右翼検証、新たな存在も 東北大准教授ら、8万人アンケート:朝日新聞デジタル(2018年10月5日05時00分)

 「ネット右翼」とはどのような人たちで、どのくらいいるのか。その実像に迫ろうと、8万人規模の大規模調査が行われた。これまで語られてきたネット右翼像とは異なる新しい排外主義者の存在が浮上したほか、所得や雇用形態が影響するという従来の見立てを覆す傾向も浮かび上がった。

 東北大の永吉希久子准教授(社会意ログイン前の続き識論)らのグループが、昨年12月にネット調査会社を通じて20~79歳の東京都市圏に住む約7万7千人にアンケートをした。中韓への否定的態度や保守的政治志向の度合い、ネットの利用状況、伝統的家族観などを質問。確たるネット右翼像がなかったことから、永吉さんは実証的な検証を試みた。

 調査によると、ネット上で排外的な言動を行う人のうち「政治家の靖国神社参拝に賛成」「憲法9条改正に賛成」など政治的な保守思想を持つ人が全体の1・7%を占めた一方、保守思想を全く持たない層が3・0%いた。永吉さんは、前者をネット右翼、後者を「オンライン排外主義者」と分類した。

 両者には、伝統的な家族観が強く、ネット上で政治的議論をする共通点はあるが、ネット右翼には自分たちの声が政治に届いている実感がある一方、オンライン排外主義者には「国民」の声が届いていないとの不信感が強かった。両者ともネットで情報を集めるが、ネット右翼が活字媒体を活用するのに対し、オンライン排外主義者は口コミを重視する傾向も出た。

 「ネット右翼のように安全保障や憲法、歴史認識についてまとまった思想を持つにはある程度の勉強が必要だが、嫌中嫌韓などの排外思想だけならば気軽に流布できる一面があるため、オンライン排外主義者は今後広がりを見せるのではないか」と永吉さんはみる。

 また、ネット右翼やオンライン排外主義者には、経営者や自営業者が多い傾向が見られ、必ずしも低所得層や雇用不安定層には限らないことも浮かび上がった。婚姻状態や相談相手の有無による影響もなかった。

 (河村能宏)

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2018/09/24

福岡県福智町で起きたこと

正社員を辞めて公募図書館長になったのに突然雇い止め、注目図書館「ふくちのち」で起きたこと - 弁護士ドットコム

はてなブックマーク - 正社員を辞めて公募図書館長になったのに突然雇い止め、注目図書館「ふくちのち」で起きたこと - 弁護士ドットコム

雇い止めの後を継いだのは井上憲治氏。市場小前校長。

福智町立図書館・歴史資料館   ふくちのち(八王子市議会議員 おぎた米蔵氏(公明党)のブログ記事)

3町の合併で合理化される赤池支所を図書館・歴史資料館にリノベーション。

このようなまちづくりのデザインが出来たが、次の2つの戦いがあった。

1.職員の意識を変える。設計者を全国から公募することに対して職員からは町内の設計者を選んでほしい。図書館の館長を全国から公募することに対しては、職員や学校の先生のOBから選んでほしいという強い意見。

2.2番目は議会との闘いだった。
図書館でまちづくりが本当に出来るのか。あらゆる面で厳しい状況の町に図書館が必要なのか、他にやることがあるんじゃないか。

どこに建てるのかという場所の問題。支所を改築するのでも多額の予算が必要。議会に承認してもらわなければ建設できない。

議会では、熊本県立図書館を視察するなどして必要性を感じる議員も出てきた。また、町長が各議員を説得していった。

住民説明会をしてもこのようなまちに図書館が必要なのか、という意見が多かった。

次第に、町長がそんなに言うなら仕方ない、しょうがないなぁという空気が出てきた。

全国公募で採用した図書館長は、役場内で図書館についての意見交換会を各課ごとに開いた。賛否両論あり。本来、図書館の仕事は何だ。あなたが考えていることは図書館の仕事ではないのではないか。また、聞くに堪えない言葉も聞いた。

福智町関連。なかなかえげつない。
町が売却禁止の土地を元町議に129万円で売り、この元町議は移転補償金を4600万円せしめて他の土地に自宅を新築。
嶋野勝町長は、元町議から売却を再三要求された。
この元町議は原田正氏?→ 嶋野勝町長は原田正氏後援会の事務局長補佐。


地方自治法違反:元町議に町営住宅売却 福岡・福智町 - 毎日新聞

 福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅を、居住者の元町議(88)に売却していたことが17日、関係者への取材で分かった。町営住宅の土地の一部は売却前から県の護岸工事の用地となることが決まっており、元町議は購入後に転居して県から移転補償費約4600万円を受け取っていた。嶋野勝町長は元町議から売却を再三要求された事実を認めており、町営住宅を巡る不透明な土地取引が浮き彫りになった。

 関係者によると売却したのは同町伊方にあった町営住宅「尾崎団地」の土地約640平方メートル。団地は2世帯が入居する木造平屋住宅約60平方メートルで、元町議は1部屋の一部を増築して入居していたが、老朽化のため町が2013年3月に払い下げを決定。14年12月に建物を無償譲渡し、土地は129万円で売却した。

 町営住宅は、自治体が所有する財産のうち「行政財産」に区分され、地方自治法は原則として売却や譲渡を認めておらず、違反すれば取引は無効と定めている。用途廃止をして「普通財産」に変えるか、国土交通相の許可を得れば売却できるが、町はいずれの手続きも取っていなかった。

 さらに、この土地の一部は売却前から、近くの長浦川の護岸工事用地として使われるため、移転補償の対象になることが決まっていた。14年7月の豪雨で護岸が損壊し、嶋野町長が県に工事を求める要望書を提出。これを受けて県は護岸工事を決め、同年12月16日、住人の元町議に町営住宅の土地の一部が移転補償の対象になることを伝えた。

 元町議は同年8月に町長らに早期売却を強く求めるなどして、同年12月24日に町営住宅の土地を購入。移転補償対象だった一部の土地以外も工事車両置き場に使うことになり、15年9月、県が元町議に移転補償費約4600万円を支払うことで合意。元町議は町内に新築した自宅に転居した。

 元町議は1999~2011年に町議を3期歴任。土地購入時は部落解放同盟福智連絡協議会委員長だった。嶋野町長は「元町議に依頼されて早期売却を指示した。行政財産の売却が違法とは知らなかった」と釈明。元町議は「売却を働きかけたことは一切ない。移転補償の対象になるとは予想していなかった」と話している。【志村一也】

ことば「行政財産」
 自治体が所有する「公有財産」のうち、庁舎や学校、図書館、公園、公営住宅、公民館の他、地上権や特許権なども含めた公用や公共用に使われる財産。原則として売却や譲与はできず、違反すると取引は無効となる。それ以外の公有財産は普通財産で、自治体の権限で売却や譲渡ができる。

福智町「行政財産」売却:幹部、違法性を認識 - 毎日新聞(2017年8月20日 08時00分(最終更新 8月21日 09時04分))

 福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅を住人の元町議(88)に売却していた問題で、取引に関与した複数の町幹部が違法性を認識していたことが19日分かった。毎日新聞の取材に対し複数の町幹部が「売却に必要な手続きを怠った」などと認める証言をした。嶋野勝町長は「違法とは知らなかった」と釈明している。

関係者によると、町営住宅は2世帯が入居できる木造平屋1棟で元町議と別の世帯が住んでいた。町は老朽化のため2013年3月以降の協議で15年3月までに元町議へ払い下げることを決定。行政財産である町営住宅を売却するには、用途廃止をして「普通財産」に変えるか、国土交通相から売却許可を得る必要があるため、町が手続きを進めていた。

 しかし、用途廃止をして普通財産に変えるには、町の実務上の取り決めで建物部分を取り壊す必要があり、元町議が所有する増築部分を損傷する恐れがあるため不可能と判断。国交相の売却許可を得ると、元町議と別世帯の居住者が共同購入する必要があり、別世帯の入居者の資力が乏しいため手続きを進められなかったという。

 こうした状況に対して元町議は町に再三にわたって町営住宅の早期売却を要求。嶋野町長は職員に元町議の意向通り早期に売却するよう指示し、最終的には14年12月、必要な手続きをとることなく行政財産のまま元町議に町営住宅の建物を無償譲渡、土地を129万円で売却した。

 売却に関与した町幹部は「必要な手続きを怠り、行政財産のまま売却した」。別の町幹部も「普通財産にするのが面倒だった」と不適切な手続きを認めた。嶋野町長は「手続きについては分からない。職員を信じるしかない」としている。【志村一也】

「普通財産に変更し売却」 町長がHPに反論
 一方、町は18日、町営住宅を違法売却したとする毎日新聞の報道を否定する嶋野勝町長名のコメントを町のホームページ上に掲載した。「払い下げについては、地方自治法どおり『行政財産』から用途廃止を行い『普通財産』に変えて売却した」と説明。しかし関係者によると、用途廃止後に町の取り決めで必要な建物の解体や必要書類の提出をしておらず、普通財産には変更されていなかったという。

 嶋野町長は当初、違法売却の事実を認めて「勉強が足りず反省している」と話していた。毎日新聞はコメントについて町に取材を申し入れたが、町は19日までに応じていない。

地方自治法違反:町長「私は被害者。早く縁切りたかった」 - 毎日新聞(2017年8月18日 10時00分(最終更新 8月18日 10時15分))

 福岡県福智町が地方自治法で売却を禁じられた「行政財産」である町営住宅の土地を元町議(88)に違法に売却した問題。元町議が土地購入後に県から多額の移転補償費を受け取ったことも判明するなど取引の不透明さが際立つ。嶋野勝町長は元町議の求めに応じて早期売却を決めたことを認めたものの、違法性の認識はなかったことを強調する。専門家から取引を無効にすべきだとの声も上がる中、嶋野町長に取引の経緯などについて話を聞いた。【志村一也】

 --町営住宅を行政財産のまま売却したことは地方自治法に違反するのではないか。

 ◆法律違反とは知らなかった。町長失格と言われたらそうだろう。勉強が足りなかったと反省している。

 --元町議から売却の陳情を受けたのか。

 ◆元町議に「払い下げを早くしてくれ」と頼まれ、職員に「早くしろ」と指示した。町としてはもともと町営住宅を住人に払い下げる計画を立てていた。圧力を受けたという印象はない。売却を急いだのは何かと町に要望してくる元町議と早く縁を切りたかったという理由もある。

 --県から元町議に多額の移転補償費が出たことが住民の不信を招いているのでは。

 ◆移転補償費が支払われることは知らなかった。あの土地は交通の便も悪くて二束三文なのに、県はなぜ4600万円もの補償費を出したのか。県がやったことのとばっちりを受けて町が注目されることになったという認識だ。私は被害者だ。

 --町長名で県に出した要望書がきっかけで、町営住宅が工事の用地となっているが。

 ◆工事内容は県が決めることだ。要望書については記憶がない。

全国的にも極めて珍しいケース
 板垣勝彦・横浜国立大大学院准教授(行政法)の話 行政財産を売るなど聞いたことがなく、全国的にも極めて珍しいケースだ。自治体の独断で公共性の高い財産を売却して住民が不利益を被ることがないよう、地方自治法は行政財産の取り扱いを厳しく制約している。町に知らなかったという言い訳は許されず、今回の違法な売却は「無効」とすべきだ。本来なら県から町に支払われたはずの移転補償費も受け取れておらず、町に損害を与えている。住民が町長らに損害賠償を請求してもおかしくない。

町長が福岡県を悪者にして自分は被害者だと強弁している。

部落解放同盟福智連絡協議会昨年度、約1100万円助成金が支給: 地域人権・同和問題の真の解決 新井直樹

福智町元課長を収賄容疑で再逮捕へ 同和団体に便宜か
http://www.asahi.com/articles/ASJ5L3QMMJ5LTIPE00H.html
2016年5月18日12時19分
 同和団体への助成金に対し便宜を図る見返りに現金を受け取ったとして、福岡県警は18日にも、同県福智町の元人権・同和対策課長、鈴木秀一容疑者(61)=詐欺罪で起訴=を収賄容疑で再逮捕する。捜査関係者への取材でわかった。
 また鈴木容疑者に現金を渡したとして、元福智町議で部落解放同盟福智連絡協議会委員長の原田正容疑者(86)=同=についても贈賄容疑で再逮捕する。
 捜査関係者によると、鈴木容疑者は同協議会への町の助成金を減額しない見返りに、原田容疑者から現金約10万円を受け取った疑いがあるという。町の説明では、鈴木容疑者は助成金の交付の決裁に関わり、同協議会には昨年度、約1100万円が支給されていた。

福岡の同和団体幹部を逮捕  - 産経ニュース(2016.4.7 07:03)

 福岡県警は6日、同県福智町から助成金をだまし取ったとして、詐欺の疑いで同和団体「部落解放同盟福智連絡協議会」委員長、原田正容疑者(86)を逮捕した。町ではカラ出張で町から旅費をだまし取ったとして人権・同和対策課長、鈴木秀一容疑者(60)が逮捕された。鈴木容疑者は原田容疑者の申請書決裁に関わっていた。

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2018/08/06

全国学力テストの問題点を指摘する中日新聞の連載記事(2017年2~3月)

全国学力テスト10年(1)不可解な問題 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月5日 朝刊

全国学力テスト10年(1)不可解な問題 (大津支局・浅井弘美)

◆自分の将来像に模範解答
 【あなたは、二〇二〇年の日本は、どのような社会になっていると予想しますか。また、その社会にどのように関わっていきたいと思いますか】

 こんな質問をされたら、どう答えますか? 自由作文や大学入試の小論文ならともかく、これは一五年に行われた「全国学力テスト」(学テ)の中学三年生に対する中学校国語Bの設問。「東京五輪・パラリンピック組織委員会のホームページ」「日本の人口推移のグラフ」「生活を支援するロボットの開発」について資料が示され「八十字以上、百二十字以内」の解答が求められた。

◆十人十色を認めず
 答えは十人十色になるのが一般的な感覚だろう。だが、これには“正解”がある。文部科学省が示す正答例はこうだ。

 「オリンピック・パラリンピックの影響で様々なスポーツに注目が集まるだろう。今後増えていく高齢者もスポーツに関心をもつと思われる。そのような社会に、私は、スポーツ関連のボランティアをすることで積極的に関わっていきたい。」

 「おそらくオリンピックの開催に向けて技術開発が進み、様々なロボットが開発されています。私は、そのような社会に関わっていくために、大学で科学技術に関する研究をしたいと考えています。」

 他に「若者の代表として努力し、オリンピックでメダルを取る」「今よりも安全で性能が高いロボットを開発する仕事に就きたい」など、計六例の模範解答がある。

 「正答例は、要するにテストを作った大人が思い描く『良い子』の事例じゃないですか」

 滋賀県内の中学校で教える五十代の男性教諭が納得できないのは、採点方法が「○」か「×」しかないことだ。

 「子どもたちの将来像はまだ漠然としているんですよ。だから漠然とした答えしかない。なのに、生徒自身の考えが答えに合わないと、それがすべて不正解になってしまうんです」

 将来を具体的に描くことは大切だろう。でも、五年後の自分の人生を描いた作文が内容によって「×」だなんて、おかしくないか。私自身を振り返っても、十五の春にそこまで具体的に将来を決めていなかった。ましてや、五輪にどう関わるか、考えている中学生がどれだけいるのだろうか。

 学テは国語、数学(算数)とも基礎知識を問うA問題と、応用力や読解力をみるB問題の二部構成で、文科省はB問題の狙いを「知識や技能などを実生活で活用する力を求める」などと説明する。だが、結局は優等生的な解答を誘導し、「大人の言葉」が分かる成績上位者しかまともに記述できない問題だ。

 批判が渦巻く理由には、学テが現場の多忙感をますます高めていることもある。

 全国のほとんどの小中学校では答案を文科省側に返送する前に、教育委員会の指示で教師らがコピーし“自校採点”する。文科省が、学テの狙いを「学習成果を検証し、指導の改善に役立てること」と打ち出しているため、一日も早く自校の出来を知る必要があるからだ。

◆学生バイトが採点
 滋賀県では、採点結果を県教委の集計システムに入力しなければならず、ある中学校では、学テの日から連日、職員室の明かりは深夜までついたままだった。「特に、B問題で正解不正解を判断するのに、すごく時間がかかる」(五十代教諭)からだ。ベテラン教師でも悩む問題を、文科省側では誰が採点しているのだろうか。

 「学生バイトだそうですよ」

 教師たちから聞いたその答えを、にわかに信じ難かったが、調べると本当だった。

 問題を作成する国立教育政策研究所などによると、四月のテスト終了から二カ月間、文科省から委託を受けた業者が大学生や大学院生らを雇い、解答パターンに沿って採点している、というのだ。ベネッセコーポレーション、教育測定研究所などの業者にはテストの配送なども合わせ、一六年度は計四十七億八千万円が支払われた。

 教育者でもない学生が採点した結果に基づいて、現場の教師たちが「指導の改善」を迫られる-。おかしな話ではないか。

 「そもそも普段の授業や教科書とは関係のない別教科のようなもの。このようなテストを全員に受けさせる意味があるのですか」

 四十代のある女性教諭は疑問を投げかけ、疲れた顔でこう言った。

 「一体何のために、誰のために続けているのか、分からない」

 なのに、順位を上げるための対策が全国で過熱する。

      ◇

 十年を迎えた全国学力テスト。日本の教育現場にひずみを広げつつある問題の根源を、五回にわたって考えたい。

全国学力テスト10年(2)過熱する対策 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月12日 朝刊

 ある教育関係者からその話を耳にしたのは、昨年八月末のことだった。

 「あの中日の記事はガセネタだって、○○(全国メディア)の記者が吹いて回ってますよ」

 一面で「学テ 一部生徒の答案除外」と報じた私の記事だ。取材の経緯をオープンにすることは普段あまりしないが、ここでは明らかにしておきたい。

 最初は「沖縄県内で過剰な学力テスト対策が行われ、行事を簡素化する学校も出ている」という人づての話が端緒だった。内情を探るため、友人を通じて那覇市の中学校教諭に電話したのは、六月上旬の午後十時すぎのこと。教諭から驚くべき言葉が飛び出した。

 教諭 あいつらは、普段学校に出てこないのにこんなときに限って出てくる。

 私 受験したんですよね?

 教諭 受けたけど、解答用紙は省きましたよ。送らなかった。

 不登校や授業を欠席がちな五人程度の解答用紙を除外して、文部科学省が委託する業者へ送ったというのだ。当日、生徒らは受験したが、学テ終了後の担任らの会議で「普段から指導していないので指導の改善はできない」「平均点を下げる」などの声が上がり、欠席扱いにしたという。だが、これは初めてのことではないらしい。

 私 解答用紙は全部送らなくていいんですか?

 教諭 欠席扱いにしたらばれないんですよ。前に勤務した学校でも当たり前にやっていましたから。

 教諭はそう言って、那覇市近隣の二つの自治体名を挙げた。さらに裏取りを重ね、書いた。それが八月下旬の記事だ。

 デマを流され、黙ってはいられなかった。私は徹底的に調査することにした。これまでの取材で得たさまざまなツテを通じて、四十七都道府県すべての関係者に当たった。すると、複数の県で、不適切な事例があったことが分かった。また聞きではなく当事者に聞いた話だ。

 群馬県の小学校では、情緒学級に通う児童の解答を「全体データに反映させなかった」と女性教諭から証言を得た。テスト前日の話し合いで学年主任が「(児童の解答を含めると)学校平均点に入っちゃうんだよね」と漏らしたひと言で決まった。解答用紙は、女性教諭が保管しており、卒業後、処分するという。

◆答え教える対応も
 鹿児島県の小学校では、普通学級の低学力の児童二人を別室で受験させ、教諭が付き添って問題文をかみ砕いたり、答えを教えたりした。大分県の小学校では昨年度まで、低学力や欠席がちな児童を保健室などで受験させ、統計に反映させなかったという。

 教育現場で飛び交う生々しい言葉も耳にした。

 大阪府内のある中学校では、生徒の一人が「先生、平均点上げたいんやったら、あいつを外せばいいやん」と低学力の生徒を指して言ったという。学テの平均点にきゅうきゅうとする大人たちを子どもたちはよく見ているのだ。

 だからといって、私は現場の教師たちを責める気にはなれない。現場の不正は国の施策によって追い詰められた結果、とみるべきだからだ。

 学テは「指導に生かす」という当初の目的から大きくはずれ、地域や学校間の競争を招き、順位を上げるための対策は過熱する一方になっている。点数を上げるために過去問題を使った対策も、ほとんどの自治体で行われるようになった。

 小学校の国語Aと算数A・Bで二〇一六年度に初めて一位を獲得した石川県では、四月の始業式後、テストまで授業中に過去問に取り組む学校が小中学校で九割以上に上り、うち十回以上繰り返し解かせている学校が一割ある。ある教員は「四月に入っても、教科書が開けないんですよ」と嘆いた。

 滋賀県の五十代中学校教諭は「十年で教育現場がこんなに変わるとは思わなかった。一部のエリートをつくるために続けているようなテストに、どうしてこんなに振り回されるのか」とため息をついた。

 この過熱ぶりは、結果を公表しているからにほかならない。昨年四月、馳浩文科相(当時)が、過去問対策を行う学校に対し「とんでもない」と批判したが、もはやブレーキが利かない状態になっている自治体間の順位争いをよそに、きれいごとを言っているだけにしか、私には聞こえなかった。

◆学力向上置き去り
 学テで測れるのは学力の一部にすぎず、数字だけ追ったテスト対策に力を注いで学力が身についたと言えるだろうか。問題なのは、不毛な競争の渦中で、学力向上が本当に必要な子どもたちが切り捨てられかねないことだ。

 国が目指す「学力向上」とは、いったい何なのか。(中日ウェブ・プラスに掲載、次回は19日)

図:「文部科学省が各教委あてに出した、自治体間の点数競争や過去問対策を戒めた通知文」
全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知)
→文部科学省による発表文に同じ→資料5-2 全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知):文部科学省

28文科初第197号
平成28年4月28日

各都道府県教育委員会教育長
各指定都市教育委員会教育長 殿

文部科学省初等中等教育局長
小松 親次郎

(印影印刷)

全国学力・学習状況調査に係る適切な取組の推進について(通知)

全国学力・学習状況調査は,教育基本法(平成18年法律第120号)第16条第2項に定める全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図る観点から,全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握し,分析を行い,教育施策及び教育指導の成果と課題の検証や,その改善に役立てることを目的として実施しています。
このような趣旨に照らして,数値データによる単純な比較が行われ,それを上昇させることが主たる関心事とならないよう,国としては,調査実施後に,解説資料や調査結果の分析データ,授業アイディア例などの多角的な観点から作成した資料を各教育委員会や学校に対し提供することにより,教育委員会や学校において,授業時間や家庭学習を使った教育指導の改善・充実に活用いただいているところです。
しかしながら,一方で,4月前後になると,例えば,調査実施前に授業時間を使って集中的に過去の調査問題を練習させ,本来実施すべき学習が十分に実施できないなどといった声が一部から寄せられるといった状況が生じています。仮に数値データの上昇のみを目的にしているととられかねないような行き過ぎた取扱いがあれば,それは本調査の趣旨・目的を損なうものであると考えております。

本調査は今年度で10年目を迎えましたが,関係者間において,今一度原点に立ち戻って,本調査の趣旨・目的に沿った実施がなされるよう,各教育委員会におかれては,次のような取組を行っていただきますよう,お願いします。
○学校内,学校間及び教育委員会と学校との間において,本調査の趣旨・目的について共通理解を得るための機会を設け,その認識を学校現場に深く浸透させること
○日常の指導訪問等を通じて,改めて本調査への適切な向き合い方や適切な指導改善の方策等について学校との間で理解を深め合うこと

文部科学省としても,次のような事項を含め,改善策を進めていくこととしていますので,御協力くださるよう,お願いします。
○教育委員会による上記の取組について把握するとともに,教育委員会の取組について指導,助言を行うこと
○教育委員会と情報共有,意見交換を行うなどの場を設け,互いに本調査の趣旨・目的に沿った改善を図るよう努力していくこと

都道府県教育委員会におかれては域内の市町村教育委員会(指定都市教育委員会を除く。)及び関係する所管の学校に対して,指定都市教育委員会におかれては関係する所管の学校に対して,本通知の内容について速やかに御周知いただくとともに,必要な指導・支援をお願いします。

【担当】
文部科学省初等中等教育局参事官付
学力調査室学力調査企画係
電話03(5253)4111 内線3726

全国学力テスト10年(3)政治の介入 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月19日 朝刊

 学力テストの正式名称は「全国学力・学習状況調査」。調査なのか、テストなのか。文部科学省に尋ねると「あくまで調査。競争するためのものではありませんから」と即座に返ってきた。ではなぜ、学校は競争に追い込まれているのだろう。もとをたどると、首長や議員らの言動に行き着く。

 たとえば、二〇一二年二月の滋賀県議会の議事録(抜粋)を見ると、こんな具合だ。

 議員 全国規模のテストがあって、順位を教えないというのは、本当にせっかくの機会が台無しな気がいたします。

 議員 点数主義を生むんだという危惧は、それはあくまでも教師や学校側の心配ですから。

 学テの市町別・学校別の結果公表を巡り、県議が県教委をただしていた。公表に慎重な県側に対し、一三年九月の定例会議でも議員が激しく突っ込んでいる。

 議員 全国平均とのポイント差が広がり、悪くなっているという状況にもかかわらず、知事からはあまり危機感が伝わってきません。

 議員 すべての教科で全国最下位に近い成績結果と聞きますと、保護者をはじめとする県民の皆さまが、本県の教育水準について懸念されることも当然だと考えます。

◆議員が教委に圧力
 知事や教育長は「大変強い危機感を持っている」と答弁せざるをえなかった。議員が追及する場面は、大津市や東近江市など県内の市町議会でも同じだった。「情報開示」「説明責任」といった言葉が飛び交い、責め立てられた教委が追い込まれ、テスト結果を重視した対策を学校現場に課していく。この構図は、恐らく全国共通だろう。

 授業中に過去問を解かせ、本番を控えた春休みの家庭学習で、学テを意識したドリル学習をさせる学校が増え、学テに酷似した問題のテストも行われた。県内のある小学校教諭は、点数アップを狙う対策に疑問を持ちつつ「あれだけ議員から追及されたら、対策しますと言わざるを得ないでしょう」とあきらめ顔で語る。

 私は、学力を高めることに反対しているわけではない。それが「学テ対策」にすり替わっていることが、おかしいと思うだけだ。本来は「調査」だったはずの学テが、自治体間の競争の道具に成りかわっているのは、なぜか。きっかけは、ルール破りの自治体が出てきたことだ。

 文科省は当初、結果公表は都道府県別にとどめ、市町村別、学校別の公表は禁じた。ところが、一部の自治体の首長らがルールを無視して公表を始めたのだ。

 成績上位の秋田県は〇八年、寺田典城知事(当時)が市町村の平均正答率を公表。大阪府の橋下徹知事(当時)も、結果公表に消極的な市町村教委を指して「くそ教育委員会」と批判。放言は撤回したが、結局、府教委は押し切られ、公表にかじを切った。鳥取県では、県情報公開条例改正案を県議会で可決し、市町村別・学校別成績を開示した。こうして非公表のルールがうやむやになり、本来は政治が介入すべきではない教育が、政治家の示威行動の舞台になってしまったのだ。

◆「応援費」まで登場
 成績下位だった岡山県では、伊原木隆太知事が小中学生ともに「全国十位以内」の達成を掲げ、成績アップなど成果を上げた公立学校に「応援費」百万円を交付している。静岡県では、川勝平太知事が成績の悪かった小学校の校長名を公表する意向を示したが、県教委などと激しく対立し、成績上位校の校長名を公表することにした。

 結果に過剰に反応する教委も現れた。大阪府のある市では、答えが分からなくても「解答欄を埋める」ことになっている。成績が振るわなかった小学校の教諭が明かす。「校長から聞いたのですが、教育長から『空欄が多いのは何でや。意欲が低いからと違うんか』と怒鳴られた、と言うんです」。ため息をつき「分かっても分からんでも解答欄を埋めろなんて、おかしくないですか」と私に訴えかけた。

 教師らの勤務評価にも連動し始めた。鹿児島県のある小学校では、教諭らに学テの数値目標を掲げさせ、企業の成果主義さながらに、その評価が昇給に影響するという。同校の四十代の教諭が嘆いた。

 「平均点を三点アップさせるなど目標を立てなければなりません。現場には、さまざまな生活背景の子どもたちがいる。ゆっくりじっくり、一緒に考える授業はできなくなりました」

 教育現場が閉鎖的になったり、独善的になってもいいとは、私も思わない。だが、専門知識を持ち合わせていない政治家までもが、ずかずかと教育現場に踏み込み、本来画すべき一線が、あまりにもないがしろにされてないか。

全国学力テスト10年(4)教育ビジネスの影 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年2月26日 朝刊

 中学三年生を受け持つ教諭たちに、衝撃が走った。

 昨年三月、滋賀県内の中学校。県立高校の入試当日、学力テストのB問題をほうふつとさせる問題が出題されたことを知ったからだ。数学では、得点しやすい単純な計算問題が消え、一定レベル以上の読解力まで求める問題に様変わりしていた。

 「問題を見て『何やこれは』とがくぜんとして。自分たちが今まで教えてきたことは何だったの?って」

 四十代の女性教諭は、怒りに震えながら話した。不穏な兆しがなかったわけではない。県内の学習塾で解かせる問題が、学テに類似した問題に変わってきていた。高校入試が迫った生徒の学習を見るため、補習につきあった五十代の男性教諭が明かす。

 「塾でやっている問題を生徒が持ってきてびっくりしたんですよ。学テと同じような問題が出ていたんです。生徒は『全然分からん』と嘆いていましたからね」

 入試からの帰り道、肩を落とす生徒らを慰めたという教諭は「入試まで学テとリンクさせて。この子たちは切り捨てられた」と悔しさをにじませた。別の学校長は「入試に学テの問題を入れたら、対策をせざるを得なくなる」と憤慨した。

◆対策先行の学習塾
 そんな声を聞いているうちに、ふと、不思議に思った。教師たちさえ知らされていない入試の傾向を、なぜ学習塾は察知できたのか。その塾で使われていた問題集には、なぜ、傾向と対策がしっかり盛られていたのか。思い出したのは、業界の内情に詳しい関係者の話だ。

 「学力テストのおかげで、いまは商品が売れるのでありがたい」

 教育ビジネスの業界は、教育委員会や学校での情報をいち早くキャッチし商機にする。驚いたのは、そのすさまじい営業活動だ。

 議会の一般質問で教育に関する内容を事前に入手すると、傍聴席に出向いたり、中継映像や議事録で教育長らが議員らに突き上げられている様子を確認。議会の後、何食わぬ顔で「何かお困りのことはありますか」と尋ねると、教委の担当者が「学テの成績で議員から追及されてね」などとこぼす。そのタイミングですかさず、問題集の売り込みを図る、という。

 少子化の影響で、教育業界の市場が落ち込んできている昨今、学テは重要な稼ぎ頭になっている。最近の主力商品は、ウェブテストや各県ごとの学力テストだそうだ。

 関係者は「会社としては売り上げアップになるので、『学テ、学テ』と言ってくれている間はありがたい」と話す。ただ、教育に携わっているという思いからだろうか、こんな本音ものぞかせた。

 「今のやり方は、子ども一人一人に返っていない。一人一人が分かったと理解する、勉強が楽しいな、と思わせることができていない。学力はついていないと思う。その時々の結果が良ければいい、という感じ。いじめがなくなっていますか。学力格差はなくなっていますか。親の経済格差が広がり、お金をかけてもらえない子どもたちもいる。そんな子どもたちと向き合う時間が本当は必要なのに、と思う」

 営利活動とはいえ、それが子どもの成長につながってこそ仕事の喜びにつながるのだろう。

◆視察途中に観光も
 学テとビジネスが絡むのは教材にとどまらない。

 早い時期から学テ対策を進め、いつも成績が上位の秋田県では、他県の自治体の教委、教師、議員らが視察に訪れる、いわゆる「秋田詣で」が続く。

 県教委などによると、二〇一五年度は北海道や沖縄県を中心に三千四百四十人が来県。視察を兼ねて観光する団体もあるといい、B級グルメで知られる秋田県横手市では、航空会社とタイアップして学校見学のルート途中での観光の受け入れを図っている。

 同県の小学校教諭が嘆く。

 「毎年毎年、視察に来る人が増えてます。お客さんを迎えるなら、校内をきれいに掃除しておかなきゃいけないでしょ。疲れますよね。何より、学校や子どもたちが観光商品化されているみたいで…」

 商機を求めて企業努力をすることを悪く言うつもりはない。それが学力の二極化が進んでいるとされる教室で、基礎学力の身についてない児童、生徒に自信をつけさせ、学習意欲を高めているのなら、意味もあると思う。

 だが、現状はどうなのか。学校が、授業に関係ない学テ対策の教材を買わされ、自治体間の不毛な競争の余波で関係者の視察旅行が相次ぎ、平均点にしか目が向かない空気の中で、成績が下位の子どもたちの指導がないがしろにされ始めているのであれば、本末転倒と言うしかない。

全国学力テスト10年(5)国際調査の影響 (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年3月5日

 自治体の間で激しさを増す不毛な競争。文部科学省は事態をどう考えるのか。学力調査室の高木秀人室長(44)に聞いてみた。

 -沖縄の中学校で成績が下位の子どもを省くなどの事例があった。他県でも起きている。現場の先生たちから聞いています。

 「県教委に電話で問い合わせたが『ありません』という返答で『本当か』と聞いて、それを何往復かしたけど、出てこない。ないんじゃないかと思っている」

 -過去問を集中的にやるなど、平均点を上げる対策がエスカレートしています。

 「そんな対策はおかしい、と昨年四月に大臣も発言し、通知も出し、そんなことやっているなら耳に入れて、と記者会見で言っているけど、裏が取れるような情報は入っていないんですよ」

 -調べないのですか?

 「調べますよ。突然行くと、不審者になるので『何日に行きますんで』と事前に連絡してからですけどね」

◆「競争のため」否定
 -現場の先生たちは競争に追い込まれて大変です。

 「競争するためのものでもなんでもない。競争しなくていい」

 -原因は、文科省が公表する都道府県別の平均正答率の一覧。なぜ公表するのですか。

 「国としての説明責任です。毎年、約六十億円弱使うので。都道府県ごとの傾向はこんな感じです、と」

 地域を比較するデータを無造作に出しながら、不毛な競争を防ぐ手立ては何も講じない。むしろ、無責任な印象を受けた。批判を意に介さないのは、経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)の結果に意を強くしているからだ。

 「昨年末に二〇一五年の結果が出たが、科学、数学で、わが国はトップレベル。十年続けてきて、学力テストは非常に効果があったと思う」

 OECD加盟国を中心に七十二カ国・地域の十五歳が参加するPISAは三年ごとに、読解力、数学的応用力、科学的応用力の三分野を調べる。どんなテストか、分かりやすい例がある。日本の正答率が8%にとどまった科学の設問は「養殖用の三つの水槽にシタビラメ、えさのゴカイ、貝、海草をどう配置するか」という内容だった。

 正答率が低かったのは、理科の教科書にない見慣れない設問だったからか、コンピューターでのドラッグ&ドロップに不慣れだったのか。そもそもこの問題が解けないことが、それほど深刻なことなのか。そんな議論は置き去りだ。文科省は、学テでは「平均点を上げる対策には意味がない」と繰り返しながら、その実、文科省こそがPISAの「数値」に一喜一憂し、学テの内容をますますPISA対策化させている。

 実は、そのPISAに対しても、国際的な反発が高まっている。一四年には、英紙ガーディアンに欧米の大学教授ら九十人が中止を求めるメッセージが掲載された。

◆教育ゆがめる恐れ
 「われわれはPISAのランキングの悪影響を、率直に心配している」とあり「(順位が落ちた国で)PISAショックが宣言され、ランキングを上げるために教育制度を変え、(独自の)教育慣行に深く影響を与えている」と警鐘を鳴らす。

 数学、科学、読解力に限定された調査に「数値化しやすい分野を強調し、測定しにくい道徳や芸術などに目を向けにくくさせている」と批判。さらに、経済分野の国際機関であるOECDには「教育改善の任務はない」と断じ、「就職の準備をさせることが、公教育の唯一の目的ではない」と訴え、こう喝破する。

 「OECDは各国でPISA対策のサービスを提供する多国籍企業と提携した。事業の赤字を穴埋めし、利益を上げるためだ」

 学テを巡って各地の自治体が不毛な競争を繰り広げ、教育現場を混乱させているこの国の実態が世界中で起きているかのようにも読める。

 池田賢市中央大教授(教育学)はPISAについて「そもそもOECDの目的は、経済に役立つ人材の開発。どの国民が使える人材かを見ている」と文科省が“学力”と直結させることに懐疑的だ。

 PISAをお手本にする学テを、このまま推し進めてよいのだろうか。

 「競争するためのものじゃないんです」。文科省が丁寧な言葉で語るほど、建前で言っているだけに聞こえて仕方がない。

 (中日ウェブ・プラスに掲載、12日に番外編)

掲載図:「2015年のPISAで日本の正答率が悪かった科学の問題の回答例(国立教育政策研究所のホームページから)※設問文は簡略化」(略)


全国学力テスト10年(番外編)「美しい国へ」? (大津支局・浅井弘美):ニュースを問う:中日新聞(CHUNICHI Web)
2017年3月12日

 誰が言い出したのか、今となっては知るよしもない。先生たちは「田植え」とひそひそ話で言い合ったそうだ。少し前かがみで席を回り、生徒の答案を指で押さえる姿が、そう見えたからだという。

 「わたしらの先生はテストの時にぐるぐる回ってきて、間違っていたら、黙って指で押さえて教えてくれた」

 およそ半世紀前の一九六一~六四年、文部省(当時)主導で行われた「全国学力テスト」。全国一位を競った香川県と愛媛県で起きた問題を、大学教授らが調べた報告書「『学テ教育体制』の実態と問題」には、当時の出来事が克明に記録されている。

◆モラルなき“田植え”
 愛媛県の事例では-。

 答えを書いた紙片を見えるようにヒラヒラさせて教室を歩き回る先生。「今度は(平均点を)八十六点ぐらいにしましょうか」と聞く教師に「それでは高すぎて困る。七十八点ぐらいにしておいてくれ」と応じる校長。東京の週刊誌記者に「不正ではないか」と“田植え”について問われ、「善意の行為は不正とは考えない」と答える教育長に、「先生も子どもも懸命なのだから“善意の勇み足”でしょう」と言い添える自民党の県連幹事長-。

 狸(たぬき)校長や赤シャツ教頭が出てくる漱石の「坊っちゃん」の舞台だからでもないだろうが、想像を超える人物像で笑わせてくれる。

 一方の香川県では、毎日の授業時間帯の前後一時間ずつ、学テ対策のプリントを解かせる対策漬けに。同県の教師らが書いた「学テ日本一物語」では、学テが近づくと、一日八~九時間のテスト準備の授業に加えて土日も登校、宿題も山のように課された実態が、生徒の声とともにつづられている。

 「学テあって教育なし」と言われた当時を知る香川県内の元教師大林浅吉さん(94)は「汗の香川、涙の愛媛と例えられた。二度も同じ過ちを犯したらあかん」と平成の学テの行方を心配する。

 半世紀前の失敗を省みず、なぜ再び学テが登場してきたのか。もとをたどると、安倍晋三首相が二〇〇六年に著した「美しい国へ」の一節に行き当たる。そこで首相は「喫緊の課題は学力の向上である」と訴え、こう続ける。

 「全国的な学力調査を実施、その結果を公表するようにするべきではないか」

 さらに、「結果が悪い学校には支援措置を講じ、それでも改善が見られない場合は、教員の入れ替えなどを強制的におこなえるようにすべきだろう」。そこには、点数だけで教師たちを評価し、強権で締め付けようとする意図が赤裸々だ。「この学力テストには、私学も参加させる。そうすれば、保護者に学校選択の指標を提供できる」という言葉からは、まるで教育の基準が点数にしかないようにさえ読み取れる。

 そして、首相がもくろんだ通り、教員も学校も教育委員会も学テの結果に戦々恐々とし、平均点を上げるために必死になっている。

 「美しい国へ」には、その先がある。

 「郷土愛をはぐくむことが必要だ。国にたいする帰属意識は、その延長線上で醸成されるのではないだろうか」

◆「森友学園」生む流れ
 著書発刊の五カ月後に教育基本法が改正され、愛国心条項が盛り込まれ、一八年度以降に小中学校で道徳が教科化されることも決まった。今、国会で焦点になっている大阪市の学校法人「森友学園」の問題も、この流れと無縁とは思えない。過去の失敗に学ぼうともしない一政治家の、短絡的な点数主義と、特定の思想教育へのこだわりが教育現場に深刻な混乱をもたらしているとすれば、空恐ろしい、としか言いようがない。

 報告書に描かれた半世紀前の愛媛県には、こんなシーンがあった。

 「母親大会で、ある母親が『うちの子供は文部省テストの日、先生が休みなさいと言った。いくら成績の悪い子でもひどいではないか』と発言した。すると担任の女教師が立ち、私たちもそんなことはしたくありませんけれども、文部省テストが近づくと校長室へ担任が呼ばれ、『平均点を必ず上げてもらいたい。そのためには多少の犠牲もやむを得ない』と厳しい口調でいわれ、その日から各クラスで猛烈な準備が始まり、何とかして平均点を上げたいと、つい子どものことは頭からはなれて、成績の悪い子は、いなくなってくれればよいという気持ちになるのです、と発言した」

 教育は国家百年の計と言われる。一朝一夕に学力が伸びるはずはないし、そもそも学力とは何なのか。点数による序列化でも、思想教育がその中心でもないはずだ。教室で先生たちが、一人一人の生徒と、その能力に応じた向き合い方ができる、そんな教育現場に戻してほしい。

 =終わり

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2018/07/30

エミューでまちおこし。(佐賀県基山町)

耕作放棄された荒れ地を改良できるとのことでちょっとびっくり。
ヤギに続きちょっと欲しい動物になった。

エミュー 耕作放棄地の再生に光 =わがまち未来形 移動編集局 基山町編=|まちの話題|佐賀新聞ニュース|佐賀新聞LiVE
2017/9/23

 基山町のシンボルである基山(きざん)の麓に広がる里山の風景。豊かで清らかな水にはぐくまれた棚田は実りの秋を迎え、黄金色の稲穂がこうべを垂れている。より山手へ向かって進むと、草が生い茂ったままの場所が増えてきた。かと思うと一転、草がほとんどない一角が突然現れる。目に飛び込んで来たのは棚田の高低差をものともせず、軽やかに駆け回る大型の鳥。オーストラリア原産のエミューだ。

 基山町にも高齢化や後継者不足から耕作放棄地増加の波が押し寄せている。2015年の農水省「農林業センサス」によると、町内の農地のうち、約43ヘクタールが耕作放棄地だ。

 そこに差し込んだ一筋の光がエミューだった。町内で初めてエミューの飼育を始めた農家の吉田猛さん(64)は「生い茂った草をはみ、土を踏み固めてくれる。半年もせずに耕作ができるようになった。それに人なつっこくてかわいい」と魅力を語る。

 エミューの産業化を進めている日本エコシステム(筑紫野市)から吉田さんが14年に飼育を請け負ったのをきっかけに、15年には県のチャレンジ交付金を活用して飼育数を増やした。同年には吉田さんらが農業法人「きやまファーム」を立ち上げ、運営を組織化。16年に初めての産卵があり、数羽をかえすことに成功した。日本エコシステムのものと合わせ、現在は町内に300羽を超すエミューが飼育されている。

 同社の〓〓浩司さん(54)は「平均して約8割のふ化に成功している。きやまファームでも今年は80羽程度のふ化ができるのでは。産卵、ふ化、飼育、加工のサイクルができつつある」とエミューの産業化が次のステップに入ったと語る。

 町もエミューの活用に積極的だ。今や町の代名詞と言っても過言ではなく、昨年福岡都市圏向けに制作したPR動画やポスターにも起用された。基山町内の飲食店もエミューを使った料理の開発、提供に取り組んでおり、現在は6店舗で味わうことができる。

 「捨てる部分がない」と言われるエミューをフル活用しようと、商品開発も進んでいる。保湿性などに優れた脂は利用価値が高く、7月末に町内で開かれたシンポジウムでは、美容家の佐伯チズさんが監修する化粧品が近く発売されることが報告された。深い緑色が特徴の卵の殻を装飾したエッグアートや、羽根を使った縁結びのストラップも来場者の目を引いていた。

 エミューの放牧によって耕作可能となった棚田には、今年からキクイモやジネンジョを植えた。キクイモは現在黄色い花を咲かせており、11月には収穫期を迎える。1000平方メートルで、約2トンがとれる見込みだ。町の健康プロジェクトと組み、血糖値を抑える効能などを科学的に検証するという。

 本年度中には町がエミューとイノシシを解体処理する施設を整備予定で、流通体制構築のための環境が整いつつある。きやまファームの鳥飼善治社長(59)は「何事も軌道に乗せるのには時間がかかる。最低でも10年は頑張って、地域を代表する産業の一つに成長させられれば」。地方創生の旗手として、全国に名をとどろかせるつもりだ。

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2018/07/27

東京五輪のボランティア関係

2018年3月頃の記事。

観客誘導、楽器演奏… 中高生も東京五輪ボランティアに  :日本経済新聞
2018/3/28 12:39

 2020年東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は28日の理事会で、中高生向けのボランティアの募集枠を設ける方針を決めた。サッカーやテニスのボール拾い、入場待ちの観客向けの楽器演奏、競技会場外での道案内などが想定されている。組織委は東京都と協議し、具体的な募集方法を決定する。

 組織委は中高生の参加について、「教育的価値が高く、スポーツボランティアの裾野を広げる観点から有意義な取り組みだ」と意義を強調。安全性への配慮から、学校などの協力を得て実施する予定という。

 理事会では、8万人の大会ボランティアの募集要項案も報告された。募集期間は18年9月中旬~12月上旬。インターネットから個人単位で応募してもらう。20年4月1日時点で18歳以上、大会前後を含め計10日以上活動できることなどが条件。

 活動内容は観客や大会関係者の案内、競技運営のサポートなど9つに分類され、最大3つまで希望を出すことができる。時間は1日8時間程度の見込みで、ユニホームや食事などが提供される。ただ交通費や宿泊費は自己負担という。

 東京都も28日、観光案内などを行う3万人の「都市ボランティア」の募集要項案を発表した。計5日以上、1日5時間程度働けることなどが求められ、4人までのグループの参加も受け付ける。

東京五輪・パラ:ボランティア11万人 9月から募集 - 毎日新聞
2018年3月28日 12時18分

中高生枠、新設も検討

 東京都と2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は28日、ボランティアの募集要項案を発表した。9月中旬から12月上旬にかけて募集を行い、面接による選考や研修を経て、本番では過去最大規模となる約11万人が大会運営を支える。ボランティアは18歳以上(20年4月1日時点)が原則だが、組織委は中高生向けの新たな枠を設けて、大会参加を促していく方針。

 組織委が募集する大会ボランティア(8万人)、東京都の都市ボランティア(3万人)に大別される。大会ボランティアは案内、競技、移動サポート、メディア、式典など9分野に分かれ、応募者は希望する分野を三つまで選ぶことができる。五輪またはパラリンピックで10日以上活動できることが条件で、組織委は競技知識やボランティア経験、英語など語学の技能を持つ人材を求めている。

 都市ボランティアは気軽に参加できるように1日の作業時間を5時間程度としたほか、五輪とパラリンピック合わせて5日以上の参加で応募可能とした。いずれも都内までの交通費や宿泊費は自己負担だが、ユニホームや飲食などは提供される。医師や薬剤師など特別に資格を要する要員は別途、採用する。

 また、組織委は中高生を対象にした新たな枠はテニスなどのボールパーソン、バスケットボールなどでコートを素早く清掃するモップ掛けや入場待ちの観客向けの楽器演奏などで検討を進めている。【田原和宏】

募集するボランテイアの役割と人数の目安

大会ボランティア(8万人)

活動分野主な役割人数(目安)
案内競技会場などの観客や関係者の案内1万6000~2万5000人
競技競技会場や練習会場での競技運営の支援1万5000~1万7000人
移動サポート関係者の会場移動のための車両を運転1万~1万4000人
アテンド海外要人の接遇、海外選手団の語学支援8000~1万2000人
運営サポートユニホーム支給、ID発行8000~1万人
ヘルススケア急病人らの発見、ドーピング検査補助など4000~6000人
テクノロジー競技結果の入力や表示など2000~4000人
メディア国内外の記者らのサポート2000~4000人
式典表彰式での関係者案内1000~2000人

都市ボランティア(3万人)

活動場所役割人数(目安)
羽田空港、都内主要鉄道駅観光案内や交通案内5000人
観光地(浅草など)観光案内や東京のPR
最寄リ駅から競技会場まで観客誘導、大会情報の提供2万人
都内ライブサイト来場者案内など5000人

4月の記事。
東京五輪のボランティアに大学も怒り「あまりに応募条件がひどい」 - ライブドアニュース
2018年4月19日 17時30分 週プレNEWS

2020年東京五輪の「大会ボランティア」募集要項案が先日、組織委員会から公表され、9月中旬から応募受付が始まる。会場案内、競技運営の補助、海外要人のおもてなしなど、その業務は9ジャンルに及び、募集人員は8万人にもなる。

五輪の舞台で活躍できるだけに、さぞかし多くの人々がこのボランティアを歓迎していると思いきや、ネット上をはじめ「やりがい搾取!」「ブラック企業か!?」といった批判が相次いでいるのだ。

運営側でも賛否両論という今回の募集要項をめぐる、さまざまな「思惑」を探った。

「ボランティアは就活に有利だよ」

「これはボランティアじゃない。現代の学徒動員ですよ」

こう声を荒らげるのは都内の私大・学生課課長だ。

この私大はスポーツが盛んなことで有名。スポーツ関連の講座も多いことから、組織委関係者から「おたくの大学の学生をたくさん、大会ボランティアに勧誘してほしい」との打診があったという。

だが、この学生課課長は「あまりに応募条件がひどい」と、首を横に振る。

実際、大会ボランティアの参加日数は10日間以上で、活動時間も一日8時間と厳しい。しかも事前研修へのオール出席に加えて、東京までの交通費、宿泊費もすべて自腹という条件もついている。

「五輪期間は夏の真っ盛り。そんな時期にこれだけ長時間、学生をタダ働きさせようなんて虫がよすぎます。聞くところによると、組織委は全国約800の大学・短大にボランティア提携を持ちかけ、夏季試験も大会期間と重ならないようにズラせと求めているそうです。こうなると、大学自治権の侵害どころか、戦中の学徒動員と一緒。学生に勧められるわけがありません」(学生課課長)

別の私大に勤務する助教も、組織委関係者の動きを「上から目線すぎる」と批判する。

「『ボランティアは就活に有利だよ』とか『大会ボランティアを単位付きのカリキュラムに組み入れたら』とか、お願いするというよりは上から目線の言動が目立ちました。そんな振る舞いにある大学職員が『ボランティア本来の定義と違うんじゃないですか!?』と怒っても、悪びれる様子すらなかったそうです」

組織委とは別に、独自に3万人の「都市ボランティア」を募集する東京都。都庁の職員も冷ややかだ。

「組織委がまたやらかしてしまったという印象ですね。だって、あの募集要項、誰が見たって『ブラック勧誘』そのものじゃないですか」

都が募るのは大会ボランティアよりもお手軽で、大会期間中の活動は延べ5日以上、一日5時間というもの。

「都は毎年、東京マラソンで1万人規模のボランティアを募ってきた実績があるので、組織委のような厳しい条件は出しません。ただ、困ったことに組織委の募集要項を見て、『都市ボランティアの“延べ5日間以上で一日5時間”という条件は嘘でしょう!?』といった問い合わせが増えています。ホント、いい迷惑です」

★ハードな要項に海外からも疑問の声! このままでは「定員割れ」も? 記事の全文は『週刊プレイボーイ』18号(4月16日発売)にてお読みいただけます!

大会ボランティア応募条件案(概要)

①2002年4月1日以前に生まれた人
②組織委員会が指定する全ての研修に参加可能な人
③活動期間中、日本国籍を有し、または日本に滞在する在留資格を有する人
④大会期間中及び大会期間前後を通じてじて合計10日以上活働できる人
⑤東京2020大会の成功に向けて、情熱を持って最後まで役割を全うできる人
⑥お互いを思いやる心を持ちチームとして活動したい人

活動期間・時間など
オリンピック・パラリンピック大会期間中及び大会前準備期間のうち、1日8時間程度、活動期間のうち10日間以上が活動日(連続でなくても可)
オリンピック・パラリンピック両方での活動を希望する場合は20日以上
ユニフォーム、活動中の飲食、ボランティア活動向けの保険の提供あり
東京までの交通費及び宿泊は自己負担、自己手配

7月の記事
東京五輪・パラ:「授業避けて」国通知、ボランティア促す - 毎日新聞
2018年7月27日 06時30分(最終更新 7月27日 06時30分)

 スポーツ庁と文部科学省は26日、2020年東京五輪・パラリンピックの期間中にボランティアに参加しやすいように全国の大学と高等専門学校に授業や試験期間を繰り上げるなど柔軟な対応を求める通知を出した。

 多くの大学は7~8月が試験期間となる。通知では学生がボランティアをすることへの意義を説き、大会期間中は授業や試験を避けることを促した。授業開始時期の繰り上げや祝日の授業実施は学則などに基づき、学校の判断で特例措置を講じることができる。

 首都大学東京は昨夏、期末試験を大会前に終了させるなどして大会期間中に原則、授業や試験を行わないことを決めている。国士舘大も26日、同様の方針を発表した。【田原和宏】

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